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雨の日のロダン

降ったり止んだりの雨。天気のせいでブルーになりがちな日は、ロダンの考える人の顔をのぞきに行く。

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毎日、キャンパス内の美術館の前を通ってオフィスに向かう。雨の日の人影は、ロダンの彫刻だけ。

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ある夕方、寄ってみた。

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『地獄の門』。「考える人」が門の中心に座っている。よしよし、今日も考えているね。

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晴れていれば美術館のオープンエアカフェに座って、ビールを飲みながら生徒のペーパーの採点ができるのになあ。上は一年前にそうしていたとき。お気楽に過ごしていた時期だった。

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生徒たちが書いたエッセイの山を築き、今夜も作業に取り掛かる。大学院生には週末も平日もないんだなと、今さらだけれど、改めて思う。


Or me.

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by majani | 2017-02-25 11:28 | 院生リンボー | Trackback | Comments(2)

来世はカバと

ロンドン「下見旅行」の続きです。

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ロンドンレビュ―ブックショップで本を買い漁った後、近くの大英博物館に寄ることにした。入館無料なので、ふらりと立ち寄ることができるのが嬉しい。金曜日は夜8時半まで空いている。

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微笑を浮かべる奇妙な人頭有翼獣の像。新アッシリア王国時代の首都ニムルドにおける、アッシュールナツィルパル二世(紀元前883年 - 紀元前859年)の王宮の門を守護していた。

何か違和感があるなと獣とにらめっこをしていると、脚が一本多いことにふと気付く。

像は計五本の脚があるが、前から見ると前足だけが目に入り、横から見ると四本の脚を使って歩いているように見えるのが特徴だとある。最近フランスに行っていたリルケの話では、パリのルーヴル美術館にも同じ人頭有翼獣の像が展示されているが、そちらでは獣が実際に五本の脚を持っていると解釈している。

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守護獣である鹿を抱えているアッシュールナツィルパル二世の姿を描いたレリーフ。

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他に水中で戦う場面など(ペンギンのような丸々とした個体の魚が面白い)様々な壁面彫刻が展示されている。

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アッシリア王朝を離れ、古代エジプトの展示室に移る。大英博物館といえばロゼッタ石、古代エジプトの彫刻やミイラのイメージが強い。こちらはライオンの頭を持つエジプトの女神セクメトの彫刻。パピルスの茎を片手に持っていたり、座っていたり、色々なポーズを取るセクメト像。

日が落ちた後に訪れると展示室が薄暗く、スリリング。

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そこへ色白で可愛い日本人の女の子たちが「猫のミイラがあるらしいんだけど、どこかなあ!」「ね!早く見つけたいね」と明るく話しながら部屋に入ってきた。

猫もそうですが、古代エジプト人て色々な動物をミイラにしちゃったんですね。鳥、子牛、ワニ、サルまでのミイラが保管されている。少し猫背のヒヒのミイラはまるでしゃがみこんでいる小さな子供のようで、実に不気味だった。

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古代エジプト人は死んでも楽ができない。来世でも畑仕事をしなければならない可能性があり、そこで自分の身代わりとなる shabtis というミイラの形をした焼き物を何体か一緒に埋める習慣があったらしい。

カバの置物なども墓に入れるが、守護獣である一方、危険な動物でもあるため、足の部分を意図的に壊した状態でそうする。カバや分身のお手伝いさんたちと一緒に来世を始める・・・頼りになりそう。

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ミイラもそうとう面白いのですが、私は小物や装飾品に惹かれました。こちらはアヒルの形をした化粧箱。何千年も前から女性は鏡に向かってメイクをしていたのだなあ。

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がらりと変わって、中世ヨーロッパのチェスセット。クジラの歯やセイウチの牙の彫り物で、こつりと重たそう。

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チェスピース一つ一つの表情やジェスチャーがこれまた面白いのです。

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大学がミュージカル「マンマ・ミーア!」のチケットを取ってくれたため、ウェスト・エンドの劇場に急ぐ。

ごちゃごちゃした路地を歩いてゆくと、大勢の人がレストランやバーの外で小さなテーブルを囲い、煙草をすぱすぱ吸いながらビールを飲んで楽しくやっている。ロンドナーにとって、この寒さはなんでもないようだ。

ロンドンの旅、続く。寒いけれど、まだ続く。





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by majani | 2016-12-08 07:32 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

終点、ロサンゼルス

ロードトリップの続き。世界一のアイスを生んだ町を後にし、やっと着いたロサンゼルス。

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休日なので、ヴェニス・ビーチのこのコーヒー専門店も早く閉まってしまう。朝から忙しくあちこちで食べ歩く。


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マリナ・デル・レイの 26 Beach Restaurant でピーカンソースにどっぷり浸かったフレンチトーストを食べながら、二人で観光のプランを立てる。

「新しくダウンタウンに出来た The Broad Museum を試しに見てきてほしいと、イザベルアレンデちゃんに言われてますけど、どうしますか」

「どんな美術館なの?」

「コンテンポラリーな感じですかね」(実はよくわかっていない)

「コンテンポラリー・・・」(やはり、わかっていない)

ウェブサイトに美術館の写真が大きく載っている。ハニカム構造の真っ白な箱を、誰かが斜めにくいっと引っ張りひん曲げてしまったような外観で、面白そうな感じではある。それに入場無料。バスキアとかクーンズとかが展示されており、今は草間彌生の展示会が来ているようだ。しかしわざわざロサンゼルスに来て草間彌生を見るのはどうか。

「クサマ?」

「ほら、あの水玉模様のあの人ですよ」(説明下手)

実際、戦後のアートより古めかしい彫刻の方が個人的にしっくりくるので、The Getty Center 美術館へ行くことにした。去年、アフロディーテを撫でたりつついたりした Getty Villa は姉妹美術館だ。

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入口からモノレールに乗り、展示室のある丘の上までそろそろと上っていく。


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広々としたスペースに、白い階段と簡潔なラインの建物。


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それは渋滞する高速道路とはかけ離れた、別世界。


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日があるうちに、庭園を散歩する。


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サボテンの花を歓喜するように行き来するのは、太ったハチドリ。


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ハチドリを追っていくと、ロサンゼルスの街が見下ろせるサボテン庭園に出た。(じーっと見ると、沢山の雲丹が集まっているようでちょっぴり不気味。)


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何となく見覚えのある凛々しい彼女。去年、ゲティーヴィラでもミューズ達を見ていました。


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館内ではあまり写真を撮らなかったのですが、豹の人間臭い表情が気に入ってしまって、ここで一枚パシャリ。


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広場でホットコーヒーを買い、休憩。ゲティーは二年連続、楽しめました。


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夜はいよいよマグダレナと再会。ガストロパブの Public School で待ち合わせをしている。

何年も会っていないけれど、人混みの中でお互いを見つけることができるのだろうか。少し緊張しながら辺りを見回すと、花柄のロングコートを着た女性が現れた。小柄な彼女は、全く変わらない。いや、少し髪が伸びただろうか。まずは冷たいビールで乾杯し、チキンとワッフルなどをつまむ。時が経っていないかのように会話が弾み、ロサンゼルスの夜が更けていく。

ロードトリップもこれで終了。


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by majani | 2016-02-04 11:14 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

アンサンブル

フィラデルフィア旅日記の続き。

フィラデルフィアで二人の面白い男に出会った。一人はアイスランド人の冒険家、もう一人は風変りな老人だ。今回はその話。

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ややこしい綴りのスクーカル川(Schuylkill River)沿いに、ボートハウスローという通りがある。名前通り、ボートハウスが畔に並んでおり、しゅっと細長い艇がきちんと保管されている。

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その昔ボート部で活躍していた彼は、こんな格好良いハウスから出発できたら清々しい気分だろうなあと大興奮で、舗装された道を外れて水辺にしゃがみ、ピカピカに磨かれたシェル艇を眺める。

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ボートハウスはそれぞれエンブレムや旗を表に飾っていて、東海岸の古くからある大学の社交クラブの様でもある。なんだかヨーロッパの雰囲気がしなくもないねと二人で話していると、それこそヨーロピアンな感じの大男がヌッと現れた。

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この男。

アイスランド人彫刻家エイナル・ヨーンソンによるソルフィン・カルルセフニの像とある。カルルセフニはヴァイキングの探検家で、その遠征の物語が伝えられているアイスランドの『赤毛のエイリークのサガ』によると、11世紀初期に北アメリカ大陸東部に降り立った。

どうでもよい話だが、最近、アイスランド文学がマイブームだ。ソルフィンとかカルルセフニとか聞き慣れない名前を読むと、いいねえと思ってしまう。

ひょんなことからハルドール・ラックスネス著の『独立の民』(1934年)を読み始めた。普通に村人が食卓を囲むシーンも、惨たらしい出来事も、同じ淡々とした調子で描写されているのがまるで古代神話を読んでいるかの様で面白い。細かい書体で500ページ以上ある長編小説、それこそサガだが、その殆どは登場人物がコーヒーを飲みながら羊のことを話している場面だ。と言うと大袈裟かもしれないが、仕事の前にちょっと一杯コーヒーを点てよう、羊の様子がおかしい、それはいかんな、コーヒーを飲み終わったらちょっと見てみよう、などと、プロヴィンシャルな生活とその人間関係にとって家畜とコーヒー文化が中心的であることがどうってことない会話から感じ取れる。(表紙に羊の絵を選んだ出版社は的を射ていると思う。)

一ページ目からして感銘を受けながらミミズのペースで読み進めていたのだが、途中のまま、本を東京の実家に忘れてきてしまった。それを何となく読み始めた母にアイスランド文学ブームが今来ているらしい。

看板の説明の受け売りですが、カルルセフニは「男の資質」という意味があるそうです。

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昼下がりの Reading Terminal Market 。市役所付近の大きなマーケットは、食料品・デリ食品・雑貨の他、テイクアウトフードを販売する屋台が沢山揃い、この辺りで働く人たちに大人気のランチスポットだ。

「ターミナル」が名前に残っているだけにレトロ調でチャーミングな駅の雰囲気がするが、平日だということもあり、中は大変混雑していて、呑気にチャーミングねなんて言ってられる場合じゃない。

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ハーパーリーのおススメで、マーケット内の食べ歩き開始。

何から買えば良いのか迷ってしまう。やはりフィラデルフィアが発祥地のチーズステーキだろうか。ローストピーマンと玉ねぎとビーフにとろけるチーズをたっぷりかけ、ホットドッグバンに挟んだものだ。しかし、ポークリブ、ドーナツ、地中海料理、焼き立てのパンにクッキー、時間を惜しまずじっくり淹れた香ばしいコーヒー…と美味しそうな香りに引き付けられて屋台から屋台へとふらふら歩いているうちに、チーズステーキから遠い広大なマーケットの反対側まで来てしまった。このごちゃごちゃ感は、去年、エッグスラットを食べたロサンゼルスのグランドセントラルマーケットを想起させる。

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次に向かったのは、The Barnes 。アルバート・バーンズのポスト印象派、近代絵画のプライベートコレクションが展示されている都内の美術館だ。

近くのフィラデルフィア美術館(ロッキーがモンタージュで階段を駆け上がった所)も印象派・ポスト印象派の絵画が多いが、敢えてバーンズ財団美術館を推奨したい理由はその展示方法にある。バーンズ氏自身の展示方法で、箪笥、奇妙な形のドアノブ、アンティークの匙、鳥の象などを絵画と一緒に配置し、一つのタブローを完成させるというものだ。あまりにも面白いので、2012年に所蔵品が一般公開された時、財団はバーンズ氏の「アンサンブル」展示を保持した。

展示室には緩いテーマが見られるが ― それは「鳥」というモチーフを用いたり、何等かの色であったりする ―、イマイチ統一感が無いのが逆に興味をそそられる。大きなマティスの絵画の隣に一見、全く脈略のない中国絵画が飾られていたり、ルノワールが描いた華麗な婦人の上に時代も流派も違うイコンが並んでいたり。モディリアーニの面長な少女と、輪郭がそっくりのアフリカのなんとか部族の仮面がにらめっこをしているのを見ると、思わず微笑んでしまう。バーンズのアンサンブルは奇抜というよりも、どこか遊び心がある。オーディオガイドで専門家による解説が聴けるが、バーンズ氏の意図が解らなくても、むしろ解らないほうが、想像力が掻き立てられて面白い体験になるかもしれない。

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フィラデルフィアという街で数多くの男女が歴史に名を残していったが、この旅で一番印象に残ったのはウィリアム・ペンでもベンジャミン・フランクリンでもなく、カルルセフニとバーンズだったかもしれない。

やれやれ、結婚式も観光も無事終了

かと思いきや、空港で「大変だ!」と急に慌て出した彼。けっきょくチーズステーキを食べていないことに気が付いたのである。

バーで搭乗時間を待つ間、ペンシルバニア産の Yuengling ビールと一緒に頼むが、空港のバーで何を期待していたのだろうか、ナンデモアリフォルニアで食べたそれの方がよっぽど美味しく感じられた。またフィラデルフィアに来ることがあれば、その時こそ本場のチーズステーキをしっかり食べてみたい。

フィラデルフィア旅日記、おわり。


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by majani | 2015-08-25 13:25 | 旅に待ったなし | Trackback(1) | Comments(0)

国づくり

シンガポール旅行記の続き。

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アルメニア教会や英国植民地時代からの古い建築物が残されている、シティセンターとは思えない静かな一角に迷い込んだ。コールマンストリートからアルメニアストリートへ歩いてゆくと、シンガポール切手博物館が見えてきた。


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日本軍がシンガポールを占領していた1940年代初め、英国の植民地支配のイメージから距離を置くのを目的に、日本文化・伝統を示す切手が発行される。「マライ」というカタカナの文字が印象的だ。なるほど、文化を広める場合、切手は大変役立つ。誰もが使わなければいけない物で、しかし高圧的な感じがしない。切手のデザインに政治的な意図があったわけですね。


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シンガポールは様々な文化、伝統、人種が入り混じる若い国。多様性をいかにマネージし、安定した国づくりをすればよいのか―こういった課題は独立当初から国の政治に深く根差している。ピカピカの高層ビルや建設工事現場などを見て、何となく感じたことだが、アジアの奇跡とも呼ばれる経済的成長の陰で、貧富の差が拡大していくことを考えると、「差」と「違い」の統治は、この国にとって、今なお重要な課題として在り続けるのでは。

何故急にこのような話をするかというと、シンガポールの「国づくり」が郵政に見受けられ、ちょっと面白いのです。

例えば、1969年に発行された「多様性を祝う」シリーズには、マレーの伝統的なダンスを披露する踊り子の絵や、中国のお面のデザインなどがある。濃いフューシャ、辛子色、ロビンズエッグブルーなど、綺麗な色彩だけれど、何故こんな切手をわざわざ作ったのか。切手は国全体で同じものが使われるわけだから、学校で教えられる教科書の内容や公用語と同様、国創りに関わっている。多様な人種と文化を、政治的紛争の元ではなく、ポジティブなものにしている。むしろ多様性こそが、この国のアイデンティティであるというメッセージを発信しているようにも感じられる。そんな若い国の様子が、こうしてちっぽけな一枚の切手に表現されているのだ。そう考えると、ね、感慨浅からぬものがあるでしょう。


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もちろん、政治と全く関係ない切手も。野生動物の描写が多く見られるシンガポールの切手。1990年代には、ヤッコエイ(blue-spotted stingray)の切手が発行される。当時、私は家族でシンガポールに住んでいたわけだが、家にこのエイの切手が大量に買い置きしてあったのを、切手博物館を訪れて久しぶりに思い出した。しかしこれほど買い込んで、一体誰に手紙を出していたのだろう。エイの切手は一枚残らず使われてしまった。


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館内の階段を案内してくれたのは、ヤギ?羊かな。

切手をじっくり拝見した後、一人で大いに興奮して出てきて、エイの切手があったよと母に報告した。「シンガポールで切手博物館を見てきた人なんて聞いたことがない」と母は笑っていた。これはもっともで、一般受けしないのがよく解る。とにかく地味である。小さな博物館で、遠足で来ている小学生(幼稚園児?とても小さな子供たちだ)のグループを除き、誰もいない。一階のチケット売り場、兼ギフトショップでは、麻のシャツを着た博物館のおばちゃんが中国茶を淹れて和んでいる。

あとネーミングが悪いことね。Philatelic Museum なんて言われても、フィラなんですって?と聞き返してしまう。Phil(o)- は古ギリシャ語で「愛する」とか「好む」という意味で、現代英語でよく登場する。哲学(philosophy)は英知に対する愛、慈善活動(philanthropy)は人類への愛、愛書家は bibliophile、フランス好きの人は francophile など、日常的な会話にも出てくる言葉が色々ある。しかし philatelic は一度も耳にしたことがない。ギリシャ語の ateleia は免税されている、という意味がある。文字通り「免税されている物を好む」切手趣味、ということなんですね、

という面倒くさい説明をしなくて済む Museum of Stamps にしちゃったらいいのに。もう少しお客さんが来ると思うんだけどなあ。

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私はシリコンバレーに住みながら、旅先から送る葉書にロマンを感じてしまう古い人間なので、中国茶を飲んでるおばちゃんの所で素敵な切手を買い、博物館の郵便ポストから絵葉書を投函…すればよかった!

良いアイディアは必ず、そんなに遠くないけど、戻るにはちょっと面倒くさい距離を行ってしまってから、ふと浮かぶ。


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by majani | 2015-06-15 06:37 | 言葉と物 | Trackback | Comments(2)

古代ギリシャ人の飲みっぷり

南デモアリフォルニア旅行記の続き。

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ロサンゼルス出身のサファリさんに勧められ、 Getty Villa 美術館を訪れた。古代ギリシャ、ローマ、エトルリア文明の芸術品を中心とし、丘の上からサンタモニカの美しい海が見渡せる、古代ローマ風の大邸宅にある美術館だ。

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美術館の入口はヴィラの円形劇場(amphitheater)の隣にある。

「これ、なんていうんでしたっけ」

「Amphitheater じゃないの」

「そうそう。あれっ、ソクラテスが市場の人たちと話したりしてたのはなんでしたっけ」

「フォーラム?」

「違う。それじゃないやつ。なんだっけなあ」

「う~ん、アグ、アゴ、agora ?」

「おお、そうだ。あごーら。 Forum とはまた違うよね?」

「わからない。フォーラムはアンフィシサターのギリシャ語名?っていうかギリシャ語?」

「う~ん、どうでしょう」

という具合に、お互いで話し合っていても絶対に結論が出ない会話をしながら館内へ。中途半端な知識を持っているとこうなってしまう大学院生。

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「動物の部屋」、「怪物の部屋」、「英雄の部屋」等と名付けられた展示室を回る。

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私が個人的に当たりだ!と思ったのは、やはり動物をモチーフとした、なんとなく不気味だったりマヌケだったりする展示品の数々。

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馬の頭の形をした鍵とか、銀細工の笑う鹿、妙に足が哺乳類くさいトキの置物、ヤギと男が座っている立体感のある壺など。

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教科書などによく出てくる、日常生活や戦場の一場面などを描いたオレンジと黒の壺のことを krater という。ぶどう酒と水を入れる。

「どうして水で割ってしまうんでしょう。もったいないですよ」

「人数が多いと水で割って量を増やしてたんじゃないですか」

食事会や葬式や様々な祭式に登場するほか、「クレーターは、シンポジウム(symposia 、male drinking party)に用いられる」という説明を読んだ。シンポジウムとは学会などでよく使われる言葉だが、本来は男が集まって飲んだくれるパーティーのことだったのか。面白いことを学んだ。しかし驚いたのは krater のサイズだ。私の肩まで来る大きさの物も。古代ギリシア人の飲みっぷりに祝杯を挙げたい。

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邸内の庭を探検する。午後の光が彫刻に差し掛かると、本当にローマのヴィラに遊びに来たようだ。

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庭内の噴水で、ぶどう酒用の皮袋にロデオのように跨ったシーレーノスに遭遇。

シーレーノスは、ギリシャ神話のぶどう酒と演劇の神であるディオニューソス(ローマ名バッカス)の従者の一人で、大概このようにとても楽しそうにしている(酔っぱらっている)ぶよぶよ太った男だ。ぶどう酒の神がいること自体が凄いよ、古代ギリシャ。

パーティーにシーレーノスを招いたら一気に盛り上がりそう。

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一方、歴史のミューズ、クリオは至って真剣。研究発表に招いたらインテリジェントなコメントがもらえそう。

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「触って学ぼう」というサインと共に、野外に展示された彫刻。皮肉にも恥ずかしそうに体を隠すのは愛とエロスの神、アフロディーテである。

「全然隠しきれてないですね」とヘブンフィールドさんが大真面目に言いながら、アフロディーテの白く滑らかな腕をちょいちょいと突いている。厭らしさを感じてしまうのは私だけだろうかと己の美的感覚のさもしさを恥ずかしく思っていたら、後ろの人が「うふふ、なんだかヤラシイわね」と言ってるのを聞いて、あまり恥ずかしくなくなった。それにしても、人に撫でられまくって、どんどん小さくなってしまうのではないか実に心配である。

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首からかける香水瓶や金細工の簪など、様々な装飾品と工芸品の見事な細工にうっとりする。遥か遠い昔のように感じられるが、かなり高度な技術があったことが受け取れる。

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しかし一番魅力的なのはやはり上のようなちょっとマヌケな物。このビーズを作ったギリシア人のガラス職人は、どんな生活をしていたのだろうか。あの首飾りをしたエトルリア人は、どんな人だったのだろうか。そんなことを想像しながら、一つずつじっくり見ていく。

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ミュージアムショップで見つけた素敵な本。美術館とは全く関係ない本だけれど、表紙のマンボーに着目。地図好きのヘブンフィールドさんと長い間ぱらぱら捲っていたら、日が暮れてきたのでそろそろ引き返すことにする。今度、地図の絵本をサンフランシスコの書店で探してみようと思う。



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by majani | 2014-12-10 11:19 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

テニスとルノワール帽子

テニス三昧の一週間だった。

といっても、私がテニスをしていたわけではない。ざ・ふぁーむでバンク・オブ・ザ・ウェスト・クラシック (Bank of the West Classic) という女子プロテニス大会が開催されていた。スペイン語の授業などで忙しかったので練習試合は観に行かなかったが、金曜の準々決勝、土曜の準決勝を友人と観戦。テニスファンの知り合いがこの一週間のうちに選手の一人と仲良くなったらしく(ええと、ノーコメント)チケットを無料で分けてもらった。ありがたや。

私のテニス知識はマルティナ・ヒンギスとかリンジー・ダベンポートとか、一昔前の時代で止まったままである。そのダベンポートが解説者としてざ・ふぁーむに来ていて、マキシドレスでコートの周りをスタスタ歩きまわっていたのが実に印象的であった。若い頃見ていたプロ選手をこんな近くで(しかも何年も経ってから)見られるとは夢にも思わなかった。

ウィリアムズ姉妹はまだ現役。ヴィーナスの背の高さ、セレナの筋肉の大きさに脱帽。知らない選手ももちろん沢山いる。若い日本人選手も来ていたようで、あいにくその試合を観る機会はなかったが、友人の話によると結構いい所まで行ったらしい。偉いなあ。

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Renoir, Pierre-Auguste. 1892. Chapeaux d'été.


プロの試合を生で観るのは今回が初めてだ。テニスというと、なんだかブルジョアでハイソなスポーツのイメージがある。その昔はウィンブルドンなどをけっこう熱心にテレビで観ていた。まず、コートが静まり返っている。観客もなんとなく上品な感じがした。皆がルノワールの絵画に出てきそうな帽子を被っていて、拍手の仕方も他のスポーツと異なり、ぱらぱらぱらっと音のする整った拍手である。

このイメージでざ・ふぁーむの試合に繰り出したら、雰囲気はかなり違うものであった。陽射しが強いので帽子を被っている人は沢山いたけれど、観客はけっこう勝手に叫んだりヒューヒュー口笛を吹いたりしている。ヴィーナス・ウィリアムズがプレイしているとき、「ヴィー、頑張ってえ」と声を張り上げて叫ぶおばさんたち。ヴァルヴァラ・レプチェンコがプレイしているときは、「バーブ、しっかり 」との掛け声。(バーブはバーバラのあだ名。レプチェンコはペンシルバニア州のアレンタウンに移住したため、「頑張れペンシルバニア」という応援もあった。)

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Renoir. 1895. Femme au chapeau blanc.

想像していたより賑やかな試合ばかりでとても楽しかったのだが、暑さが辛かった。残念ながらルノワール帽子を持っていないので、中途半端なつばの帽子を被っていたら、気が付けば胸と足の甲に変な日焼けの跡ができている。12時間以上に渡るテニス観戦で、隣に座っている友人はこんがり焼けてしまっている。日焼けしてしまった以上もうどうしようもないけれど、夏休みはまだ一ヶ月以上ある。その間につばの広いルノワール帽子を買いたいと思っている。

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Renoir. 1884. Jeune fille au chapeau de paille.

今は完璧にカウチポテトになってしまっている私だが、子供の頃にテニスのレッスンを受けていたことがある。当時はシンガポールに住んでおり、コーチは中国系シンガポール人だった。そのコーチが毎週履いていた眩しいほど白く、ピチピチでとても短いショーツを覚えている。今思えばあれはホットパンツ以上の域に達する実に過激なショーツだった。しかし子供相手にあんなの履いていて良かったのだろうか。大人相手に履かれても困るが。

練習が終わると、お母さんたちがお喋りしながら待っている日陰のところへテニス仲間と駆けて行き、冷えた砂糖漬けのレモンスライスを皆で分け合って食べていた。テニスで汗だくになって口にするレモンの最初のあの一切れ、その美味しさは私にとって懐かしの味だ。

Or me.

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今日のスペ語とか。
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by majani | 2014-08-05 12:33 | ナンデモアリ | Trackback | Comments(0)

良い変

少し前、人魚姫さんとパロアルトで見かけた変な壁画。

ストリートアートでもグラフィティでもないし、なんとも言えない壁画である。白人のおじいさんがそれはとても幸せそうに乳母車を押している。しかし乳母車の中に座っているのは赤ん坊ではなく、薄茶色の宇宙人である。巨大なカタツムリにも見えなくない。

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ざ・ふぁーむの辺りは変なアートが多い。キャンパスの東側から電車の駅に向かって歩いていくとカリフォルニアアベニューという通りがあり、毎週日曜の朝はここでファーマーズ・マーケットが開催される。ダウンタウンパロアルトほど拓けていないが、美味しいレストランが並ぶ。しかしこの通りもやはり、ユニコーンかイッカクの角ような彫刻や、車が足を生やしてどこかへ走ってい行く彫刻など、謎のものが多い。

謎というか、単なる「変」なアートだとオフィスメート助奈探君はいう。変というか、単なる「下手」なアートなんじゃない、とアトリエ君。 “Good weird” (「良い変」)や “[It’s]so bad it’s good” (「駄目すぎて逆に良い」)という言い回しはあるけれど、ただ単に「下手」なものは下手なことに尽きる。では「単に下手なアート」と「良い感じに変なアート」を分けるのは一体どういったクライテリアだろうか考えてみようではないかと全く無駄なディベートに至ってしまうほど変な彫刻が多いのだ、ここら辺は。

宇宙人の壁画があまりにも変なので写真を撮ってしまった。乳母車ではなくて買い物用のカートかもしれないと後にふと思った。よく見るとおじいさんのズボンの後ろポケットから、買い物のメモみたいな白い紙がのぞいている。「卵、牛乳、シリアル」とでも書いてあるのだろうか。眺めれば眺めるほど、謎が深まる。

「良い変」に近づきつつある。

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by majani | 2014-07-24 16:02 | ナンデモアリ | Trackback | Comments(0)

変なスペイン語

気が狂ったのか、スペイン語の勉強を始めた。上手くいけば5ヶ国語目の取得となる。

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Mexicana. Vintage Mexican Graphics. Ed Jim Heimann. New York, London: Taschen, 2002. Cover art: Torrero.

先週、ざ・ふぁーむのインテンシブな夏期講習で習い始めた。集中講座だけあって、毎日4時間の授業があり、さらに少なくとも4時間程度かかる宿題が大量に出る。私のような「今日は休んで、週末にやっつけ仕事で一気に片付けてしまおう!なんとかなるさ、へっちゃらへっちゃら」というキリギリス的な人間を厳しくコントロールするために、毎日何かしら提出しなければならない。夏休み中こちらに残っているわずかな学部のネイティブスピーカーを捕まえて、インタビューをさせてもらったり、クラスメートとビデオを作ったり、けっこう面倒くさい宿題もある。しかし学期中に習う時間は無いので、この夏が勝負だ。わずか8週間で一年分のスペイン語が身につく(らしい)。

アメリカの大学でロマンス語を初級から学ぶのはこれが初めてである。聞いてはいたけれどやはり驚いたのは、文法の勉強がほとんどゼロ。文法は自宅で自習するようになっており、授業中は4時間ずっと喋っていることもある。目まぐるしいスピードで様々なテーマに取り組む。挨拶、自分の街を説明する、国の名前、大学生活を説明する、好きなこと、食べ物、レストランで注文する、時間、手紙を書く、服、ショッピング…。早くも5日目に過去形に突入!

お昼に地下のクラスルームから浮上すると、ああ、太陽が眩しく感じられる。喉が痛くなっている。あの小さな教室の外で、時がこんなにゆっくり流れていたとは。

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Blanco y Negro という雑誌のカバーアート。Blanco y Negro, June 1933.

何も理由なしにスペイン語を始めた訳ではない。後にラテンアメリカでフィールドワークをする予定なので、少しでも会話ができたほうが良いのではないかと思い立ったのだ。

海外で、特に初めて訪れる国で言葉で困るのは嫌いだ。どうせ困るのだったら、コミュニケーション以外のことで困りたい。「困ったなあ、食べすぎちゃって動けないよ」とか、「最後のバスが出てしまったようだから、今夜はこの素晴らしいホテルにもう一泊しないといけないのかあ、実に困った」とか、私の頭の中には都合の良い困り方しかインプットされていない。

少し前、ロマンス語を一つ持っていればスペイン語なんて自習ですぐ解るようになると教授に言われたことがあり、そうか、スペイン語を喋る人々と時間を過ごせば自然に身に付くかもしれないと、またまた都合の良いことばかり考えていたら、全くそのとおり…であるわけがなかった。

授業を始める前の私は、お隣に住んでいる小さなお嬢さんがスペイン語で「早くドアを開けて!」と毎日叫んでいるのが身に付いていただけで、後は「ありがとう」、「煙草吸いたい?」、「私も」と、ここには書けない汚い言葉くらいしか知らなかった。ありがとうは別として、他は全く役に立たない言葉ばかりである。

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Blanco y Negro という雑誌のカバーアート。これは裏面。Blanco y Negro, June 1933.

ところで、生徒は他に6人いる。女は私ともう一人の若い女の子しかいないが、年齢も人種も皆バラバラで面白いグループだ。先生は博士課程の学生でメキシコ人女性である。学生の身で毎日4時間も教えるのは、とても大変なことだと思う。私は週に2時間教えるのに毎週ぐったりしていたけれど、スペイン語の先生はファイトがある。

私のパートナーによく指名される仮名マルコという19歳の若い子がいる。私はこのマルコ君を凄く気に入っている。マルコ君が考える文章の例は実に変で面白いのだ。

先日、「○○は…」で始まる文章の続きを自分で適当に考え、色々な動詞を正しく活用して完成させるという練習をした。私が当たったのは、「彼女たちは…」と「出かける」という動詞で、また「金曜日」を文章のどこかに入れることを指示された。例えば「(彼女たちは)普段金曜日に映画館に出かけます」と言う。日本語と同様、主語を落としても良いが、スペイン語の場合動詞の活用形が異なる。

しかしこれはつまらない例だ。さて、マルコ君は「労働者たちは…」と「~を持っている」という動詞が当たった。そこでマルコ君は瞬きもせず、こう言ったのである。

「労働者たちは肉と水を沢山持っています。」

とても変だ。しかし面白い!オリジナルだ!もっとマルコ君に当ててくれないかなあ、先生。

「え?」先生は聞き返した。

「だから、労働者たちは肉と水を沢山持っています。」

「そう…。まあいいわ。文法は間違っていないから。」

先生も変だと思ったらしい。

その後、食べ物の話をしているわけでもないのに、やたらと「肉」という言葉を使いたがるマルコ君。

「普段、火曜日の昼間は何をしますか?」とスペイン語で聞くと、

「火曜日の昼間は肉を料理します」という答えが返ってくる。

確かに carne (カルネ)という言葉の発音は楽しいけれど、何も昼間っから肉料理作らなくてもいいのに。また、違う会話の練習をしていたら、「ペネロペとホルへはヨガが好きで」とマルコ君が言い始めたので、これは普通だなと思っていたら、

「ペネロペとホルへはヨガが好きで、肉も好きです。ですが、2人は週末は海に行きます。海はとても綺麗で楽しいです。そして平和です。」

関連性ゼロ!素晴らしい。ヨガと肉の後に何故か海の説明ってシュールすぎる。「ですが、海に行きます」という部分が泣ける(?)ではないか。良く考えると、ここにも肉と水の要素がある。マルコ君はきっと肉と水が好きな育ち盛りの若者なのだ。

明日は中間試験があるので、そろそろ勉強し始める。一週間が過ぎ、今の私は「ありがとう」以外に丁寧に「煙草はどこで買えますか?」と聞けるようになった。これも小さな進歩だ。



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by majani | 2014-06-30 17:14 | 言葉と物 | Trackback | Comments(1)

狐よりハリネズミ

生まれ変われるとしたらどんな動物になりたいか、という仮想ゲームが友人の間で最近流行っている。(れっきとした大学院生ですよ。)

「私は○○になりたい」と宣言してから、友人の問いに対しその選択を弁護し、むしろそれが唯一正しい選択であると主張しなければならない、というルールだ。ジョブトーク(学者の世界における就職活動の際に行なわれる自分の研究の発表のこと)の肥やしになっていると言えなくもない。いや、言えないか。とにかく楽しいゲームだ。

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J.J. Grandville (1829). Les Métamorphoses du jour, 73 lithographies. Paris: Aubert.


ナパでヒクイドリを見た帰りに、サンフランシスコのピアー39(Pier 39) で Aquarium of the Bay 水族館の広告にラッコの写真が載っていたので、ラッコになりたいと思った。なんたって、ぷかぷか水上で昼寝ができる。

「寝ている間に波に流されてしまったらどうするの」と聞かれた。

「心配ご無用。ラッコは賢いから、自分の体を昆布に巻きつけておくのです。素晴らしいでしょう。」

ナンデモアリフォルニア近くの沖で貝を一日中食べ、昆布に抱かれて昼寝をする。これ以上の快楽はないだろう。

私は、動物学者でテレビプロデューサーのデイビッド・アッテンボローのファンである。動物と植物好きな、おっとりしているけれども平気でセイウチに近づいてはチノパンとワイシャツのままで隣に寝転がってしまうようなおじいさんである。ナマケモノが糞をするときは、何故だか木から降りてこないとできない ということを知ったのもサー・アッテンボローのおかげ。

そのアッテンボローによると、ラッコは毎日が忙しい。新陳代謝率がとても高く、一日に体重の三割くらいの食料を食べなければいけない。すると一日の大半は食料探しに費やされる。それはちょっと面倒くさいなあと思い直し、ではハリネズミになろうと思った。毛虫が薔薇を食べ散らしているようなイギリスの綺麗な庭にひっそり住んで、夜だけ出没するのだ。(昼間は、やっぱり、昼寝。)キノコとかメロンとかを食べる美食家ハリネズミになりたい。ええい、どうしても必要な場合はカタツムリも食べてやろうではないか。モロッコで食べたカタツムリのスープはとても美味しかったぞ。

「生まれ変わるならゲーム」をしているのは同期の仲間だったりビジネススクールの友人だったりする。ハリネズミに決めたと告げると「へえ、変なチョイスだね」とまず言われ、皆ハリネズミのことをあまり知らないこともあってか、かなり甘い反対尋問ですぐ終わる。(何故かラッコはかなりの反論があった。)

さて、哲学者とハリネズミの話をすると、ちょっと面白いことが起こる。「う~ん、それは君のことを物語っている、ナイスチョイスだ」とかなんとか言われるのだ。哲学者はハリネズミが好きなのだ。(牡蠣も好きだ。)

説明しよう。哲学者イザイア・バーリン(Isaiah Berlin)のエッセイに『ハリネズミと狐』というのがある。(邦訳は『ハリねずみと狐~「戦争と平和」の歴史哲学』(岩波文庫 1997年)を参照。)バーリンは『自由論』( “Two Concepts of Liberty” )というエッセイで有名になった。一方、『ハリネズミと狐』は、大衆向けとは必ずしも言えないが、比較的にインフォーマルなエッセイである。古代ギリシャの詩人アルキロコスの詩に、「狐は沢山のことを知っているが、ハリネズミは大きなことを一つだけ知っている」という一行があり、それを引用したものがバーリンのエッセイのタイトルになった。

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こんな所にもハリネズミと狐が。Curiosity and Method: Ten Years of Cabinet Magazine (2012). Ed. Sina Najafi. New York:Cabinet Books.



小さなことを沢山知っている、巧妙で要領良い活発な狐に対し、ハリネズミは物静かで華やかでもないけれど、デカイ、凄いアイディアを一つだけ知り尽くしており、そのことばかりじーっと考えているのである。あなたは狐派、それともハリネズミ派?

ある意味、ハリネズミと狐は卓越した比喩になっている。教授にも、「私たちの分野では狐になるのはとても大変な上、大した利益がないので、ハリネズミになったほうが良い戦略だと思います」と、なんだか哲学的なアドバイスを受けたことがる。

くるっと丸まって、茂みの中で寝ていたい。けっきょくのところ、昼寝がしたいだけなのかもしれない。


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by majani | 2014-06-14 17:42 | 動物王国 | Trackback | Comments(0)


ナンデモアリフォルニアの某大学院で研究中。海外生活、旅、散歩で出会った生き物などの記録です。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


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