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引越し作業

引越すことになり、ここ数日、ずっと家の物を箱詰めしている。

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7年近くもいると、やはり物は溜まっていくもの。殊に本は、家のありとあらゆる場所にリスのようにしまい込んであった物を集め合わせてみると、1000冊近くある。自分のお楽しみのためのフィクションや文庫本はともかく、アカデミックな本を全て売り飛ばしたとしたら、ちょっとした財産になりそうだ。アメリカの本はやたらと大きく、サイズが全てバラバラなので収納しにくいはずなのに、どうやってこの量を保管していたのかは自分でも不思議に思う。

大半の物は引越し業者に頼むから良いが、ごちゃごちゃした小物や、仕事で必要な書類などは、引越し騒ぎで無くなってしまっては大変なので、自分で分かりやすいように整理しながら箱に詰めていく。これがとても面倒くさい。

現実逃避を兼ね、母に電話をした。過去に海を越える大掛かりな引越しを難なく熟してきて、ナンデモアリフォルニアの立ち上げも手伝ってくれたベテランの母にアドバイスを請うと、日本の引越し業者の場合、寝室の物の箱詰めは女性スタッフがしてくれるなど、気が利いているが、アメリカだとそんなことないんだろうねえと、ため息をつく話ばかりだ。

確かに、そのような気遣いは、一切、感じたことがない。例えば、見積もりを出すために引越し業者が家にやってきたとき。戸棚の中身を確認したりしながら各部屋を回った業者の人は、金髪でキャラメル色に日焼けをした、マイアミヴァイスの刑事役みたいな感じのハンサム男で(例えが古い)、寝室に入るなり、「ハイ、なるほど、このタンスの中身は服ですね!」と、私の下着がごちゃごちゃ詰まっている引き出しを爽やかに開けて、爽やかにクリップボードにメモを取った。

私はこれで学習をし、明くる日、違う業者の人(今度はローアンドオーダーに出てきそうなおじさん)が来たときは、タンスを開けられる前に「衣類です!」とストップをかけた。別に見られてどうなるわけじゃなし、とも思うが、穴が開いているパンツが転がり出てきたら恥ずかしいじゃない?

引越しの当日は、大男が何人も家に押しかけてきて、一斉に物を箱に放り込み、壊れ物はとにかく緩衝材をぼんぼん一緒に入れて祈る程度の、大雑把な作業なんだろうな、と想像している。

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つまらないことを長々と書いてしまった。

引越しにおいて残念なのは、大学院の一年目から、窓の縁から私を静かに見守ってくれていたサボテンを置いていかなければならないこと。サボテンの名前はトニー。疲れていると、私はトニーに話しかけたりする。キッチンの窓に座っているハーブも置いていく。

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また、引越しを控えているのに何故か多肉植物を増やそうとしていた時期があり、そうしてやっと自立できたカッティングも誰かに引き取ってもらわなければならない。この子たちはのんびりしていて、一カ月してやっと根付いた。

グーグル検索すると、cactus という英語の言葉は、アーティチョークの仲間の cardoon というトゲトゲした植物のギリシャ語名 káktos が少し変化して、17世紀初期に使われ始めたとある。日本語だとシャボン(石鹸)としても使われていたため、シャボテンになったとか、どこかで聞いたような。シャボンはフランス語の savon(石鹸)ですね。

シャボン玉はシャボン玉なのに、どうして石鹸は石鹸と呼ぶのだろうと、つまらないことを考えながら、引越し作業を続けている。



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by majani | 2017-08-03 06:24 | 言葉と物 | Trackback | Comments(2)

ゴールデンゲートパーク植物園

サンフランシスコの植物園を訪れた。

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ゴールデンゲートパーク内にある Conservatory of Flowers 。入場料は大人8ドル、学生6ドルと良心的。

草食獣のような優し気な顔をした受付のお兄さんが、私の着ている厚手のジャケットを見て「中は暖かいですよ」と教えてくれた。

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入るやいなや、熱帯雨林のようなアトリウム。時々、上からミストがしゅわしゅわと降下し、シダやヤドリギを細やかな水滴のベールで覆う。

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実際、動物はいないのだけれど、鳥の鳴き声やジャングルぽい(?)効果音が流れていて、どこか東南アジアの森林に迷い込んだかのような気分を盛り立ててくれる。

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これは蘭ね、と思うものもあれば、

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見たことのない、不思議な花も。サーモンピンクと薄紫の派手なこの植物は、地味なアラビカコーヒーの木に寄り添うようにしていた。

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色と形がハロウィンで配られるコーン状の飴に似ていることから「キャンディーコーン・インペーシェンズ」とも呼ばれる花。

学名 Impatiens niamniamensis の impatiens とは、ラテン語で「せっかち」の意味。種を爆発的にあちこちにぶちまけることから、「せっかちな」植物という異名が付いたようだ。

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ハイビスカスも負けずと派手なキャンデイーコーン色。

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アマゾンリリーが咲く池を一周する。

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Potted plants のエリアは、ウツボカズラやミドリノスズがありとあらゆる所で垂れ下がっている。

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中をそっと覗く。

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この子は本来オーストラリアに生息する食虫植物。長い葉に密集している赤い粘毛で虫を捕まえるらしいが、小さくカールした先端の葉は、まだフレンドリーで無害に見える。

学名の下に「ジャイアント」と書いてあるのが気になる。

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この植物は名前が分からないけれど、アルマジロのしっぽみたいな形が良い感じ。

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さて、この夏、植物園で一番注目を浴びているのが、この子。10年に一度、二日間だけ花を咲かせるインドネシアの巨大なショクダイオオコンニャク(Amorphophallus titanum)だ。

英語だと corpse flower 、つまり「死体の花」とも呼ばれることから想像できるように、開花した時は腐肉のような凄まじい悪臭を放つ。膨らんでいる巨大な蕾のような物は実は花ではなく、その中心に百もの小さな花が咲く。

因みに amorpho の意味は不定形あるいは奇形の、titanum は巨大な、phallus は男性器…。学名を付けたのは多分、男性。

私たちが先週訪れた時は、開花まであと一週間ちょっとだと教えられた。残念だったのか、ラッキーだったのか、ちょっと複雑な気分。

植物園のウェブサイトで、この「テラちゃん」の状態を生中継でチェックできるのよ~と植物園のスタッフが教えてくれたので、最近はこのライブストリームをモニターに流しならラップトップで仕事をしている。シュールな中継はこちら:
http://conservatoryofflowers.org/bloom/amorphophallus-titanum/

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何となく不気味なテラちゃんを後にして、蝶の部屋へ。何種類もの蝶が放し飼いになっている特別展示。

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シマウマのような模様の蝶は zebra longwing (学名は Heliconius charithonia)。

南アメリカに生息する蝶で、米国だとテキサスやフロリダなど暖かい場所にいるらしい。サンフランシスコは、ちょっと寒いよね。

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Julia butterfly (学名は Dryas iulia)の真っ赤なおしり。いつも高い所を飛んでいて良い写真が撮れなかったが、羽も炎のようなオレンジ一色。

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サナギが何段も並ぶ「バタフライ・バンガロー」。ガラス張りの展示箱が後ろから戸棚のように開く仕組みになっていて、蝶が繭からのそのそと出てくると、お兄さんが鉛筆の先に蝶を乗せて、他のが放し飼いになっているエリアに放してやっていた。

この子も、もうすぐバンガローを卒業する時期かな。

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沢山の蘭を見た。デリケートな花だと思い込んでいたが、意外と色々な気候でたくましく生きていることを、今回初めて知った。

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そしてみんな、表情豊か。

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上の dancing lady orchid は、チョコレートのような香りがした。

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私が一番気に入ったのは、このちょっと物々しい欄。

キノコに似せた、先端の白いコップのような部分に虫が止まると、それがトランポリンのように弾み、花粉がたっぷり付いている花糸に虫を擦りつける働きがあるんですって。これぞ自然界のイノベーション。

そして名前がまた良い。ドラキュラという蘭の種類だが、それは吸血鬼のことではなくて、ギリシャ語で「小さなドラゴン」という意味なのだと、植物園のスタッフが教えてくれた。髭がぴよんと出ていて、小さな竜の頭に見えなくもない、かな。

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大変勉強になりました。また訪問したいサンフランシスコの植物園。

Conservatory of Flowers
http://conservatoryofflowers.org/



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by majani | 2017-06-16 07:10 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

桜とヤシの木

春のキャンパスの、ちょっと変わった組み合わせ。

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桜とヤシの木が隣同士で、張り合うように花と枝葉を見せっこしている。大学の説明に寄れば、この「ヨシノチェリー」は岐阜県からの贈り物だそうです。

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こちらはカイドウズミ(Japanese flowering crabapple)。ピンクの蕾が頬紅のようなアクセントになっていて、可愛らしい。

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アメリカハナズオウ(Eastern redbud)。

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ふと見上げると、鳥の巣が花びらに隠れている。このオフィスの人が羨ましい。

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これは何でしょうね。花の名前を沢山知っていて、まだ小さな私と一緒に散歩をしながら「これはモクレン」「これは沈丁花」と丁寧に教えてくれた祖父を思い出す。

最近のキャンパスは毎日、何か新しい花に気が付く楽しみがある。毛虫もぽつりぽつりと出没し始めましたが。



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by majani | 2017-04-02 06:47 | 言葉と物 | Trackback | Comments(2)

ハーバード自然史博物館

ロンドンからナンデモアリフォルニアに戻ってくる途中、ハーバード大学に寄り道をすることになりました。

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久々の東海岸・ニューイングランドらしいキャンパス。

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UCLの動物博物館に次ぎ、ハーバードの自然史博物館を訪れる。

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まずは Glass Flowers の展示室に入る。ドレスデンのガラス工芸家、レオポルド・ブラシュカとその息子ルドルフ・ブラシュカによる「ブラシュカ製ガラス模型」の世界最大のコレクションがここハーバード大学の自然史博物館にある。

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部分拡大されたベ二ハナインゲンの模型。ハチによる授粉の様子を精密にとらえている。

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ブラシュカ親子の工房は19世紀後半から20世紀半ばに向けて、ヨーロッパとアメリカの博物館や教育機関のためにガラス製の生物模型を作っていた。例として、前回紹介した University College London のグラント博物館が保有するクラゲやウミウシの模型もブラシュカガラスだ。

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このカシュ―は年中、実が生っている。

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次の「進化の部屋」に進むと、おどけた顔のこんな子が。

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虫の世界の食生ピラミッド。ベジタリアンの方が基本的に派手?

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古脊椎動物学の部屋にのこのこ入っていくと、12メートルにも及ぶクロノサウルスが大きな笑顔で出迎えてくれた。クロノサウルスと二人きりの部屋は静かで居心地が良い。

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新生代の部屋にはマストドンや、

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巨大なナマケモノ(右奥)やサイとカバのあいの子のような奇妙な哺乳類の化石。真ん中の動物はアルマジロに似ているような、似ていないような・・・。

当時、南アメリカ大陸は海で囲われていたため、他の生態系と関わることなく、まさしく bizarre な、不思議な動物がどんどん進化していったのですね。

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現代の動物は地域別に標本がアレンジされている。南米・アマゾン熱帯雨林の動物が特に面白い。普通サイズのナマケモノがにっこりしている。

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哺乳類の標本は大きい分インパクトがあるが、鳥にも是非注目したい。威厳のあるタカにちっぽけなハチドリ、エメラルド色のフウキンチョウから一見地味なシジュウカラまで、多様な鳥の標本が保有されている。

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ダーウィンはガラパゴス諸島に生息するフィンチの多様性に進化論のヒントを得たとか、所々に丁寧な説明がある。

よくできているなあ、教育的だなあと感心していたところ、大泣きをしている子供がこちらにかけてきた。死んでいる動物ばかりで怖くなってしまったようだ。無理もない・・・。

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大型の哺乳類が集まる部屋。いよいよ博物館のフィナーレです。

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吹き抜けになっている二階に上がると、クジラの骨を間近で見ることができる。

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二階の壁に展示されているのは主に鳥の標本。

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私が特に気に入ったのは、杏子色のへんてこりんなアンデスイワドリ。

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シンガポール以来会っていないオオサイチョウと再会する。

そして・・・

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・・・ラマがいました!



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by majani | 2016-12-23 09:18 | 動物王国 | Trackback | Comments(0)

クーリーとワニの話

シンガポール旅行記の続き。

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ここまで動物三昧であったが、次はシンガポール植物園へ散歩に出かけた。オーチャード通りやタングリンモールから歩ける距離で、早朝から深夜まで開いている。

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Tangalin Road 側のゲート。

小学生の頃に遠足で来たのをうっすら覚えているが、当時はクラスメートと騒いでいただけで、花にあまり関心がなかったと思う。

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黄と橙色の賑やかな花はサラカという。そのままコルサージュにできそう。釈迦がその元で生まれたとされる無憂樹(ムユウジュ)も同じサラカ属。因みに別名はアショーカノキといい、アショーカとは悲しみを知らないという意味があるらしい。確かに、橙色の花が咲いているとパッと華やぐ。

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古い古い、Tembusu の木。ヤドリギも南国っぽくて凄みがある。

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シダは地味で見過ごしやすいが、若い葉のしなやかで幾何学的な渦巻きを見ると、何か心惹かれる。

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文字通り「ハチドリの茂み」と名付けられていた。

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名前が記されていない、かぐわしい花が沢山咲いている。

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例えば、この謎めいている植物。トゲトゲした球状のものは、種?

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これはごく普通の木だなと思っていたら、いきなりフラメンコダンサーのスカートのように派手な花が垂れ下がっていたりする。名前知れずサプライズも植物園の醍醐味。

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気を付けていると、花だけではなく、奇妙な動物も発見できる楽しみがある。小さな池の側でじっと木にしがみついていたのは、爪が長くも奥ゆかしいオオトカゲ。

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さて、「白鳥の湖」という池をぐるりと一周してみて、面白いことを知った。この池は19世紀に初めて造られたとあるが、ここでちょっとした事件があったそうだ。1890年にどこからか逃げ出したワニが池を気に入り住み着いてしまい、困った困ったと試行錯誤を重ねているうちに、畔で水汲みをしていた coolies の一人が襲われてしまったのである。

これは植物園のウェブサイトにも載っている公式の説明の受け売りなのだが、疑問に思うことがいくつかある。まず、「逃げ出したワニ」とはどこから来たのだろう。(それこそ動物園か?そういえばワニ園もあったような。)次に coolies という言葉。私は初めて聞く言葉だが、単数だとどういう綴りなのだろう、とか、水は冷たくクールだから水汲みの作業から来ている言葉なのかな、とか、考えてしまう。

早速調べてみたところ、大英帝国の植民地で働いていた、主にインド人のアジア系単純労働者のことを指すらしい。激しい人種差別があったのだから、インド人に対する軽蔑の意も含む言葉なのではないかと思わずにはいられない。時代背景の説明なしに使ってよい言葉なのだろうか。(アメリカに住んでいて political correctness に敏感になりすぎかな。)それはさておき、後に中国人労働者に対し、苦力(クーリー)という当て字が使われるようになったことからもうかがえるように、過酷な労働だったに違いない。大変な仕事を強いられた上、ワニに食べられるとは以ての外である。

シンガポール植物園は、湖に関する「面白情報」としてクーリーとワニの話を伝えている。う~ん、何だか恐ろしい話であるが、ちょっとした歴史の勉強になった。


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by majani | 2015-06-25 09:21 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

砂漠に行く

南デモアリフォルニア旅行記の続き。

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ロサンゼルスを後にし、砂漠地帯にやってきた。ジョシュアツリー国立公園だ。


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ジョシュアツリー(Joshua tree)とはこのニョキニョキした木のこと。

私にはコミカルでひょうきんな木に見えるが、モハーヴェ砂漠を横断してきた真面目なモルモン教徒の開拓者たちには、空に手を上げて祈るジョシュアのように見えたことから、「ジョシュアの木」という名前が付いたとか。(ジョシュアがどんな人物だったかは、ええと、省く。知らないので。)

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公園の入り口付近の案内所に立ち寄ると地図や冊子などがもらえ、5分で歩けるハイキングトレールがある。本チャンの砂漠に乗り込む前のウォームアップと考えても良い。運良ければ砂漠に生息するウズラや小鳥が観察できる。

昔オアシスがあった場所には立派なお髭を生やしたヤシの木が聳える。

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まるで手塚治虫の『火の鳥』に出てきそうな幻想的な植物を発見。オコティロ(Ocotillo) という。近くでよく見ると枝がトゲトゲしていてサボテンのようだが、実はこの砂漠で数少ない落葉性の植物で、葉は派手な赤に染まる。

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ふわふわした縫いぐるみの手足を想起させることからテディベアサボテンと呼ばれる teddy-bear cholla (学名 Cylindrpuntia bigelovii)。

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思わず触りたくなってしまうが、仲間の jumping cholla と同様、密に生えているトゲは皮膚や衣類に刺さりやすく、抜くのが大変困難だそうだ。可愛い顔して危険な奴だ。

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仲間のジャンピング・チョラ。

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辺り一面がテディベアサボテンの散歩道はまるで地上のサンゴ礁のようで、実にシュールな風景だ。モルモン教徒はここも通ったのだろうか。さぞかし驚いたことだろう。


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一言に砂漠といっても高度の変化によってガラリと雰囲気が変わるのでびっくりだ。急に岩っぽい地帯になったり、テディベアサボテンが大量発生していたり、ジョシュアツリーだらけだなと思っていたら、スライドを切り替えたかのようにパタリと木が消える。地形の表情の移り変わりもジョシュアツリー公園の醍醐味。

ところで、ジョシュアツリーに生息する哺乳類は少ない。伊達に砂漠じゃないからね。しかしこのような厳しい環境を悠々とマイホームにしている大型哺乳類もいる。岩から岩へとぽこぽこ飛び移るビッグホーンシープである。道路がないような場所も探してみたが、残念ながら、恥ずかしがり屋の羊に遭遇することはなかった。広い公園内に150頭余りしかいないらしく、しかも群れで移動するので、宝くじを当てるような確率だ。見つけた人は相当ラッキー。

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地質学的活動によってできた面白い岩の数々。まるで溶け始めたアイスクリームサンデーのような岩や、アーチ状の岩。

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氷に浸かっている牡蠣を思わせるごつごつした場所は Oyster Bar という名前が付いている。ハイキングトレールを外れた The Great Burrito でロッククライミングをする人も。

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あんなところにもロッククライマーが。

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誰かが質素な岩に飾り付けをしたかのだろうか。これも自然にできたもの。岩の上からほぼ垂直に盛り上がっている細いベルトのような火成岩層はダイク(dike formation)と言う。ダイクを気に入って、行く先々で探してみた。

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ロッククライミングはしなかったものの、眺めの良いハイキングトレールを沢山歩いた。ブラックキャニオンにある High-View Nature Trail では人が全く見当たらず、足の下でしゃりしゃりと砂が動く音が驚くほど大きく聞こえる。ここでマツケカス(pinyon jay)という鳥や、砂漠のキツツキ、そして小さくて可愛らしいトカゲを見つけてウキウキしていたら、今度はハチに追われてビクビクした。山あり谷あり。

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ジョシュアツリーがニョキニョキ生えている砂漠は夜になると一段と不気味になる。暗闇の中、車を走らせていると、ピュッ!と道を横切る小さな動物が。落ち着いて次に横切ったのを見ると、頭でっかちなカンガルーラットである。夜行性のカンガルーラットはお構いなしに次々とピュッ!ピュッ!と四方八方から物凄いスピードで飛び出てくる。轢かないようにヘブンフィールドさんも必死である。

ここでカンガルーラットに関するトリビア。ハムスターは元々砂漠の動物だったから水をあまり必要とせず、尿が少ないと言うけれど、砂漠のカンガルーラットはさらに凄い。体内のわずかな水分を逃がさないために、排尿の際はそれがペースト状で出てくるらしい。ペースト状!燃費が良いネズミだ。

道路の脇に車を停め、星座マップを手に外へ出てみた。辺りは墨のように黒く、いちいち車に戻って星座マップを確認しなければならない。しかし、暗闇も、カンガルーラットのペーストの香りにつられてひょっこり出てきたコヨーテに襲われたらどうしようという不安も、星空を見上げると一瞬にして忘れてしまう。白い金平糖がばらまかれたかのように、星は大きく、近く感じられる。

それにしても夜の砂漠は寒い。厚いセーターとダウンジャケットでも寒い。何枚か持ってきていたケニヤのマサイブランケットを体にぐるぐる巻きつけると、いや、やっぱりまだ寒い。砂漠でキャンピングをする人はタフだ。

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翌日もジョシュアツリーでハイキングトレールを歩いた。ミッキーマウスの頭のような形をしたサボテンやユッカの木を見たり、ぴょこぴょこ飛ぶサバクワタオウサギの後を追ったりしていると、あっという間に夕方だ。ずっとサバクワタオウサギを追っていたいが、ざ・ふぁーむに戻らないと大変なことになる。(ところで、ざ・ふぁーむのヤシの木はさっぱり型で、オアシスのヤシの木と違って立派な髭がない。)

二日も砂漠を歩き回っていたので靴はほこりと砂まみれになっているが、今回の旅も面白い動物や植物が見られて大満足だ。大都会と大自然の旅だった。

帰りの車は、しりとりをする。

南デモアリフォルニア旅行記、終わり。


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by majani | 2015-01-29 09:56 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

ゴーヤのせい

引き続き、一時帰国中の話。

いつからか、「趣味がない」というのが母の口癖になっていた。単に断言しているわけではなく、母の言い方からして、「私には趣味がないから、まったく困ったもんだ」という意味合いだと推測される。

趣味がないと如何して困るのかはさておき、この発言は世紀の大嘘、じゃなくてとんだ勘違いである。母は仕事を続けているにも拘らずむしろ多趣味だ。語学の習い事の他、読書好きで、家ではレコードをかけて父と楽しそうに踊っているし(私は空しく単独で)、的確でスピーディーな編み物を得意とする。母からアメリカ宛に送られてくる郵便物には、「先週、Law & Order を観ながら編みました」という葉書と一緒に手編みのカーディガンが丁寧に詰めてあったりする。母がエグイ発砲沙汰シーンなどを観ながら編んだと思うと、殊更カーディガンに愛着が沸く。

熱中していたかと思えばある日パタッと辞めてしまった「趣味」もある。母は一時期キルティングにはまっていた。「キルティング仲間」と一緒にそれは狂ったように針を動かし、当時住んでいた家には、ここはアメリカ中西部のカントリーハウス?と間違えられてもおかしくない量のベッドスプレッドがあった。全部が手縫いだったので私も小学校のときに手伝わされた覚えがある。様々な大作を築いたら飽きてしまったのだろうか、母の短くも激しいキルティング時代はアッサリと幕を閉じることになるが、今でも家の変な場所からキルティングの切れ端(未完成の作品があったらしい)がぽろっと出てきたりする。何故あれほど夢中になっていたか、母自身にも理解不能だ。

キルティングやらには流行り廃りがあるが、母は長年ガーデニングを愛してきた。この趣味だけは、変わらぬまま。ガーデニングと言ってもマンションなので、大半が室内もしくはベランダで育つ植物である。ココヤシ(愛称はそのままココヤシちゃん)や、パキラ(パキラちゃん)、まん丸の大きな種から育て上げたアボガド(やっぱりアボガドちゃん)、オリヅルラン(少し難しい名前になると、あだ名が付かないらしい)などは昔から我が家に住んでいる。季節によってシクラメン、ポインセティア、オクラ、プチトマト、ハーブ各種が登場する。

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大きくなり始めてまだ日が浅い。


今回、私が実家に帰ると、ベランダでゴーヤが元気に育っていた。それはベランダの一角に覆いかぶさるように蔓が伸びており、所々に薄い黄色の花が咲いている。葉は顎のラインが尖ったコアラの顔のような形だ(分かりにくい説明)。そして一番下の方に、一つだけ小さな萎んでしまった緑の風船のような物体がある。葉が生えてもいないようなところにゴーヤの実が生っているではないか。長年大切に育ててきたのに一度も実ができなかったアボガドに対し少し冷たく接する母のその愛情は今、この一つのゴーヤの実に全力で注がれている。もっと蔓が渦巻いているようなところに生るものだと思っていたが、とりあえず頑張れ、ゴーヤちゃん!思わせぶりで気まぐれなアボガドに代わって、母の愛に応えてくれるだろうか。

みるみる大きくなる、丸みを帯びたゴーヤ。それを煙草を吸いにベランダに出た父が真剣な表情で観察し、水をやったりしている。

このゴーヤのせいで、私はとうとうワゴンから落ちてしまった。何回目になるだろうか。「ワゴンから落ちる」(fall off the wagon)は元々「禁酒に失敗する」という意味があるが、ダイエットなどに失敗したときにも用いられる。私の場合は喫煙に失敗したのだ。それも潔く落下したというよりも、鯨を見にいった7月からずるずると引きずり下ろされ、とうとうワゴンに逃げられたという感じである。


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Baron C. de Grimm. 1893. Public domain.

それにしても日本は煙草が吸いやすい。北ナンデモアリフォルニアに比べれば喫煙者が断然に多いし、お酒がある所では必ず煙草が吸える。

いえ、環境のせいにしているわけではないですよ。ゴーヤのせいなのです。

ベランダに出るとゴーヤがまずそこにあり、その手前に父が灰皿代わりにしている大きな皿と低い椅子が置いてある。椅子に座るとちょうど目線がゴーヤちゃんのところに来る。ゴーヤの様子を見に外に出ると椅子に座るのが自然で、座るとちょうどそこに灰皿があるのだから、では一本吸いながらゴーヤを眺めようではないか、となってしまう。東京には私の喫煙の友、ウッドバート・ドミンゴがいないかわりに、ゴーヤちゃんが煙草の友になってしまった。

しかしそのゴーヤちゃんも先日収穫されてしまった。「もうそろそろ収穫の時期じゃない?」「まだ大きくなるんじゃない」「そろそろ収穫していいかなあ」「いいや、まだまだ」「今日くらい収穫?」という他愛ない家族会議が何日か続いた末、我慢できなくなってしまった母が、「私、収穫しちゃう!」とベランダに飛び出て、勢いで切り取ってしまった。

立派なゴーヤチャンプルに変身したゴーヤちゃんは、あんなに可愛がられていたのに実際に食べてみると「なんか、けっこう苦いね」と不評だった。そりゃあ苦いよ、ゴーヤなんだから。

再び煙草の友がいなくなり、少し寂しいベランダ。今朝、何も生っていないゴーヤの蔓をぼーっと見ていたら、なんと、奥の方にもう一つゴーヤの実ができている。食べてしまったゴーヤより何倍も大きく見える。受粉もせずに放ったらかしにしてあったのに、こいつはひっそりとすくすく成長していたのだ。

新しい煙草の友(ゴーヤちゃん二号)ができてベランダに出る楽しみがまた一つ増えてしまい、当分ワゴンに乗れないのではないかと心配になる。自分が強い意志を持てばできるはずなのに、やはりゴーヤのせいにしてしまう今日この頃。

その一方で母はそろそろゴーヤに飽きてきたようで、新しい「趣味」を開拓しようとしている。

 Or me.

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by majani | 2014-09-12 00:04 | 言葉と物 | Trackback | Comments(0)

ラベンダーを食べる

近所の家の庭に見事なラベンダーが咲いている。満開だ。

昨日、大学に向かうのにその家の前を通りかかろうとしたところ、前を歩いているおじさんに見とれていた。中年だけれどすらっと背が高く、後ろからうかがえる限り、整った髭を生やしていて黒縁眼鏡をかけている。足首が見えるくらいのところでクロップされたミントグリーンのズボンに、裸足でボートシューズを履いている。夏っぽくてお洒落だなあとまじまじと見ていたら、おじさんは急に手を伸ばし、隣に生えているラベンダーをむしりとってそれをパクッと食べた。

しかもかなりのスピードで歩いていたのに、足を止めることなく一つのスムーズな動きでラベンダーを千切って食べたのだ。人の家のラベンダーを。

これはたまげた。思わず留まってラベンダーを拝見したところ、二本ほどはげているのがある。確かにラベンダーの季節だけれど、なにも赤の他人の庭のラベンダーを引っこ抜いて朝ごはん代わりにすることはないだろうよ。ボートシューズをお洒落に履きこなしていただけに、なんだかがっかりしたぞ。

そんなことを考えていたら、ラベンダーの家の人が玄関を出てきたので、慌ててまた歩き出す。

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6月・7月になると、ファーマーズマーケットでも見かける食用ラベンダー。レモンと蜂蜜と相性が良いので、デザート、ジャム、カクテルやサラダ等に使われることが多い。また、オリーブとチーズのマリネに放り込んでも綺麗だし、ローストポテトをオーブンに入れる前にオリーブ油と一緒に塗したり、普段使っているハーブやスパイスと共にチキンやラマじゃなくてラム肉に揉み込んだり、使い方は様々。いずれにしても季節感が出て良い。

午後、ざ・ふぁーむの近くにあるティンポット・クリーマリー( Tin Pot Creamery )というアイスクリーム屋さんに友人と行った。わざわざサンフランシスコから足を運ぶ客もいるらしく、普段は店の外まで行列ができている。この日は平日で変な時間を狙って行ったので、あまり待たずに済む。

アールグレー味が人気だと聞いていたが、朝のボートシューズおじさんを思い出してラベンダーとブルーベリースワールというアイスを選択。あまり甘すぎずサッパリしていて、とても美味しい。暑い日にぴったりだ。

色々試食させてもらったところ、クリームと蜂蜜バルサミコというアイスも頼む。私は甘いものとしょっぱいものが合わさっているのに弱い。フレッシュクリームと蜂蜜はとても甘いけれど、バルサミコの程好い酸っぱさでバランスが取れている。塩とバタースコッチ味もすっごく気になるけれど、また今度にしよう。

ところで、友人とアイスを注文していたら後ろに並んでいる客が大声で、「ねえ、フローズンヨーグルトが欲しいんだけど、ないの?」と店員に聞いた。アイス屋に入ってきてフローズンヨーグルトとは邪道だ。しかし若い店員は笑顔で、「残念ながらフローズンヨーグルトは用意していませんが、当店のアイスは新鮮な牛乳を使ってインハウス (in-house) で作っています。是非お試しください」と丁寧に応答。ここは店員までが爽やかだ。

Or me.

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今日食べたものとか。
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by majani | 2014-06-29 18:20 | 食べる人々 | Trackback | Comments(0)

修羅場とポテト

大学院は精神的に辛い!

まず、博士課程について少し話しておく。研究分野や学校にもよるが、大概のPhDプログラム、殊に文系のプログラムは、学部生のクラスを受け持ったり(teaching assistantship )教授の研究の手伝いをしたり( research assistantship )するのが学者のトレーニングの一環としてある。その代わりに学費、医療保険費、生活費、夏の間の研究費や学会に出る費用等は学部側が持つ。その点、ざ・ふぁーむの私の学部はとても手厚く、院生は大変恵まれていると思う。金銭的な面で悩まずに研究に没頭できるのは、とてもありがたいことだ。

では何が辛いかというと、仕事の量が半端じゃないということもあるが、どの院生も必ず一度は漠然とした不安に襲われる。それは流動的なアカデミアのジョブマーケットの不確実性だったり、あるいは自分のアイディアは果たして十分に画期的かつ面白いだろうかといった内省的な疑問であったり、原因は様々。とにかくモヤモヤした不安を常に肩車しながら、一日一日を乗り越えていくという感じだ。心地良い心境でないことは言うまでもない。そこに体力的な疲労や睡眠不足が加わる。又、極度のあがり症で、毎週毎週やってくる授業を教えなければいかない日が精神的な苦痛、という人もいるらしい。全く何故こんな馬鹿馬鹿しい茨の道を選んでしまったのだ、と過去の自分を罵倒しながら暮らす大学院生は少なくないと思う。

しかし、周りの皆が苦しんでいるのを目撃することによって、特殊な平等間が生まれ、もう少し頑張れるような気になる。仲間意識って不思議。そしてもちろん、苦労した分、何か達成できた時の喜びはそれだけ大きい。

最近、ばてている。気が滅入っている日はジョギングに行ったり、ヨガに励んだり、ざ・ふぁーむ周辺のハイキングルートを歩いたりしてストレス発散してるんだ!と言ってみたいところだが、そんな健康的なことは一切していない。同期の友人がハーフマラソンを走っている間、私は料理を大量に作ってそれを食べたり、ユーチューブでビデオを観たりしている、所謂カウチポテト(couch potato)だ。

カウチ、つまりソファに座ってばかりいる怠け者をジャガイモに喩えた表現である。テレビをよく観るという意も隠れているような気がする。理由は、tuber(塊茎〈作物〉)を tube (あるいは boob tube、最近あまり聞かないが、俗にテレビのこと)にかけているから。因みにユーチューブがYouTube なのも、「あなたのテレビ」ということだから納得いく。

自分が動かない代わりに、他の人が踊り狂っているミュージックビデオを観ては自分も動いている都合のいい錯覚に陥る。ジャネル・モナエがすべすべのオクスフォードで踊っているプロモーションビデオは最近何度もリピート再生している。この髪型は死んでもできないけれど。

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Mémoires du Muséum d’histoire naturelle (1815). « Organographie comparée. Pomme de terre rameuse. »


締め切りなどに追われて修羅場のときは、とうとう自分も動き出す。同居人のスナフキンが留守であれば、台所でお茶を淹れながら一人で踊ったりすることもある。だから完全なカウチポテトではない。ポテトは下手な踊りを踊るアウトドアトマト(?)に変身するのだ

しかし、壁がとても薄いアパートメントなので、近所に迷惑をかけないためスマホとイヤホンで音楽を聴く。私の台所には大きな窓がいくつかあり、電球を入れ替えたのはいいけれど、今度は窓のブラインドが壊れていて常に上がっている状態にある。つまり踊っていると、隣の建物から出てきた人に丸見えなのだ。窓をチラッと覗けば、小さな日本人が一人で静かな台所で気が触れたように腰を振ったりジルバを踊ったりしているので、私の修羅場に出くわしてしまった気の毒な住人は大変不気味な光景を目撃することになる。が、修羅場なので、全然申し訳なくない。お茶を淹れるときぐらい静かに躍らせてくれい。

余談であるが、「修羅場」は英語でなんと表現すればよいのだろう。Obstacles (障害)は生易しすぎるし、hell(地獄)も battlefield (戦場)もなんとなくしっくりこない。

学期も残りわずか二週間。今日も私は静かに踊る。


Or me.

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by majani | 2014-05-28 08:11 | 院生リンボー | Trackback | Comments(0)

チャヨーテを食べる

ビジネススクールの友人ヘブンフィールドさんにお誘い頂き、初めてサンノゼにある日本スーパーに行く。一ヶ月くらい前にヘブンフィールドさん(日本人)とお茶をしたとき、私が帰国時はいつも農大の子が作っているお米を買ってはスーツケースに詰めて持って帰ってくるという話をしたら、「えっ、そんなことする必要ないですよ。米ならこっちでも簡単に買えますよ」とヘブンフィールドさんは大いに驚いていた。まったくそのとおりである。しかし、私は車がなく運転もできないので、食料品の買出しは徒歩で行ける範囲に限られている。バスや電車に乗ってどこかに行くのは別に苦痛じゃないが、重いものをしょって家路につくのが嫌だ。

昔から料理に関しては無頓着である。たとえば、去年まで炊飯器が無かった。炊飯器が家にやってくるまでは鍋や底が少し深くなっているフライパン等でリゾットを作る感覚でご飯を炊いていた。その話をしたら、心優しいヘブンフィールドさんはディープなショックを受けている様子だった。何故突如こんな恥ずかしいことを打ち明けてしまったのか解らないが、とにかくこの話をヘブンフィールドさんは覚えていてくれて、というか私のことを哀れんだらしく、サンノゼの買出しに誘ってくれたのである。

和食は普段作らないが、スーパーで美味しそうな魚、乾物、干物、漬物、調味料等を見ていて心が動く。あれもこれも欲しい。これさえあれば料理のレパートリーもどんどん広がるぞ。ひょっとしたら素晴らしい料理人になれるんじゃないか。自分の中の小さな声が「旅に待ったなし」のマントラを唱えだし、思うがままに色々カゴに入れていたらしっちゃかめっちゃかのコレクションになってしまったが、まあよい。知らないうちにシャンプーとか関係ないものも買っている。この柚子胡椒を使うときもある日来るだろう。その日を気長に待つ。

買出しが終わったら、近くのビルマ料理の店で食事をする。そこでいろんなナッツが入っている茶葉の漬物とキャベツのサラダというのを食べて、美味しいおいしいと唸る。コロナ(一本)、タイガービール(一本)。

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From Hemstreet, Charles (1901). The Story of Manhattan.


チャヨーテの天ぷらというのが気になったのでそれも頼む。ん?チャヨーテってもしかしてネイティブ・アメリカンが西部劇(?)とかでパイプに入れて吸ってる幻覚剤ではなかったかと一瞬はっとするが、それはペヨーテ(サボテン科)だった。一方チャヨーテはセロリのような薄い緑色でみずみずしく、癖のないサッパリした味と食感だ。日本語だと隼人瓜(ハヤトウリ)というカッコイイ名前が付いているが、見た目はあまりカッコよくない。ツルツルしている表面に、うっすら白い無精ひげみたいなトゲトゲが生えていたりする。

夜はざ・ふぁーむの方に戻ってきて、バーのテレビでアイス・ホッケーを観ていたスナフキンと人魚姫さんと合流する。ミスターベアがソムリエをしている店に移動し、心理学研究の話をしたり、海魚と川魚とどう味が違うかという話をしたり、ワイワイやっているといつの間にかワインボトルが二本空いていた。

 

今日は少し二日酔い気味で家でごろごろしている。

朝ごはん。ファーマーズ・マーケットのリンゴ(一つ)、かぼちゃの種入りグラノーラ(一ボウル)。コーヒー(二杯)。

昼ごはん。ピザ(一切れ)。

晩ごはん。キャベツ炒め、炊飯器でちゃんと炊いたご飯、サンノゼで買った漬物、きゅうりのサラダ。玉ねぎとシラントロを和えてスモークド・トラウト(鱒)も食べる。

 

最近、永山久夫著『なぜ和食は世界一なのか』を寝る前に少しずつ読んでいる。本屋で手にしたとき最初に思ったのが、目を三日月にして口を大きく開いてワッハッハと大笑いしている著者の写真が凄く良いということだ。いかにも優しそうで面白そうなおじさんだ。第一章は「卵かけご飯の快楽」で始まる。これを読んだだけで腹がぐうぐう鳴り出す。大豆に含まれるイソフラボンは尿意を抑える効果があると言われているとか、ターメリックは血液を浄化する働きがあるとか、専門的になりすぎない程度のサイエンスあり、『万葉集』に出てくる食べ物に携わる歌あり、長い一日の最後にちょこっと読むのにちょうど良い本である。

私は卵かけご飯が大好物で、できるものなら毎朝食べたい。初めて渡米したとき、卵かけご飯のことを友人に話したら、サルモネラ菌で病気になるからそんな危ないことは止しなさいと注意された。サルモネラ菌は普通殻に付着するものだと後に知り、気をつければナンデモアリフォルニアでも卵かけご飯が食べられるはずだ。それでもアメリカの卵は謎めいている感じがして、小心者の私は未だに挑戦していない。


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by majani | 2014-04-21 15:12 | 食べる人々 | Trackback | Comments(0)


ナンデモアリフォルニアの某大学院で研究中。海外生活、旅、散歩で出会った生き物などの記録です。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


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