スペイン旅日記の続き。
仕事が終わったー!!最後のミーティングを終えるとトラムに飛び乗り、観光らしい観光を目的に都心に繰り出した。
とりあえず観光街の中心部となる Barri Gotic(ゴシック・クオーター)に出る。
ゴシック調建築を代表する立派なカテドラルがこの辺りのランドマーク。
まずはリルケがずっと見たいと言っていたピカソ美術館へ。Museu Picasso de Barcelona はゴシッククオーターに近く、沢山のチャーミングな細い路地が交差するエリアにある。
思いがけず、素敵な毛糸屋さんを発見。昼間でもひんやりと涼しく薄暗い路地を歩いて行くと、ひょっこり小さなバルがあったり、革靴屋さんがあったりする。
上は、通りかかったチュロスとチョコラータ専門のカフェ。こちらではチュロをホットチョコレートにディップしながら食べる(ラテンアメリカでもそう)。
ピカソ美術館に到着。今年の9月末まで「ピカソの台所」という特別展示を開催している。長年に渡り食べ物や料理を題材にしてきたピカソの絵画、イラスト、彫刻など、幅広いジャンルの作品にスポットライトを当てる。
大きい声では言えないけれど・・・私は今までピカソがあまりピンと来なかった。それが今回の特別展示や陶芸などを見てやっと、ピカソやるじゃない!と思うようになった。
個人的にキュービズム爆裂の作品は未だにとっつきにくいが、闘牛のペン画シリーズ、そしてヴェラスケスの17世紀の作品 Las Meninas をピカソ独自のセンスで解釈したシリーズが特に面白いと感じる。ピカソの Las Meninas コレクションは美術館のクライマックスを飾る。
美術館の建物自体も見事。まるで中世のお城に足を踏み入れたような気分。(このドキっとするレモン色のズボンを着こなしている通りすがりのおじさまも見事。)
館内は写真撮影が禁止で、取り締まりが厳しい。ケータイをポケットから取り出してグーグルマップを研究していた美少年にまで警備の声がかかっていた。芸術品はじっくり見て、心の目に焼き付けておく。
「ピカソの台所」という特別展示なので、ギフトショップはキッチングッズなど料理本などを推していた。ピカソのデッサンが描かれた陶器の皿や花瓶などを激しく欲しがったが、ちょっと良いお値段。興奮状態で即買いしたものって案外使わなかったりするしね、と大人の決断をしたところ、このマヌケなパロマたちを発見!ピカソの絵画にも登場するハトのテラコッタ軍団に心を奪われたが、これこそ持ち帰りにくいし、まさに使い道が不明。
けっきょく、魚の形をした大皿を買うことにしました。パロマちゃん、また今度ね。
因みに今回の旅で重宝したのが「アート・パスポート」なる ARTICKET BCN。事前にオンラインで30ユーロで購入すると、ピカソ美術館を始め計6つのバルセロナの美術館・博物館が入館無料になり、チケット売り場の長い行列をドヤ顔でスキップすることができるのだ。「パスポート」もどきなので、美術館の入り口で入国スタンプならぬ、入館スタンプをページに丁寧に押してくれる。
初回はバルセロナの観光案内所、あるいは美術館のアーチケット専門窓口で引き渡しが可能、しかも一年間有効。二軒以上訪問するとお得。
さて、まだ明るいのでエスプレッソを一杯ひっかけてから、ぶらぶら散策することに。
小さめの広場でクラフトマーケットらしき催しを発見。
夢に出てきそうなシュールな魚のモビールや、木彫りの動物の置物。スペインっぽいハッキリした色使いが、すごく好き。
お腹が空いたのでピンチョス屋に入る。
Pintxos とはバスクなどスペイン北部の伝統的な、バルで食べるちょっとしたおやつ。パンの上に具が乗っていて、つまようじか串が刺さっている(ピンチョはスパイク・先のとがった物、という意味がある)。
バルに並ぶピンチョスを適当に自分の皿に取り、お酒と一緒に楽しむ。回転寿司のような感覚で、最後に串を数えて払うシステム。
このお店では注文すると温かいピンチョをフレッシュに作ってくれる。奥が鱈のコロッケ、手前がキャラメライズした玉ネギとダックレバーのピンチョ。それぞれが一口サイズだから、色々な味と食感が楽しめる。
タパスも注文できる。コロッケが美味しかったので、もっとバカラオを食べたいとバルの後ろでグラスを拭くおにいさんに相談すると、鱈の料理ならこのタパとあのタパが美味しいと教えてくれた。上はトマトベースの鱈のシチュー。塩辛さとトマトの甘味のコンビが美味しい。
バルのおにいさんは嫌な顔一つせず、私の下手っぴなスペイン語に付き合ってくれ、色々とワインやビールのサジェスチョンをしてくれた。
さすが、観光地。私たちの世話をしてくれたおにいさんはスペイン語が担当らしく、もう一人のジョニーデップに似ている店員は英語、さらに三人目はカタラン語・フランス語・イタリア語を自由自在に操る語学の達人。
英語ができるジョニーデップは、「やあ、また来たのかい、ウェルカム」とアメリカ人夫婦を奥のテーブルに迎えていた。「もう俺たちの顔に飽きただろう、わっはっは」とアメリカ人のおじさんがお腹を叩いて笑っている。どうやら、バルセロナ旅行中、連日ここで晩御飯を食べているようだ。そうだよね、こんなに優しくされたら私もリピーターになりたくなる。
旧市街で過ごした楽しい午後だった。