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街中のタタンカ

サンフランシスコの街のど真ん中で、北米最大の哺乳類がのんびりと暮らしていることを最近知った。アメリカンインディアン部族のラコタ族が「タタンカ」と呼ぶアメリカンバッファローのことだ。

それがゴールデンゲートパークにいるのだというからビックリ。植物園のついでに、街中のタタンカに会いに行ってきた。

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ゴールデンゲートパーク内。このすぐ近くにバッファローがいる。

同じゴールデンゲートパークでも、花のコンサーバトリーから徒歩45分かかる場所にタタンカはいるらしい。面倒くさがり屋の私たちは車で移動して、広い公園に再び踏み入った。

しばらくして、黄色い野花が咲く原っぱに出た。なんだ、タタンカいないじゃない、おかしいなとウロウロしていると、原っぱのぽつぽつと茶色い物体が微かに動いているのに気が付いた。

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何だか気が抜ける光景である。5、6頭のバッファローが、行き交う人たちに冷たく無視されながら、のそのそと野原を散歩している。群れを作るものだと思っていたが、6頭ぽっちじゃ群れが作れないのだろうか。

タタンカってけっこうコミカルなんですね。一頭、一頭が、道に迷ったかのように無闇にウロウロしている。かと思えば、急に何かを思い出したのか一頭がドドドドドと走り出し、それにつられて他のバッファローも(違った方向に)ドドドと駆け出す。すると今度は、アレなんで走ってたんだっけ?という感じで、パタリと停止する。

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子供の頃、カナダのアルバータ州で過ごした夏休みを思い出した。

アルバータ州カルガリー出身の家族友人に招かれて母と行ったのだが、大自然のアルバータは都会っ子の子供にとってかなりツマラナイ田舎(大人になった今、再訪したら感激すると思う)。友人の年齢が近い息子と最初は張り切って遊んでいたものの、私たちはすぐ退屈し始めた。家族友人は気を遣ってくれたのだろう。親しい友達がバッファロー牧場を運営しているので(今思えば不思議な友人がいるものだ)ちょっと遊びに行ってみないかと提案された。

カナダの牧場で初めて見たバッファローはトラックのように大きく、ひん曲がった背中にボロボロになった茶色い絨毯を無造作に乗せているような奇妙な姿だった。

牧場の気さくなおじさんが、どうだい、餌をやってみたいかいと言った。小心者の私はそうでもなかったのだが、大人たちの「是非やってみなさい」というキラキラした視線の下、「ハイ、では」と小さく答えた。

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柵に近づくとバッファローが何頭かこちらにやってきて、お面を被っているような巨大な頭をゆっくりと振る。馬に餌をやるときと同じ法則で、手を平らにしてバッファローに差し出すのだと教わった。これがすごく怖い。いかにもおつむが弱そうなだけに。

そおっと野獣のごつい顔に手を近づけると、バッファローは助走(?)を付けすぎたのか、私の腕を肘が見えなくなるまでごっそり口に含んだ。噛まれたわけではないが、びっくりして腕を引き出すと餌は消えていて、肘までビッチョリ、白く曇った臭い唾液がまとわりついていた。

後で皮膚が真っ赤になるまで腕をゴシゴシ洗ったが、私は一日中バッファローの強烈なよだれ臭を放っていた。ひどく熱く感じたバッファローの口の中の感触は今も明確に覚えている。

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後日、6千年前からバッファロー狩りが行われてきたヘッド・スマッシュト・イン・バッファロージャンプ(Head-Smashed-In Buffalo Jump)というユネスコ世界文化遺産に登録されている史跡を訪れた私は、ささやかなリベンジとして、史跡の近くでバッファローの肉を使ったハンバーガー、「バイソン・バーガー」を食べた。

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ゴールデンゲートパークからバスで戻ってきた。たまたまバッファローの絵が描いてあるワインを見つけたので、その夜はバッファローのジンファンデルで乾杯。味は、まあまあ。

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でもコルクが可愛い。

ゴールデンゲートパークに住むバッファローたちは食べられる心配なく、サンフランシスコ動物園の係の人たちにちやほやされながら一生を過ごす運命。

街中のタタンカは、今日もおかしな茶色い絨毯を背中にのっけて散歩をしている。




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by majani | 2017-06-22 13:14 | 動物王国 | Trackback | Comments(0)

トカゲと休憩

急にうぎゃ~となるほど忙しくなってしまい、更新が滞っています。

忙しい時期のちょっとしたジレンマ。家で仕事をしているとぐーたらしたい機能がすぐ作動してしまう一方、オフィスだと友人にちょくちょく話しかけられて、気が付くとお喋りで一日が終わっていたり、その日に限って(提出物を待たせている)教授にばったり会ってしまったり。

なので最近は大学の図書館の地下で借りている小さなオフィスに潜り、モグラのように細々と仕事をしている。ビタミンD不足が懸念。

仕事の合間を縫って、キャンパス内にあるラグニータ湖まで足を伸ばしました。

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学部生が大きなラジコンをいくつも持ち合い、湖の上を爽快に飛ばしている。夏休みの予感。

私はすでに6年以上、このキャンパスでのんびり卒論を書いているが、ラグニータ湖に水があるのを見るのは今年が初めて。雨が多い冬のおかげで、景色がガラリと変わっている。

ラグニータ周辺には絶滅のおそれがあるカリフォルニア・タイガー・サラマンダーというサンショウウオの種類が住んでいるらしい。湖が干上がってしまっていた間はどこで何をしていたんでしょうね。

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タイガーサラマンダーかな!と近づいてみたら、二匹のトカゲだった。一番日の当たりの良い休憩場所をめぐって言い争い(?)をしている。

頭では解かっていることですが、窓が無い部屋に一日こもっているのは良くないですね。私も、トカゲと少しだけ日向ぼっこをしていきましょう。



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by majani | 2017-05-03 06:48 | 院生リンボー | Trackback | Comments(2)

ハーバード自然史博物館

ロンドンからナンデモアリフォルニアに戻ってくる途中、ハーバード大学に寄り道をすることになりました。

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久々の東海岸・ニューイングランドらしいキャンパス。

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UCLの動物博物館に次ぎ、ハーバードの自然史博物館を訪れる。

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まずは Glass Flowers の展示室に入る。ドレスデンのガラス工芸家、レオポルド・ブラシュカとその息子ルドルフ・ブラシュカによる「ブラシュカ製ガラス模型」の世界最大のコレクションがここハーバード大学の自然史博物館にある。

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部分拡大されたベ二ハナインゲンの模型。ハチによる授粉の様子を精密にとらえている。

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ブラシュカ親子の工房は19世紀後半から20世紀半ばに向けて、ヨーロッパとアメリカの博物館や教育機関のためにガラス製の生物模型を作っていた。例として、前回紹介した University College London のグラント博物館が保有するクラゲやウミウシの模型もブラシュカガラスだ。

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このカシュ―は年中、実が生っている。

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次の「進化の部屋」に進むと、おどけた顔のこんな子が。

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虫の世界の食生ピラミッド。ベジタリアンの方が基本的に派手?

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古脊椎動物学の部屋にのこのこ入っていくと、12メートルにも及ぶクロノサウルスが大きな笑顔で出迎えてくれた。クロノサウルスと二人きりの部屋は静かで居心地が良い。

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新生代の部屋にはマストドンや、

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巨大なナマケモノ(右奥)やサイとカバのあいの子のような奇妙な哺乳類の化石。真ん中の動物はアルマジロに似ているような、似ていないような・・・。

当時、南アメリカ大陸は海で囲われていたため、他の生態系と関わることなく、まさしく bizarre な、不思議な動物がどんどん進化していったのですね。

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現代の動物は地域別に標本がアレンジされている。南米・アマゾン熱帯雨林の動物が特に面白い。普通サイズのナマケモノがにっこりしている。

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哺乳類の標本は大きい分インパクトがあるが、鳥にも是非注目したい。威厳のあるタカにちっぽけなハチドリ、エメラルド色のフウキンチョウから一見地味なシジュウカラまで、多様な鳥の標本が保有されている。

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ダーウィンはガラパゴス諸島に生息するフィンチの多様性に進化論のヒントを得たとか、所々に丁寧な説明がある。

よくできているなあ、教育的だなあと感心していたところ、大泣きをしている子供がこちらにかけてきた。死んでいる動物ばかりで怖くなってしまったようだ。無理もない・・・。

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大型の哺乳類が集まる部屋。いよいよ博物館のフィナーレです。

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吹き抜けになっている二階に上がると、クジラの骨を間近で見ることができる。

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二階の壁に展示されているのは主に鳥の標本。

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私が特に気に入ったのは、杏子色のへんてこりんなアンデスイワドリ。

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シンガポール以来会っていないオオサイチョウと再会する。

そして・・・

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・・・ラマがいました!



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by majani | 2016-12-23 09:18 | 動物王国 | Trackback | Comments(0)

奇妙なロンドン

最後に、ロンドンの奇妙な博物館を二件紹介する。

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ベンサムのオート・イコンを拝み損ねた後、University College London の Grant Museum of Zoology に向かった。

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恐竜の化石、クアッガやドードーなど最近絶滅した動物の骨、普段見られない深海魚やウミウシのホルマリン漬け動物標本などで溢れかえる動物学の博物館だ。ちょっと変わっている生き物が大好きな私にはたまりません。

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博物館で「人気がある」展示物に、瓶にぎゅうぎゅう詰めにされた18匹のモグラ等があります。とにかく不思議な空間。上はモグラほど気味悪くない、始祖鳥の化石。

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後ろに写っているのが、ドードーの骨(の一部)。手前はワラビーの胎児と、絶滅したとつい最近まで思われていた、オーストラリアに生息する central rock rat の標本。

動物学を専門とするUCLの大学院生が受付や説明係を任されている。こんなことやらされてなんて不憫な大学院生なんだ!とリルケは可哀想がっていたが、大学院生は自分の分野について話すのが好きだから、ぴったりな仕事だと私は思う。

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ガラス製の模型も充実している。標本や模型は、動物学・比較解体学の教育に使われる。

募金をすると動物の標本を adopt、すなわち「養子にする」ことができる。年間20ポンドで、ウミウシの親になれるのです。

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さて、UCLから少し離れたLondon School of Economics に用事があり、帰りに近くのカフェ Fleet Riverでほうれん草とチーズのキッシュとバーリーサラダをむしゃむしゃ食べる。学生の街は若いエネルギーがあって、こちらも元気が出ます。

教授とマリルボーンでワインを飲む約束をしているが、Sir John Soane’s Museum に寄り道。18世紀から19世紀にわたり、イギリス人建築家ジョン・ソーンがヨーロッパや北アフリカのあちこちで収穫してきた建築物の破片、彫刻、工芸品、絵画、骨董品などが、家中にざっくばらんな感じに飾ってある。

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古代エジプトのサルコファガスから、ウィリアム・ホガースの18世紀の連作油彩画―手あたり次第拾ってきたのではないかと思わせる多様なジャンルの美術品。

ソーンの邸宅がそのまま博物館になっているのだが、この建築がまた面白い。狭い入口を抜けていくと、ありとあらゆる所に階段や小さな廊下があり、くねくねと階段を上ったり下りたりしていると、いつの間にか隣のフラットの中にいる。メジャーな大英博物館やナショナルギャラリーとは全く雰囲気が違う、迷路のような美術館・博物館だ。

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これでロンドンともお別れ。まだこの街に住むかどうか決めていませんが、有意義な旅でした。

ロンドン「下見旅行」おわり。



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by majani | 2016-12-22 08:00 | 動物王国 | Trackback | Comments(0)

ハワイに行く

この夏、ざ・ふぁーむで高校生対象の集中講座を一カ月間教えていた。

アメリカ合衆国他、9カ国から集まった優秀な高校生と共に毎朝三時間ほど過ごし、生徒たちとカフェテリアで昼食、午後はコーヒーをぐびぐび飲みながら研究、夜は翌日の講義のスライド作り、という生活をつい最近までしていた。ティーチングアシスタントの経験を積んでいるにしても、連日、新しい講義や課題を考えるのは相当大変な作業で、毎晩失神するようにベッドに倒れ込んでいた。

そんな中、私は48時間だけハワイに逃げた。

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マウイ島の空港に降り立つと、暖かい風がびゅうびゅう吹いていて、スーツケースを持って行かれそうになる。Uber の車の中、同い年くらいの女性運転手に「スコールが来るの?」と尋ねると、彼女は笑顔で、「マウイはよく雨だとか曇りだとか天気予報で言っているけど、雨は絶対に降らないの」と言う。平坦な草むらの上に広がる空を車窓から確認とすると雲は今のところ少ない。一日持ちこたえるどころか、その後かんかん照りになった。

「マウイは初めて?」と運転手さん。

実はハワイ自体が初めてです。翌日、大学時代の親友ルポがワイレアの高級ホテルで結婚式を挙げることになっている。

すでにサンフランシスコ、ニューヨーク、フィラデルフィア、ロンドンからそれぞれ着いている友人達が待つマリオットホテルに向かう。空港から30分ほどのドライブの間、優しい運転手さんはうんうん唸りながら私が二日間ぽっちでどこを観光できるか真剣に考えくれた。沢山のアドバイスをありがとうと最後にお礼を言うと、彼女は「ちょっと待って」と車のトランクからガサガサと木箱を取り出した。開けると蘭の造花のヘアクリップが沢山入っている。好きな色を選んでと促され、紫のを手に取ると、「ボーイフレンドいるの?」と急に訊く運転手。シングルの女性は頭の右側に花を差し、既婚者やパートナーがいる場合は左だとか。何が始まるのかとドキドキしてしまいましたが、何も始まりませんでした。

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耳の上に蘭を差し、マリオットホテルの開放的なロビーから海をぼーっと5分ほど眺めていると、サンダルのぱたぱたという音がして、水着姿の友人達が迎えに来てくれた。

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ホテルの部屋のバルコニーから見える青々とした風景は、カラカラに乾いている北ナンデモアリフォルニアとは大違い。ヤシの木まで感じが違う。ここに一カ月ほど住みたい、とも思う。

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さて、ニューヨーク時代の友達は皆、酒好き。スポーティーな人間でもないので、誰もハイキングに行こうとか疲れることを提案しない。初日は気楽にリハーサルディナーを楽しんで終わる。

それがプールサイドでカクテルを啜っているのに少々飽きてしまったのか、誰かがシュノーケルしないかと言い出す。結婚式当日に4時間もかかるシュノーケル遠征は無茶だったと気が付くのは、もっと先のこと。翌朝、 Maalaea の港を出発。

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小さな船の上は揺れが激しい。水しぶきが容赦ないので写真はあまり撮れなかったが、Turtle Town というワイレア側のエリアと、もう少し沖に出た場所にある Molokini Craterという三日月型の島の二か所でシュノーケルをした。ボートに乗っているのは私たち7人を含め20人程度で、船酔いをする人もいたが、全般的に落ち着いた雰囲気。

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タートルタウンで、名前の約束通り、ウミガメを何匹か発見。側でパドルボードをしている人間に興味を持ったらしく、ウミガメは近くまでやってきて頭をポコンと水面から出したりする。その大きさにはびっくり。宇宙船のようにサンゴ礁を静かに巡回しているのは実に神秘的な光景だった。少し距離を置いて一番大きいのを追ってみたが(ウミガメにちょっかいを出すのは違法)、彼はしばらくすると「では、私はこれで」と会釈するように顔だけちらりと向けて、潜っていった。

ウミガメの他に、ハワイ語で Humuhumunukunukuapua’a という、もの凄く長い!名前のモンガラカワハギ科(triggerfish)の一種、ムラサメモンガラに出会う。英語ではピカソ・フィッシュとも呼ばれているほど、なんだか素っ頓狂なお顔をしている。

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うんうん確かにピカソの絵画にこんな顔の人いるよね。Bien, Julius. 1903. "Humuhumu Nukunuku Apua'a."

ガイドのお姉さんが時々口ずさむ魚のハワイ語の名前を聞いていて、humuhumu は 一般的にtriggerfish (モンガラカワハギ科)のことをいい、その後に付く名前から具体的な種類に分かれるのかなと、漠然と理解し始めた。例えば、Humuhumu’ele’ele は英語だと black triggerfish で、窄めた口の形は先ほどのムラサメモンガラに似ているが、身体が黒くて模様が全く違う。

水深150フィートまで全てがくっきり見られるモロキニ・クレーター周辺でフムフムエレエレをよく見かける。彼らは黒い群れでつま先までやってきて、泳ぎ去ろうとしてもふてぶてしく後を追ってくる。少し不気味な海のギャングだ。ここは風が強く波がかなり荒い。30分ほどエレエレに追われながら楽しんでいたが、これ以上風が強まったら波に飲み込まれて島の裏側に出てしまうのではないかと急に不安になり、早めに船にあがってホットドッグを食べることにした。

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シュノーケルを終えて港まで戻ってくると、山火事が発生。

灰が舞う中、顔をジャケットで覆い近くの土産品店に駆け込み、迎えの車を待つことにする。二時間後には結婚式が始まる。



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by majani | 2016-08-01 08:48 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

バサフィッシュにうってつけの日

ナンデモアリフォルニアの魚は高い。

「こんなに高いのはおかしい、新しいスーパーを開拓してみよう」と、フィアンセ氏と Yelp で好評の小さなマーケットに行ってみた。今日はそこで起きたとんでもない勘違いの話。

コリアンダーが一束75セント、元気そうなイタリアンパセリが二束で99セント。玉ねぎもジャガイモもニンジンもぷりぷりのローマトマトも、さらにスパイスまでが、普段使っているトレーダージョーズ、セーフウェイ、ホールフーズよりも断然に安い。ヒカマやトマティーヨや、何種類ものチリを売っているので、ヒスパニック向けのスーパーなのだろうか。チーズや肉の商品名が全てスペイン語表記だ。

困ったことに、何が何だかよく分からない。

チキンは分かったけれど、このゴテゴテした物は一体チキンのどの部分・・・?ビーフに関しても普段使い慣れているカットが全く見当たらない。うーんうーんとガラス越しの肉をにらんでいると、ニコニコした店員が奥から出てきてスペイン語で話しかけてくる。謎のお肉で冒険するのはおっかないので(一つひとつ説明してもらうのも面倒くさい)、「ケントウチュウデス」と返答してさささと移動する。

魚はありがたく英語表記だが、三種類しかない。ティラピアとキャットフィッシュとバサ、とある。

ティラピアはとても安い白身魚で、スパイスなどで積極的に助けてやらないと味があまり良くない。キャットフィッシュはナマズのことである。長時間オーブンで焼くかしっかり揚げないと生臭いのがしつこく残るので、私は苦手だ。あとナマズだけさばかれていない。髭がぴよ~んと出ていて、少しグロテスクな点で却下。

「Basa だって。バサって何だろう」

「Bass のスペルミス?スズキかな」

「でも川にもバスっているよ」

ちょうど二日前に観ていたイギリスの昔の料理番組で、アメリカのブラックバスが湖や川に帰化してしまって生態系を荒らしているという話があった(確か日本でも問題)。

「じゃあ野生のバスを食べると環境にいいのかなあ」

ごにょごにょ二人で喋っていると、先ほどの店員がまたこちらに来て、早く注文してくれという顔をしている。

「待ってるよ。どうするどうする」

「よし、じゃあバスにしよう。一番安いし、美味しそうだ」

「バスを、二切れ下さい」

店員はニコニコしている。

「バサね」

ん?今、直されたような気がしたが。どっしりと重い魚を2ポンド3ドルで受け取り、野菜なども買って6ドルちょっと。こんなに安くていいものなのか。

帰りの車でふと気になった。

「あの人、バスじゃなくてバサって言ってたような気がする」

「でもバサなんて聞いたことないよ」

「うん、そうだけど…」

家に帰って「バサフィッシュ」をインターネットで検索してみた。最初に出てくるのは、「バサフィッシュは絶対に食べるな」とか「バサは危険」とかそういうページばかりである。

「ぎゃー、やっぱりバサって違う魚なんだ!」

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こちらが正解。学名は Pangasius bocourti 。参考文献:Roberts, T. R. and C. Vidthayanon (1991).


よく考えてみれば(よく考えなくても)バスを誤ってバサと書く店があるわけがない。バスがティラピアより安い時点で疑うべきだった。素直にお肉を買っていたほうが、冒険しなくて済んだかも。

しかもバサフィッシュは私が苦手なナマズの種類である。

メコン川に生息する淡水魚で、アメリカに輸入される養殖魚は、米国政府に許可されていない強い抗生物質をばんばん与えている可能性があるので要注意、とある。米国ナマズのロビーにより(色々なロビーがあるんだなあ)、ベトナム産の Pagasius bocourti は国産の「真の」キャットフィッシュとして扱われない。法的にバサフィッシュ等と表記しなければならないようだ。実際、私たちが行った店では生産地のセの字も表記されていなかったが、「バサ」として売られていたためベトナム産だと思われる。

人を怖がらせるために大袈裟に書いているウェブページが多いが(それこそナマズロビーの暗躍をにおわせる)、中には食べても安全と説明しているサイトも。本当のところはどうなんでしょう。

捨ててしまうのもバサフィッシュが可哀想なので、仕方なく調理にかかる。レモン汁で洗い、塩コショウ、コリアンダー、タラゴン、チリ、カイエンペッパー、パプリカ、ナツメグ・・・ありとあらゆるスパイスを丹念に塗りこみ一度焼く。身がほろほろしているのかと思ったら、意外としっかりしていて崩れない。ニンニクで炒めた玉ねぎとリークを放り込み、熟したトマト、はちみつ、ベイリーフ、タイム、ストックと大量の酒でひたすら煮る。

真っ赤な鍋の中を覗きこみながら、サリンジャーの短編小説、『バナナフィッシュにうってつけの日』を思い出した。主人公のシーモア・グラースが、海辺で出会った小さな女の子シビルにバナナフィッシュの話をする。バナナフィッシュは海の中の洞穴に大好物のバナナを沢山見つけるが、バナナを食べているうちに大きくなりすぎて洞穴から出られなくなってしまい、そこで死んでしまうのだ。

鍋の中でぐつぐつしているバサフィッシュ。薬を食べていたら大きくなりすぎてしまって、収獲されたのかな。

バターライスと一緒によそってみた。

できあがった甘辛フィッシュシチューは魚の味が区別できないものになっていた。適当に作ったわりにはとても美味しいが、メコン川の底で育った薬漬けの魚を食べていると思うと何となく嫌な気分である。

「やっぱり魚が高いのは、理由があるんだよ」

明日からはホールフーズで一番高級な魚を買うことにする。


Or me.

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by majani | 2015-09-28 08:57 | 食べる人々 | Trackback | Comments(0)

エルクの愛の仕草

エルクの愛のしぐさを学ぶために、ポイント・レイズに出かけた。

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サンフランシスコのさらに北にあるポイント・レイズは、牡蠣がその場で食べられるオイスター・ファームや、新鮮な乳製品が手に入る広大なフリーレンジの牧場などで知られている。しかし小さな半島の一角には、和香に草を食べて過ごす牛以外に大きな動物がいる。ナンデモアリフォルニアにしか生息しない大型の鹿、トゥール・エルク(tule elk)だ。

エルクがどうしても見てみたくて夢にまで出てくるようになったと言うヘブンフィールドさんとポイント・レイズ・ナショナル・シーショア国立公園を訪れた。

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Point Reyes National Seashoreでは年中エルクが見られるが、往復で15キロ程あるハイキングトレールは海岸沿いの冷たい風にさらされる部分もあるので、暖かい時期が一番快適。

もっとも、8月上旬から9月いっぱいはエルクの愛の季節。繁殖期を迎えたエルクの奇怪な求愛行動や、「ラッティング」(rutting)と呼ばれるオス同士の戦いが間近で見られる時期である。


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ラットが見られるかワクワクしながら、ハイキングトレールの入口にある古い牧場を目印に車を停める。

靴を履き替えていると、いきなりエルクのグループが丘の上に現れた。こんなにすんなり見つかってしまっていいものなのか。少し遠い場所にいるので、とりあえずトレールにのってハイキング開始。

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レッドウッドのハイキングトレールとは全く違う雰囲気。遠くに見える岬は霧がたちこめていてハッキリとしない。

木陰がないトレールだから帽子と日焼け止めは必需品。けっきょく両方とも忘れてきて、一番暑い正午にのこのこ歩き出した。この日は曇りがちで荒涼とした風景に感じられたが、かんかん照りの中15キロも歩いていたら辛かったと思う。

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エルクのお尻は白い。

トゥール・エルクは様々な危機を乗り越えてきた野生動物である。昔はナンデモアリフォルニアで幅広く見られたが、州の開拓と共に乱獲により19世紀後半になると絶滅の危機に追い込まれてしまった。70年代の保護運動に伴い、マリンカウンティのポイント・レイズ・ナショナル・シーショア国立公園を含む数か所にエルクの保護地区が設けられ、現在は健全な数に戻りつつある。(最近の干ばつによる影響が懸念されているが。)

・・・それにしても、絶滅しかけたとは信じ難い勢いでポコポコと現れるエルク。

エルクは群れで行動する。上のように、一頭の強いオスが沢山のメスを連れて、つまりハーレム状態のグループを率いる。弱いオスはオス同士のグループでいるが、チャンスを見計らってハーレムを奪いに行くことがある。立派な角をぶつけ合い勇敢に戦うも、挑戦者に敗れたオスはハーレムを譲る。悔し涙を流したり、可愛いメスを侍らしていた古き良き時代を思い返したりするのだろうか。エルク社会は厳しい。

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たまに、もどかしいお年頃のオスを目にする。ハーレムを離れるには若すぎるが、お母さんにずっとくっついてるのも格好悪い。角が生え始める頃だけど、ちょっと変に生えちゃったりする。人間でいうと、ニキビが出だして自意識過剰になっている中学生か。

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一方、こちらは池の近くにいた小さめのハーレム。オスは一生懸命一頭のメスを追い回すが、全く相手にされない。逃げ回るのにウンザリしたメスはぺたんと草の中に座り込み、完全拒否体制に入る。そんな気分じゃないらしい。

それでもオスは積極的に求愛し続ける!メスが一瞬気を抜くと、すかさず彼女の尻をペロペロ舐め始める。するとメスは「やめてんか!」という顔をして嫌がる。やめたふりをして、またペロペロする。

「あの舌・・・なんだか気持ち悪いですね」

と見ているこちらもオスに嫌気がさす始末。時折、「えへえへ」と鳴くオス。

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ぺろぺろ。やめれ。

面白いのでしばらく観察していると、オスがだんだん悲しそうな表情になってきた。エルクって意外と表情豊かなんだなあと感心していると、オスはじれったそうに、いきなり「きょえええええ!」と鳴いた。びっくりするほどのボリュームで、こだましている。

好きな子に拒まれた悲しみの「きょえええええ」だと思っていたが、後に他のエルクのグループを観察していると、どうも他所のオスが近づいてくると出す鳴き声のようだ。ホルンの音色の様でよく響く。それはラットする前段階の雄叫びで、次に両者はどんなもんだーいと角を見せ合い、無駄な怪我を負わないようにお互いの強さを見極めている様子である。

何回かこういう場面に出くわしたが(死角から急に車サイズのオスが飛び出してくるとかなりコワイ)、いずれにしても挑戦者が「ヤベ、あいつ思ったより強いんじゃね?」と引き下がっていき、格闘に至らず。ハーレム奪回の決定的な瞬間は見られなかったが、まあ平和が保たれてよし。

可笑しいのが、オスが吠えたりケンカを売ったりしている大騒ぎの中、ハーレムのメスたちは見守るわけでもなく、完全に無視してあちらで黙々と草を食べ続ける。自分たちの将来が一瞬にして変わるかもしれないのに、この平常心(?)は凄い。気が付いたらハーレムのリーダーが変わっていた、なんてこともあるのかな。

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半島の先まで来ると、土が砂に代わり、二時間サスペンスらしい崖っぽい場所に出る。エルクの姿は消え、今度はピンと背筋を伸ばした沢山の鵜(ウ)が岩に座っている。ここがトレールの終り、折り返し地点だ。見晴らしの良い場所を選び、好奇心旺盛なカモメに見張られながらおやつを食べて脚を休ませる。

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帰りは人間にほとんど会わない。野生の七面鳥やウズラがまだ餌を探していて、小さなねずみやジリスも草むらの中を駆け回っている。動物の気配がずっとするトレールだ。

エルクも夕方が食事時なのか幾分か活発になっている様子で、道を通せんぼしていたりする。近くにいるとぷんと野生の動物の匂いがし、そろそろ避けながら歩き進むとエルクは大きな白い尻を振って急な谷間を駆け下りていく。

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道を通せんぼしていたメス二頭のうちの片方。私たちが側を歩いていても萎縮することなく、美味しいものを探し続ける。

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あ、目が合っちゃった。モグモグしながらじっと見つめられると、何だか落ち着きません。

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夕方、車を停めた場所に戻ってくると、道の真ん中に怪しい物影が。

「マウンテンライオン?!」とヘブンフィールドさんが喜んだが(危ないのにずっと見たがっている)身体が一回り以上は小さい。顔がお面のように険しく、ずんぐりした大型のネコだ。一瞬のことだったが、ボブキャットではないかと私は思った。ヘブンフィールドさんが駆け寄っていくと(危ない)ボブキャットらしき獣はギクリとして、そそくさと道を渡って逃げて行った。



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by majani | 2015-09-11 14:58 | 動物王国 | Trackback | Comments(0)

再びあの森へ

それは普通の水曜日。一年近く経ち、リベンジの時がやってきた。

バナナスラッグが住む森にまた挑むのである。

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去年の秋、ヘブンフィールドさんに連れて行ってもらった時は、思いのほか高度の変化が激しく、運動不足で喫煙者でもあった私は死に絶えるのではないかと思った。最初は可愛らしかったバナナスラッグも凄まじい数で現れ、この世の終り感を演出。ここで倒れたら巨大ナメクジに食われるのだとめっきり弱気になったところ、ハイクが終了したのであった。今年は、殊に手術以降は、健康維持に(珍しく)気を使っているし、禁煙も(まあまあ)続いているし、運動も(人に言われて)いそいそとやってきた。それにキャメルバック(ラクダのコブ)というブランド品の優れた水筒まで備えている(ヘブンフィールドさんの)!

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プリシマ・クリークの森に到着。

バナナスラッグの居住地、Purisima Creek Redwoods Open Space Preserve は山の方からレッドウッドの森に入る方法とハーフムーンベイの海側から入る二つがある。前回は Skyline Boulevard からずっとプリシマの小川まで下る方法で痛い目を見たため、今回はビーチ側から潜入。元気なうちに山を登り、トレールを一周ループして最後にまた下ってくる作戦である。Higgins Canyon Road が Purisima Creek Road にあたる西側の入口に車を停め、森の中へ。

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まだ暑すぎるのか、バナナスラッグは二匹しか見なかった。それも細々としていて、去年見たものと比較すると色も何となく薄い。

バナナスラッグは夏の間は木の葉にくるまったり倒れ木の穴に入り込んだりして、身体が乾燥してしまわないようにしている。ナンデモアリフォルニアが実際に秋めいてくるのは10月半ばから11月にかけてで、それもあっという間に過ぎてしまう短い秋である。バナナスラッグ日和になるのはまだ少し先だ。

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干ばつで山火事が頻繁なナンデモアリフォルニアだが、小川が流れる森はしっとりと湿気がある。

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道端で作り物のようにテカテカしたイモリの一種に遭遇。カリフォルニアイモリの仲間?濡れた身体は光沢感があり、そっと近づいて見ると模様が何となく毒々しい。

「全然逃げようとしませんね」

たしかに、私たちはいつも動物に逃げられてばかりいるが、イモリは澄ました顔にカメラをぐっと近づけてもピクリともしない。死んでいるのではないかとヘブンフィールドさんと話していると、後ろから短パンのおじいさんがガシガシやってきて、

「やあ、何を二人で騒いでいるのかと思ったら、ただのイモリか!」

おじいさんは妙に軽装で、脚と腕の干し柿のような素肌が丸出しである。近所の人だろうか。呆れている様子なので、こちらもつい、「はあ、見るのが初めてなので」と恥ずかしそうにしたら、

「私はもう何百匹ものイモリを見てきたが、これほど大きいのは珍しい」と言う。

本当かどうか知らないが(何百匹はすごい)ちょっぴりラッキーな気分にしてくれたおじいさんは、手を振ってさっさと先に行ってしまった。その後も何度も立ち止まったので追いつくことはなかったが、イモリごときで大騒ぎをする変なアジア人観光者だと思われたことだろう。

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しばらくすると森が開けて、レッドウッド以外の木々やハックルベリーの茂みが目立ちだす。ツタウルシに触れないよう気を付けながら進む。

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海も遠くにチラホラ見え、単調にならないのが良い。しかしイモリのおじいさん以外、誰にも会わない。

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去年はここまで来て引き返したのを覚えているが、今回は12キロ程度のトレールを歩き切った。

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帰りにハーフムーンベイの町に寄り道。以前から目を付けていたグリルチーズサンドのフードトラックに寄るが、残念ながら水曜日はお休みだ。ベーカリーでクッキーを買い、海が眺められるベンチでおやつを食べる。

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夕方、ビーチの近くでヤギが草刈りに貢献している。半分だけ毛刈りをされた半裸の羊も混じっていて、私たちが歩いて通ると濡れた眼でじっとこちらを見つめていた。

ハイク、無事終了。リベンジが果たせたことにしておこう。



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by majani | 2015-09-09 11:53 | 動物王国 | Trackback | Comments(0)

紅茶とワラビー

シンガポール旅行記の続き。20年ぶりに、世界的に知られるシンガポールの動物園へ。

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シンガポール動物園の長所は、檻や柵を使わず、動物を堀で囲むなどして展示していること。泳げる動物はちょっと厄介で、その昔は「動物園からカバが逃げました」とかたまに聞いたけれど、最近はこんなハプニングはないのでしょうね。野生のクジャクもそこらをのこのこ歩いていたりするので楽しい。資金不足の動物園にありがちな、小さな檻の中を行ったり来たりする哀れな動物は、ここに(ほとんど)いない。

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動物園は三つある。日中の動物園、夜行性の動物の生き生きとした姿が見られるナイトサファリ、そして世界の河川に生息する生き物を中心とするリバーサファリ。リバーサファリは比較的新しいので、私がシンガポールに住んでいた頃はまだ存在しなかった。また、忘れられがちだが、北西のジュロンの方に、動物園と同じ会社が経営しているバードパークというのもある。

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学会の後なので、夜の動物園、ナイトサファリへ。親とピーターパンさんと待ち合わせ、ゆっくり中華を食べた後の出発だ。入口では、ずんどこずんどこ音楽が流れており、「これ聴いてると、なんだかワクワクしちゃいますね!」とピーターパンさん。

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ナイトサファリの戦略はこうだ。まず、園内をぐるりと一周するトラムに乗り、ガイドさんの面白くないあまりに思わず笑ってしまうジョークを聴きながら、目ぼしい動物を一気に見る。ガイドは暗闇の中で動物を見つけるのに慣れているので、石の上になんちゃらが座っているとか、木の手前になんちゃらが寝ているとか、すぐ教えてくれるのが良い。

次は徒歩でトレールを辿り、トラムから見られない動物をじっくり観察する。世界最小(だったかな?)の鹿の仲間、ディクディクが見られるフィッシングキャットトレールや、ワラビーが前をぴょこぴょこ横切るワラビートレール等。ピーターパンさんは、初めて身近で見る愛くるしいモモンガに心を奪われ(でも本当に暗闇の中ぴゃっと飛びついてきたら怖い)、私はマレーバクのふにゅふにゅした唇(鼻?)に興奮。暗い中で、ぼーっと突っ立っているサイも、何となく味わい深い。

最後にアンフィシアターで Creatures of the Night という動物ショー(これ、脚本が上手い!)を観て、都心に戻るバスに乗ればバッチリ。オーチャードロードへ戻る最終バスは11時に出てしまうが、ナイトサファリは深夜まで開いているので、タクシー乗り場でしばらく待つ覚悟をして、最後まで歩きまわっていたい。

都心に戻ってきて、 St. Regis Hotel の Astor Barブラッディメアリーの激辛シンガポール版、Bloody Padi Mary をちびちび飲みながら、翌日の研究発表の練習に取り組んだ。重要な発表の前夜にナイトサファリなんかで遊ぶんじゃなかった、なんて全く思わない。それくらい面白かったのです。

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後日、新しいリバーサファリへ。手足があるような奇妙な淡水魚を色々見た。

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例えばこの魚。ちょっとマヌケな笑顔が、チャーミング。

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ジュゴンのサラダバー。

川魚や爬虫類だけだと淡泊だと経営者が考えたのか、哺乳類もいる。レッサーパンダ(川の近くに住んでいるのか?)、ジャイアントパンダ(これも謎)、アマゾンの熱帯雨林に住む様々な種類の猿、ジュゴンなど。ピーターパンさんと、頭上の木の枝に座っているオマキザルを見上げていたら、おしっこをかけられそうになった。

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レッサーパンダも食事中。

動物園(日中の方)の裏側からキリンなどが遠目に見える遊覧船と、もう少し遊園地っぽいボートライドがある。遊園地っぽい方は、南米のアマゾン川地帯に住む生き物が、ボートの両脇で個々の「ハビタット」にいる。

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ここでもやはり檻を使っていない。絵の具で塗ったように紅いショウジョウトキ( scarlet ibis )や、ひょいひょい木を渡るホエザル( howler monkey )がどうして逃げてしまわないのか、とても不思議に思う。ジャングルの猛獣、ジャガーはさすがにガラス張りの檻に入れられていて、少し可哀想だった。

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バードパークの涼しげな滝。

まだまだ続く。オオサイチョウが見たかったので、とうとうジュロンバードパークまで行ってしまった。

オオサイチョウとは、羽を広げると1.5メートルを超える鳥で、長いまつ毛と、間違えてバナナをくちばしに乗っけてしまったような(バナナスラッグにも見える)可笑しな頭が特徴的である。自然に発生するのかよく分からないが、クジャクと同様、普通の住宅街でオオサイチョウや帰化してしまったコカトゥーを見かけることがある。

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カンムリバトを追っていった。グレーがかった紫色の美しい羽にふっくらとした個体、ルビーのような赤い目、そしてもちろん放射状に広がる見事な冠。こんなに派手なものがインドネシアの森林をとことこ歩き回っていたら実に神秘的だ。残念ながら絶滅のおそれのある鳥で、沢山はいないらしい。

僅か数日間で、セントーサ島の水族館、ナイトサファリ、リバーサファリ、更にバードパークを訪れている。(そうそう、あと学会ね。)私は大学院生という無責任な立場にあるが、会社勤めのピーターパンさんは東京から週末だけ来ていたので、随分ファイトがあると思う。

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やっとここで核心の話に移る(と言っても大した話じゃない)。

2008年だったかな、The New Yorker 誌のウェブサイトで「紅茶とワラビー」というオーディオスライドショーを観た。インターネット検索しても見つからなくなってしまったが、たしか世界中を駆け巡る報道写真家の、たまに質素でたまにヘンテコな食事を紹介するスライドショーだった。実に印象的だったのが、オーストラリアで好奇心旺盛なワラビーに囲まれながら、優雅に紅茶をティーカップから飲むフォトジャーナリストの写真である。(英国人だったのかな?)ハイソサエティーな紅茶と野生のワラビーという奇想天外な並置だからこそ、面白い。それに英語だと tea and wallaby になるから、上手く韻を踏んでいるんですね、これが。

紅茶とワラビーほどヘンテコな展開にならなかったものの、ジュロンバードパークでホロホロチョウや何となく臭いフラミンゴを見た後、タクシーに乗り込んでマリーナベイサンズの紅茶専門店 TWG に向かった。

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マリーナベイサンズとは例の船みたいなのが上に乗っているビルである。高級ブランド店が並び、カジノまである。建物の中に細い運河(?)が流れており、ラスベガスの真似をしたのか分からないが(ラスベガスはベネチアの真似をしたのか?)、シンガポール人が観光客を乗せてゴンドラをきしきし漕いでいる。リバーサファリでボートに乗ってきた私が言うのもなんですが、不自然だなあ。

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TWG の紅茶は土産物として人気。店で色々な紅茶の香りを嗅ぎ、気に入ったものを選ぶといいが、缶のデザインで決めるのもよし!店員に訊くと、こちらの方がベルガモットが強いとか、これはバニラが入っているとか、細かく教えてもらえる。隣の喫茶店は土産物として売っていないティーが何十種類も揃い、上品なスコーンや、耳がきちんと切り落としてあるティーサンドイッチなどと一緒に、「文学的な紅茶」などと面白い名前が付いているお茶が楽しめる。

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ぎゃあぎゃあ騒いでいたオウムやコンゴウインコたちの世界から、一気に文明社会に戻ってきた感じだ。私はお土産に買ったオウムのぬいぐるみを持ち歩いているのが急に恥ずかしくなり、父のリュックに無理やり詰め込んだ。

「バードパークから乗りつけた観光客はそういないと思うよ」と父。自慢しているのか呆れているのか、曖昧である。

父は人知れずオウムを背負い、嬉しそうにダージリンをすすっていた。


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by majani | 2015-06-21 09:16 | 動物王国 | Trackback | Comments(0)

砂漠に行く

南デモアリフォルニア旅行記の続き。

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ロサンゼルスを後にし、砂漠地帯にやってきた。ジョシュアツリー国立公園だ。


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ジョシュアツリー(Joshua tree)とはこのニョキニョキした木のこと。

私にはコミカルでひょうきんな木に見えるが、モハーヴェ砂漠を横断してきた真面目なモルモン教徒の開拓者たちには、空に手を上げて祈るジョシュアのように見えたことから、「ジョシュアの木」という名前が付いたとか。(ジョシュアがどんな人物だったかは、ええと、省く。知らないので。)

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公園の入り口付近の案内所に立ち寄ると地図や冊子などがもらえ、5分で歩けるハイキングトレールがある。本チャンの砂漠に乗り込む前のウォームアップと考えても良い。運良ければ砂漠に生息するウズラや小鳥が観察できる。

昔オアシスがあった場所には立派なお髭を生やしたヤシの木が聳える。

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まるで手塚治虫の『火の鳥』に出てきそうな幻想的な植物を発見。オコティロ(Ocotillo) という。近くでよく見ると枝がトゲトゲしていてサボテンのようだが、実はこの砂漠で数少ない落葉性の植物で、葉は派手な赤に染まる。

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ふわふわした縫いぐるみの手足を想起させることからテディベアサボテンと呼ばれる teddy-bear cholla (学名 Cylindrpuntia bigelovii)。

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思わず触りたくなってしまうが、仲間の jumping cholla と同様、密に生えているトゲは皮膚や衣類に刺さりやすく、抜くのが大変困難だそうだ。可愛い顔して危険な奴だ。

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仲間のジャンピング・チョラ。

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辺り一面がテディベアサボテンの散歩道はまるで地上のサンゴ礁のようで、実にシュールな風景だ。モルモン教徒はここも通ったのだろうか。さぞかし驚いたことだろう。


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一言に砂漠といっても高度の変化によってガラリと雰囲気が変わるのでびっくりだ。急に岩っぽい地帯になったり、テディベアサボテンが大量発生していたり、ジョシュアツリーだらけだなと思っていたら、スライドを切り替えたかのようにパタリと木が消える。地形の表情の移り変わりもジョシュアツリー公園の醍醐味。

ところで、ジョシュアツリーに生息する哺乳類は少ない。伊達に砂漠じゃないからね。しかしこのような厳しい環境を悠々とマイホームにしている大型哺乳類もいる。岩から岩へとぽこぽこ飛び移るビッグホーンシープである。道路がないような場所も探してみたが、残念ながら、恥ずかしがり屋の羊に遭遇することはなかった。広い公園内に150頭余りしかいないらしく、しかも群れで移動するので、宝くじを当てるような確率だ。見つけた人は相当ラッキー。

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地質学的活動によってできた面白い岩の数々。まるで溶け始めたアイスクリームサンデーのような岩や、アーチ状の岩。

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氷に浸かっている牡蠣を思わせるごつごつした場所は Oyster Bar という名前が付いている。ハイキングトレールを外れた The Great Burrito でロッククライミングをする人も。

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あんなところにもロッククライマーが。

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誰かが質素な岩に飾り付けをしたかのだろうか。これも自然にできたもの。岩の上からほぼ垂直に盛り上がっている細いベルトのような火成岩層はダイク(dike formation)と言う。ダイクを気に入って、行く先々で探してみた。

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ロッククライミングはしなかったものの、眺めの良いハイキングトレールを沢山歩いた。ブラックキャニオンにある High-View Nature Trail では人が全く見当たらず、足の下でしゃりしゃりと砂が動く音が驚くほど大きく聞こえる。ここでマツケカス(pinyon jay)という鳥や、砂漠のキツツキ、そして小さくて可愛らしいトカゲを見つけてウキウキしていたら、今度はハチに追われてビクビクした。山あり谷あり。

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ジョシュアツリーがニョキニョキ生えている砂漠は夜になると一段と不気味になる。暗闇の中、車を走らせていると、ピュッ!と道を横切る小さな動物が。落ち着いて次に横切ったのを見ると、頭でっかちなカンガルーラットである。夜行性のカンガルーラットはお構いなしに次々とピュッ!ピュッ!と四方八方から物凄いスピードで飛び出てくる。轢かないようにヘブンフィールドさんも必死である。

ここでカンガルーラットに関するトリビア。ハムスターは元々砂漠の動物だったから水をあまり必要とせず、尿が少ないと言うけれど、砂漠のカンガルーラットはさらに凄い。体内のわずかな水分を逃がさないために、排尿の際はそれがペースト状で出てくるらしい。ペースト状!燃費が良いネズミだ。

道路の脇に車を停め、星座マップを手に外へ出てみた。辺りは墨のように黒く、いちいち車に戻って星座マップを確認しなければならない。しかし、暗闇も、カンガルーラットのペーストの香りにつられてひょっこり出てきたコヨーテに襲われたらどうしようという不安も、星空を見上げると一瞬にして忘れてしまう。白い金平糖がばらまかれたかのように、星は大きく、近く感じられる。

それにしても夜の砂漠は寒い。厚いセーターとダウンジャケットでも寒い。何枚か持ってきていたケニヤのマサイブランケットを体にぐるぐる巻きつけると、いや、やっぱりまだ寒い。砂漠でキャンピングをする人はタフだ。

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翌日もジョシュアツリーでハイキングトレールを歩いた。ミッキーマウスの頭のような形をしたサボテンやユッカの木を見たり、ぴょこぴょこ飛ぶサバクワタオウサギの後を追ったりしていると、あっという間に夕方だ。ずっとサバクワタオウサギを追っていたいが、ざ・ふぁーむに戻らないと大変なことになる。(ところで、ざ・ふぁーむのヤシの木はさっぱり型で、オアシスのヤシの木と違って立派な髭がない。)

二日も砂漠を歩き回っていたので靴はほこりと砂まみれになっているが、今回の旅も面白い動物や植物が見られて大満足だ。大都会と大自然の旅だった。

帰りの車は、しりとりをする。

南デモアリフォルニア旅行記、終わり。


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by majani | 2015-01-29 09:56 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)


ナンデモアリフォルニアの某大学院で研究中。海外生活、旅、散歩で出会った生き物などの記録です。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


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