初雪

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土曜日の朝、ミーティングがあったので珍しく早起きした。ふと窓の外に目をやると雪がさわさわと降っている。綿菓子をちぎってばらまいたような雪。

自分が住んでいる街で雪に触れるのは何年振りだろう。すぐ嫌になるのは分かっていることだけれど、少し気難しい幼馴染と偶然再会したような、何とも言えない懐かしさ。



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# by majani | 2017-12-11 08:28 | 絵葉書もどき | Trackback | Comments(4)

本とブラインドデート

私は母とよく本をトレードする。母は、私が頼んだ日本語の小説を何冊もスーツケースに詰めてやってきて、アメリカで手に入れた洋書をまた詰めて帰っていく。

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アマゾンで洋書を安く買っておいてあげることもあるが、海外の本屋はやはり楽しいもので、母がアメリカに遊びに来ると必ず二人で本屋に出かける。「本屋で憂鬱症のペンギンと知り合う」でも書いたように、本屋に足を踏み入れれば、インターネットショッピングでは得られない嬉しい「偶然」がそこにある。

先日、バーンズ&ノーブル(アマゾンの時代に頑張って生き残っているチェーン店)でアラン・ベネットの新しいエッセイ集を母と探していた。背の高い本棚の間を彷徨っていると、このような箱が。

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「本とブラインド・デート」

一冊ずつシンプルな茶色い包装紙と糸で包んであり、中身が分からないようになっている。「密会」「ニューヨーク史」「奇妙なサイエンス」「カリビアン・アメリカン文学」など、テーマやジャンルだけが赤い文字で記されている。福袋の本バージョンだ。

大学のフレッシュマンくらいの若いカップルの男の子が、本屋のスタッフに話しかけた。

「ねえ、これって新しい企画?イイね」(若いのに上から目線)

着込んである薄茶色のチョッキに黒縁眼鏡の、おじさんになりかけているスタッフは、静かに優しく喋る。

「お客様にもっともっと本を手に取ってもらいたくて始めた企画です。去年も大人気でした。だいぶストックが減ってしまいましたが、良かったら一冊どうぞ。」

「ふ~ん、面白いね。凄くクールだよ」

本屋でデートをしている若いカップルに胸がキュンとなり、また明らかに本好きで実に地味なスタッフに少し恋をしてしまいそうになった。いや、ほんとに良い企画ですよ!と鼻息荒く会話に飛び込みたかった。

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目ぼしいジャンルの本はもう買われてしまったのかなと思い、今回は本とブラインドデートしないことにした。

それでも、ブラインドではないけれどデートをしてみたい、と思う本が沢山見つかった。このタコの表紙の本なんか、とても面白そう。また、最近マイブームである多和田葉子の『雪の練習生』の英訳が平積みされていて嬉しく思う。もっとアメリカの読者に知ってもらいたい日本人作家の一人だ。

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話変わって、せっかくユニオンスクエア / グラマシーパークに出てきたので、私が学生の頃に母と買い物をした思い出の店、Fishs Eddy に二人で立ち寄った。

アメリカ製のヴィンテージ食器を扱っていて、根気よく探せば安くて使いやすい掘り出し物がわんさか出てくる。当時ここで母に選んでもらった楕円形の大皿や、少し変わった三角形の縁をした皿のセットなど、長年重宝している。母はここで可愛らしいミルクピッチャーのヴィンテージ物を買っている。

10年以上経ってまたこの店に二人で来られた記念に、ヴィンテージではないけれど、母は小鳥柄のマグを購入、私はこのヘンテコなヤドカリの・・・ヤドカリの何だろう。本来はコースター(?)なのかもしれないけれど、私があちこちに放置する癖がある指輪やピアスなどの守護神として、バスルームに住みついた。




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# by majani | 2017-12-08 09:16 | 言葉と物 | Trackback | Comments(2)

スタンドパイプ探し

先日、ニューヨークに遊びに来ていた親と街の散策をしていた時のこと。

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交差点で青信号を行儀正しく待つというニューヨーカーらしからぬことをしながら母と喋っていると、側で静かに煙草を吸っていた父が、いきなり「そうだ」と叫んだ。

「思い出した。シャム双生児だ」

気がふれたのかと一瞬思ったが、続きを聞いてみると興味深い話だった。

マンハッタンの街を歩いているとよく見かけるのが、消火栓の「スタンドパイプ」である。ビルの脇や入口付近の壁からニョキニョキと生えていて、それを気に留める者は誰もいない。

一本のパイプが二つに分かれているその姿から、スタンドパイプはちょっと前まで「シャム双生児」と呼ばれていた、と父は説明する。元々は、19世紀のサーカスで有名だったタイ出身の結合双生児チャンとエン・ブンカー兄弟が「シャム双生児」の語源である。その後「シャム双生児」は人種差別的な表現とされるようになり、聞かなくなった。

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街で見かけるほとんどのスタンドパイプは比較的新しいため、「スタンドパイプ」と記されているものが多い。しかしたまに古いスタンドパイプを見かけると、未だにその上に「シャム・コネクション」と堂々と赤い文字で書かれている。差別用語、特に人種的差別用語に敏感なリベラルがうようよ住む小さなマンハッタンの島で、一瞬ドキッとする言葉だ。

そして、気が付き始めると、どんどん見つかる不思議。私が住むマンションの何気ないスタンドパイプも、古いタイプだった。

父は、テレビ番組で古いスタンドパイプを集めている変わったホビーイストの話を最近観たらしい。マンハッタンでスタンドパイプを見かけては、例の古い「悪い」名前は何だったかなとずっと思い出せなかったのが、ユニオンスクエアの交差点でふと戻ってきて、思わず「シャム双生児」と叫んでしまったのである。

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人種差別と言えば。

つい先週、ホワイトハウスで行われたナバホ先住民の退役軍人を称える式典で、トランプが、ネイティブアメリカンに強制移住を命じその数千人を死に追いやったアンドリュー・ジャクソンの肖像画の前でスピーチをしたことが、米国メディアで報道された。また、トランプはこのスピーチで、犬猿の仲にある民主党エリザベス・ウォーレン上院議員のことを「ポカホンタス」と呼んだ。

感謝祭休暇中は新聞をあまり読まずに平和に過ごしていたのに、週明けにはトランプが相変わらず頭がぶっ飛ぶようなことをしていたわけである。

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因みに父は、ユニオンスクエア付近の Strand Bookstore で売っていた「トランプの手(原寸大)」がツボにはまったらしい。ジョージ・オーウェルの 1984 が側で平積みになっていますね。



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# by majani | 2017-12-05 05:33 | 言葉と物 | Trackback | Comments(2)


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