タグ:食べ物 ( 30 ) タグの人気記事

感謝祭がやってくる

トライベッカを少し北に行ったところの Houseman というレストランで、友人とディナーをすることになった。(ニューヨークに来てから、食べ物の話ばっかりですね。)

店は、どこかヨーロッパの古い町並みを思わせる石畳のグリニッチ街に面している。トライベッカに最近引っ越した友人ルポがこのレストランの常連になろうとしていて、私はその助っ人として付き合った。

f0328897_10314103.jpg

この季節、根菜が美味しい。パースニップ、ビート、ニンジン、サツマイモなどを使った料理が、街中のレストランのテーブルを彩るようになった。

カリフラワーも今ピークシーズンだ。Housemanでは、オーブンで焼いた赤やオレンジの暖かい色彩の根菜と添えられて出てきた。オリーブ、ピスタチオ、ナツメヤシ、そしてハリッサという、チュニジアやモロッコなどの料理でよく使われるチリペッパーペーストが敷いてある。普通の野菜のオーブン焼きも、北アフリカ風(?)のツイストがあると一段と美味しく感じる。

f0328897_10314939.jpg

こちらはラディッシュとコールラビのサラダ。クロテッドクリームとゴートチーズで和えてあり、カラスミの一種であるべっ甲飴の色をしたボッタルガがぱらぱらっと振ってある、シンプルに見えてパンチが利いたサラダ。濃厚なクロテッドクリームが、ラディッシュのシャキシャキ感をうまい具合に引き立てている。また、メインのスパイシーなラム肉ソーセージと相性が良かった。

ラディッシュをぽりぽり齧りながら、友人と感謝祭の話をしていた。

七面鳥をどこで買うだの、炭水化物は何を作るだの、デザートはパンプキン系かアップル系かどうしたものか、と料理のプランニングで盛り上がった。今年グリーンカードを取得したばかりの友人は、ご主人側の親戚が訪ねてくるということで、非の打ち所がない「アメリカン」な感謝祭ディナーを成功させなければならないのだ、と少し鬱陶しそうにしていた。近くのバーに移り、彼女の in-laws の話を伺っているうちに、深夜になってしまった。

f0328897_10313066.jpg

感謝祭は日本のお正月のようなもので、帰省して家族が集まることが前提としてある。おせちの替わりに定番の料理は七面鳥、クランベリーソース、マッシュポテト、甘いヤム、芽キャベツのオーブン焼き、パンプキンパイ、クランブルなど。これらが大量に用意される。そうして滅多に顔を合わせない親戚とフットボールの試合をテレビで観ながら、ターキーを頬張り、一日中食べてやんややんやのお祝いのはずなのに、私の友人にとってそうであるように、ストレスの要因となるイベントとしても有名な感謝祭。「家族」にはどうも、「政治」が隠れているのである。

我が家の感謝祭は日本から両親と友人が来るだけで、比較的小さなグループで祝う。全員が日本人なので「感謝祭」というものに強い思い入れがあるわけでもなく、せっかくだからアメリカの伝統を楽しもう、ええいこの際ターキーも焼いちゃえ焼いちゃえ、というお気楽なノリなので安堵している。(頑張れ、友人!)

なあんだ、ナンデモアリフォルニアで着ていたコートでも十分じゃないかと思っていたら、いきなりぐっと寒くなったニューヨーク。本格的なオーバーコートを新調するべきか迷っているが、まず探し当てなければならないのはやはり、感謝祭のスターに変身してくれそうな新鮮な七面鳥。



ブログランキング・にほんブログ村へ

お店の情報など。
[PR]
by majani | 2017-11-18 09:45 | 食べる人々 | Trackback | Comments(1)

チキンスープとクリングル

すっかり秋色のニューヨーク。近所の公園で散歩をすると、足の下で葉がポテトチップスのような音を立てる。

f0328897_07353055.jpg

今学期は授業を教える義務が無くて時間があるため、お楽しみでスペイン語の授業に通っている。そこで「風邪を引いたらどんなことをしますか?」と先生に聞かれ、「チキンヌードルスープを作ります」と自慢げに話していた矢先のことである。早速、リルケと代わりばんこで風邪を引いてしまった。

f0328897_07355187.jpg

病んでいる時、何故かとびきり美味しく感じるチキンヌードルスープ。厚く切ったセロリとニンジンを多めに入れ、冷蔵庫に残っている白ワインを投入するのが我が家の手法。このチャンキーな具沢山のスープを飲むとじわじわと元気が出てくる。

リルケが治りかけた頃、今度は私がダウンした。セーターやらマフラーを着込んでノートルダムのせむし男のようなシルエットになって家に引きこもっていると、こんな愉快なカタログが届いた。

f0328897_07354125.jpg

クリングルのカタログだ。私たちの前の住人宛てで届いた。

Kringle とはデンマークのお菓子で、巨大な円形のデーニッシュのこと。外はクロワッサンのようにサクサクでフレイキーで、上にアイシングがまわしかけてある。中身はくるみとサワークリームだったり、ラズベリージャムだったり、色々とある。

f0328897_08355308.jpg

あれ、カタログの船のロゴ、どこかで見たことあるなと思ったら、今年の春、このウィスコンシン州にあるクリングル専門ベーカリーが作ったラズベリークリングルを、カリフォルニアのトレーダージョーズでちゃっかり買って食べていたのである。

f0328897_08465733.jpg

リルケが「クリングルってなんだか分からないけれど、すごく気になる」とトレジョで大興奮して、当時は高いなあと思った9ドルだか10ドルだかを支払い、家に持ち帰った。

しかし今回届いたカタログをぱらぱら見ていると、クリングルが2個で42ドル、「感謝祭クリングル」が1個24ドル。そんなに高い物なの?クリスマスケーキも70ドル以上する。

f0328897_08580767.jpg

トレジョで買ったクリングルが随分と安くなっていたことをカタログを見て初めて知った。けれど味が so-so で、何日もクリングルを朝ごはんにして食べなければいけなったため、二枚目は買わなくていいね…となってしまったのだった。うん十ドル出せば、もっと素晴らしいクリングルが届くのだろうか。

自分で作った方が新鮮で美味しい(+安い)のではないか、と疑わずにはいられない。身体が元気になったら、自分のキッチンでクリングルを作ってみようと意気込んでいる。

f0328897_09132438.jpg
Seymour, R. 1836. "Old Christmas." Public domain.

話が飛ぶが、北欧と言えば、クリスマスに登場する Julbocken ユール・ボッケンを思い出す。文字通り、「クリスマス・ヤギ」である。小さい頃、ユールボッケンや手作りのニッセの人形(nisse は赤い煙突状の帽子を被った小人のこと)でクリスマスツリーを飾っていたのを覚えている。

よく見ると上の挿絵のユールボッケンに乗った Father Christmas も、湯気が立ち上るチキンスープらしきものを抱えている。何でしょうね、あれ。風邪を引いたりスープを作っていたりするうちに、あっという間にクリスマスになってしまいそう。

f0328897_07355998.jpg

因みに私が風邪を引いた時は、リルケは日本の大根をどこからか見つけてきて豚汁を作ってくれた。これも風邪に効きそうな感じ。

一人が弱っている時はもう一人の元気な方が料理をするので、安心して体調が崩せる。



ブログランキング・にほんブログ村へ
[PR]
by majani | 2017-11-07 03:27 | 食べる人々 | Trackback | Comments(3)

テイクアウトのメッカ

カリフォルニアの家を引き払って一カ月、マンハッタンにやってきて二週間が経った時のこと。新しい住まいが整うまでアッパーウェストサイドのホテル生活が続いていて、さすがにレストランでの外食がしんどくなってきた。早く自分のキッチンに立って料理をして、ケールでももしゃもしゃ食べたい。

f0328897_04181490.jpg

そこでふと思い出した。何も高いレストランで毎晩食べなくても、出前を取れば良いことじゃないか、と。そしてニューヨークは、テイクアウトとデリバリーのメッカ。デリバリーの定番である中華やピザはもちろん、香り高いカレーに地中海料理、さくさくのバクラヴァからラーメンまで、お兄さんが自転車を飛ばして家に持ってきてくれる。

今回は、テイクアウトした、またデリバリーをしてもらって美味しかった(不健康な)B級グルメの話。

f0328897_04193308.jpg

カリフォルニアで大人気の In-N-Out Burger に対する、ニューヨークの Shake Shack 。

2004年にマディソンスクエアガーデンの素朴なフードカートで始まったこのハンバーガー屋。普通のファーストフードより値段が張るが、今やマンハッタンに10店舗以上構え、東海岸を中心に立派なチェーンへと変化を遂げた。(カリフォルニアだとロサンゼルスとサンディエゴにあるようですね。)

懐かしい感じがするギザギザのフレンチフライに、「シャックソース」とかいう特別のタレを使ったチーズバーガーが定番のセット。ハンバーガーって、年に一度か二度しか食べないけれど、毎回それはとても美味しく感じる。

f0328897_04220000.jpg

さっとテイクアウトできる食べ物と言えば、マンハッタン中の街角に停まっているハラルカート。カートのお兄さんに頼むと、3分で完成。ファラフェルやチキンとラムがイエローライスの上に乗って、トマトとしゃきしゃきのレタスサラダと一緒にスタイロフォームの容器に盛られる。そして最後に、「ホワイトソースとホットソースは?」と訊かれる。

「ホワイトソース」と呼ばれる謎のソースは、色々なスパイスやレモン汁が入っているマヨネーズベースのもので、タヒーニに少し似ている。「両方、お願い」と頼むと豪勢にぶちまけてくれる。

ハラルカートはどこにでもあるが、美味しいカートとそうでもないカートに分かれる。あちこちで試して、自分のお気に入りを探すのがまた楽しい。(写真に写っているのは初めて試してみたカートで、うーん、イマイチだった。)

健康に悪いのだろうけれど、ハラルフードには思い入れがある。昔ニューヨークで仕事をしていた時、毎日のようにミッドタウンイーストのハラルカートでパレスチナ人の仕事仲間とランチを買っていた。しょっちゅうのことだったので、カートのおじさんは、お手玉のような大きなファラフェルを、一つ、二つ、オマケしてくれるようになった。それを職場のバルコニーで、二人で国際政治の話をしながらバクバク食べて、食後に煙草を一本恵んでもらったり、恵んであげたりした。不健康な生活だった。会話の内容を思い返すと、お互いに理想的だったなあと懐かしくも思う。

f0328897_04215377.jpg

デリバリーを頼む時は、大概、インド料理に走ってしまう。カレーはスピードが命って物じゃないし(スフレなんかはデリバリーに向かない)、温め直しでさらに美味しくなっていたりする。

そこでマンハッタンヴィル(ハーレムの左隣あたりのエリア)の店で、ブリートのインド料理版みたいなものを頼んでみた。ロティにラムやチキン等の肉と野菜がぎっちり詰まっている「フランキー」という。ムンバイの屋台で買える、いわゆる street food だと聞く。

f0328897_04221009.jpg

端から見るとツマラナイ感じがするが、これが凄く美味しい。オクラと甘い玉ねぎのベジタリアンのと、ラム肉のフランキーの二種類を試した。一本3ドル50から7ドル50と安い。

f0328897_04224229.jpg

そして「ニューヨークで一番美味しい hummus が食べられる」と教授に教えてもらったブロードウェイ沿いの店。デリバリーもしてくれるが、近くに用事があったので店の中でバクラヴァやサラダなどを眺めがてらテイクアウトを頼んだ。

私はひよこ豆をすり潰して作ったフムスが大好き。半信半疑で試すと、あれ、本当に美味しい!何だろう?オリーブオイルが特別なのかな?じっくり研究すれば良かったのを、フムスを吸い込むようにして食べてしまったので、また頼んでみることにする。ここのパセリ、トマト、ブルグアを使ったタブーレサラダ(tabbouleh)も、塩加減がちょうど良くて大変美味しかった。

マンハッタンヴィルの方はあまり行かないけれど、まだまだ沢山、美味しいテイクアウトが隠れているような気がした。

f0328897_04254361.jpg

フリードマンズのこの豪快なフライドチキン&ワッフルも、家に届けてもらうことができる。競争が激しいだけに、デリバリーやテイクアウトの質、サービスが徹底していて、マンハッタナイトたちは料理をしなくたって充分に食べていける。

そこで一つ疑問に思う。マンハッタンに住む人たちは、一体どこで食料品を買っているのだろう。

近くにスーパーが無いわけではないが、セレクションが少ない、質が怪しい、高い、の三重苦。トレジョはやはりカリフォルニアに比べて店舗が少なく、お酒だけ別の店で売っているし(昔からある宗教絡みの州の法律?)、ホールフーズや洒落たフェアウェイも、徒歩で行くには中途半端に遠い場所にある。すると地下鉄に乗ってショッピング?

長年マンハッタンに住む友人ルポに訊いてみた。「時は金なり」と彼女は私をお説教するように言う。「オンラインで消耗品や食材など全部ひっくるめて買って、家に届けてもらう。アジア食材だけは、月に一度、車を出してニュージャージー州に調達しに行く。」

さらに、「夫がいると足手まといなので、彼を日本スーパー近くのサウナに放置して、その間に私が一人で500ドル分くらいの食材を買い込む」など、細かい段取りまで教えてくれて、笑ってしまった。500ドルも何に使っているの?という疑問はさておき、サウナに置いていかれる方が楽しそう。

f0328897_04392601.jpg
ルポに倣い、車を借りてニュージャージーに行ってきた。IKEAに寄ったのでお約束のミートボールを食べてきたけれど、10年くらい前に初めて食べた時の感激は今回なかった。味覚が長けてきた…と思いたい。


最近は Amazon Fresh、Fresh Direct、Peapod、また Fairway のデリバリーサービスなど、オンラインショッピングの選択肢が色々あって随分と便利になった。しかし自分でトマトを握ってみたい、バナナの熟れ具合を確認したいと思ってしまうのは、時代に乗り遅れている証拠かな。

近いうちに、ドローンでキャベツが自宅に届く時代が来るのだろうか。




ブログランキング・にほんブログ村へ

お店の情報など
[PR]
by majani | 2017-10-26 05:06 | 食べる人々 | Trackback | Comments(6)

ベーグルの街

先日、私は街角のデリで呪文のような言葉を口にしていた。

キャナイゲッタンエブリーシングベーグルウィズロックスアンダビアーリーウィズベジークリームチーズ

少し前に、引越しを控えていると話しました。デスバレーセコイア国立公園をまわるロードトリップを楽しんだ後、ナンデモアリフォルニアとしばしのお別れをすることになったのです。

引越し先は、

f0328897_09522595.jpg

ニューヨーク。写真に写っているのはハドソン川から見たニュージャージー州ですが…。

今日は久々に戻って来たマンハッタンについて。

f0328897_09552920.jpg
American Museum of Natural History の正面。

ニューヨークに辿り着いたのは9月の頭だったが、まだ30度以上あるいわゆるインディアン・サマーだった。

そして、夏のマンハッタンは、とにかく臭い。いきなり悪臭の話をするのもなんだが、私はカリフォルニアで博士課程を始める前、マンハッタンのアルファベットシティに住んでいて、ニューヨーク時代の記憶の多くは、何等かの香りがキッカケにある。

f0328897_09553745.jpg
セントラルパークにて。

夏のマンハッタン。地下鉄の階段を下り始めると、ねっとりした空気がまず顔面を直撃し、それを追いたてるようにゴミと排泄物の悪臭が鼻を攻撃してくる。洒落たオープンエアカフェが、ゴミ袋で築かれた黒い山と同じ道端で共存しているのが、夏のマンハッタンの街頭… そんな酷いイメージが私の中で根強い。ニューヨークから初めてベイエリアに移った時は、サンフランシスコはなんて清潔な街なんでしょう!とよく口にしていた。

f0328897_09552171.jpg
ファーマーズマーケットにて。

それでも、ダーティーでグライミーなニューヨークが、私は大好き。

私の学生時代のアルファベットシティは、プエルトリコ人が沢山住んでいて(さらに昔はプエルトリコ人とユダヤ人のエリアだったと聞く)、夕方になるとライスとビーンズの優しい香りが、スタジオアパートにふわりと流れ込んできたものだ。近所のおじさんたちが道端でラテン音楽をラジオで流していたり、私の建物の裏のコミュニティガーデンでちょっとしたバーベキューが行われたりしていた。ごちゃごちゃした、活気溢れるエリアだった。

今思えば、ベッドとテーブルがやっと入るほどの小さな空間でよく生活していた。若くて初心だった私は、大家さんに家賃を現金で払うように言われてもそれをちっともオカシイと思わず、毎月、大家さんの謎めいた指示通りに1番街2丁目にあるコインランドリーへてくてく歩いていき、奥に座っている英語を一言も喋らないユダヤ人のお婆さんに現金を手渡していた。大家さんとコインランドリーのお婆さんの関係は、最後の最後までよく分からなかった。今となっては、闇の中。

f0328897_09551383.jpg

冒頭のデリの話に戻すと、二度目のニューヨーク生活の初日、お腹を空かせた私は近所で発見したコーシャーデリに吸い込まれるように入っていった。ニューヨークの朝ごはんの定番、美味しいベーグルをまず食べたいと思った。空気中の菌によって美味しいサワードーブレッドがサンフランシスコ辺りでしか味わえないのと似たように、一度茹らせてから焼くベーグルの場合は、地域の水が重要。あの濃厚な味とモチモチっとした密な食感は、東海岸でしか生まれないという。

デリに足を踏み入れたとたん、何年も使っていなかった言葉がふと戻って来た。私は everything bagel with lox and cream cheese と bialy with veggie cream cheese の二つを頼んだ。見事にデリでしか役立たない言葉ばかり!

ロックスはサーモンのすり身のことで、「全部ベーグル」はプレーンベーグルの正反対で、ポピーシードやゴマなど普段ベーグルに使われるトッピングの全てが外側にくっついているもの。ビアーリーはベーグルと同様、東欧のユダヤ系コミュニティが発祥地のパンの一種だ。また、クニッシュ(knish)という、中にジャガイモがぎっしり詰まったペーストリー(これもユダヤ系のおやつで美味)や、イスラエル風のトマトと胡瓜のサラダなどの惣菜が売られているのを見て、激しく懐かしんでしまった。

f0328897_09555766.jpg

もう一つ懐かしく思ったのは、デリに来ている客層。もちろん、初めて見る人たちばかりだったが、少し大袈裟に言うと、20代後半~30代の白人テック企業関係の人間ばかりが住むサンフランシスコから移ってくると、デリに来ている人たちの多様性が変に新鮮だった。

中年の野球帽の黒人男性、大学のフラタニティにいそうなやんちゃな白人若人グループ、近くに住む金持ち金髪パパとそっくりな金髪赤ちゃん、巨大なフープピアスのヒスパニック女性、中年アジア人カップル、そしてベーグルの注文が飛び交う大変な騒がしさの中で、一向に動じず新聞紙に読み耽るヤムルカを被った老人たち。彼らは、夏なのに毛糸のチョッキを着ていて、足元は靴下&ゴム草履だったりする。この絵に描いたような、人種、文化、世代が交差する狭苦しいデリの中で、「ああ、ニューヨークに戻って来たんだな」と私は思わずにいられなかった。

ノスタルジックになっていると、「ちょっと、早くしてよ」と列の後ろの人に急かされたのも、ニューヨークらしくて再度じ~ん!としてしまうあり様。

私はベーグルとコーヒーをホテルで休んでいるリルケに持ち帰った。カリフォルニア育ちのリルケは、不愛想なニューヨーカーに早くも幻滅しているようだったが、初めて食べたロックスとクリームチーズのベーグルがすっかり気に入ってしまい、翌日も、翌々日も、そのデリに通い続けることになる。

ベーグルの力は、凄い。

f0328897_09562052.jpg
ニュージャージー州側から見たマンハッタンのアップタウン。

さて、ニューヨークに引っ越したので新しいブログを始めようかとも思いましたが、面倒くさがり屋なので 学会等でベイエリアに戻ることもありますし、せっかくここで素敵なブロガーの方々と繋がることができたので、このまま『ラマがいない生活』で続けようと思います。

ブログを始めた当時、「ラマ」は、何か探し求めていた物が、実際に行ってみたら無かった… という比喩のつもりでしたが、カリフォルニアに住んでいる間、「ラマ」の代わりに新しい発見が色々ありました。大学院初期は、カリフォルニアは「自然が多すぎる、つまらない」とぼやいていたのが(ホント、昔の自分を引っ叩きたい)すっかり西海岸とその人々のレイドバックな接し方の虜になって、東海岸に舞い戻ってきました。また、ニューヨークの思い出と実状が噛み合わないことから逆カルチャーショックみたいなものも大きく、「ラマがいない」という前提は、今年こそタイムリーなのかもしれない。

ボストンで新たな仕事を控えているので、ニューヨークの滞在期間は一年と短いですが、この大都市でも面白い発見ができればと思います。とりあえず遊び過ぎないように心掛けよう、っと。

サワードーの街から、ベーグルの街にやってきましたが、これからもお付き合いいただければ嬉しいです。



ブログランキング・にほんブログ村へ
[PR]
by majani | 2017-10-14 02:55 | 食べる人々 | Trackback | Comments(7)

サンフランシスコ散歩

ロザモンドの訪問に肖り、サンフランシスコで遊んでいました。

f0328897_05490568.jpg

日本からの訪問客がいると、普段はしない観光ができてとても楽しい。今回は地下鉄などを使わずに、散歩好きな二人組で徒歩であちこち散策した。

f0328897_05511473.jpg

スタート地点はユニオンスクエア。今日もケーブルカーが、ガタガタ走っている。

f0328897_05513068.jpg

まずは、サンフランシスコの定番ベーカリー Boudin で、くり抜いたサワードーブレッドいっぱいのクラムチャウダーを食べる。(www.boudinbakery.com/Boudin_SF)

夏は、Hog Island Oyster のクラムチャウダーの方がさっぱりしていて美味しいと私は思うのですが、サンフランに来たぞ!という感じがするのは文句なくブーダン。

f0328897_05515401.jpg

パウエル駅からBARTに飛び乗っても良いけれど、せっかくだから、スパイス屋さんを覘いたり、 See's Chocolate でチョコレートを試食したりしながら、マーケット街沿いをエンバーカデーロまでてくてく歩く。

f0328897_05524301.jpg

フェリービルディングに到着。

f0328897_05525617.jpg

裏側はボードウォークになっていて、ここからソサリートなどに渡るウォータータクシーなどが出ている。

f0328897_05531854.jpg

気持ち良い~、ここに住んでいたら毎日来たい~と喜んでくれているロザモンドと歩いていたら、

f0328897_05543398.jpg

あっという間に Pier 39 に到着。

f0328897_05555489.jpg

楽しいお土産探し。

f0328897_05545126.jpg

風が少なくて、本当に良いお天気。

f0328897_05570929.jpg

ここで、ちょっと休憩。

f0328897_05563249.jpg

海を眺めながら、白ワインサンプラーで乾杯。サンプラーなのに、けっこうの量。

f0328897_05553532.jpg

アシカたちもぐえぐえと鳴きながら、仲良く日向ぼっこ中。

f0328897_05580044.jpg

ほろ酔い気分で、カラフルなイタリア街に迷い込む。

f0328897_05584045.jpg

リトルイタリーを散策した後は、隣の中華街へ。

f0328897_05590163.jpg

英語と中国語と日本語、三カ国語をヒントに注文する。このお店、けっこうディープな中華街にあり、何を頼んでも美味しくて安くて昔から気に入っているのですが、怪しい日本語メニューに騙されずに冒険してみるのがポイントです。

「クラゲの戦いスモーク蹄」が非常に気になる。

f0328897_05591859.jpg

最後の写真がクラゲの戦いでもアレなので、おまけ。カモメって、意外と大きいのね。




ブログランキング・にほんブログ村へ
[PR]
by majani | 2017-05-28 06:27 | 食べる人々 | Trackback | Comments(4)

ユニオンスクエアのバー

乗馬の話と言えば、「馬に乗る天使」を食べてきました。

箱根でケーキを食べた迷子になったりした仲間のロザモンドが日本から遊びに来ていたので、数日サンフランシスコで過ごした。

f0328897_07201923.jpg

ホテルに近い場所でお店を探す。たどり着いたのは、ユニオンスクエア周辺のレストランバー、 Anchor & Hope (http://anchorandhopesf.com/) 。

カウンター席に座り、エンジェルズ・オン・ホースバックを注文。牡蠣のベーコン巻きをそう呼ぶらしいです。ナツメヤシをベーコンで巻いて焼いたものを devils on horseback と言うけれど(これも大好き)、天使版は知らなかった。とっても美味しかったので、家で再現してみようと思う。

f0328897_07203751.jpg

生牡蠣やセビーチェなど、海鮮料理が中心のレストラン。

わいわい楽しくやっていたら、隣に腰を下ろした一人で来ている男性が私たちと全く同じアペタイザーばかりを頼んで、何枚も写真を撮っては熱心にインスタグラムに投稿し始めた。ご苦労様ですと声を掛けたくなるほど、頑張っていました。

f0328897_07204628.jpg

ハラペーニョが利いているロックコッドのセビーチェと、スイートポテトのチップス。

ロブスターロールを二人でシェアしたいとバーテンに話したら、食べやすいように分けて出してくれました。バターたっぷりのプリプリなロブスターに、テータートッツとコールスローサラダ、これもまた大変美味しかった。

f0328897_07210376.jpg

友人と合流し、バーを二軒回る。

隠れ家的な Benjamin Cooper (http://benjamincoopersf.com/) と、カクテルが専門の Pacific Cocktail Haven (http://www.pacificcocktailsf.com/) 。ガヤガヤしているイメージが強い観光街のユニオンスクエアにも素敵なバーがあるのねと、新しい発見でした。

f0328897_07211108.jpg

それにしても、頼むものが見事にバラバラ。古き良き友達に、乾杯。



にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ
[PR]
by majani | 2017-05-17 08:15 | 食べる人々 | Trackback | Comments(0)

レバノン料理

ちょっと珍しいレバノン料理屋 Tawla で、ルポ夫婦とマドンナさんと待ち合わせ。

ハワイで結婚式を挙げたルポがサンフランシスコに遊びに来ていて、久々にミッションのバレンシア街で食べた。

f0328897_16342361.jpg

店員に薦められたロックフィッシュのオーブン焼き、samakeh harrah (55ドル)。くるみのスタッフィングに、滑らかなタヒーニとぷちぷちしたザクロの種。この食感の掛け合いが面白い。

マドンナさんが美味しい身の部分を一人でパクパクと食べてしまって、私は味がイマイチよく分からなかったのですが、とにかく見た目が楽しいです。

f0328897_16335589.jpg

レバノンのクリームチーズのようなヨーグルト、labneh 三種類。ちぎったパンで、最後の一滴までお皿から拭い取るほどの美味しさ。

パンは種付きと(4ドル)プレーンなもの(3ドル)二種類があり、いずれともレストランで焼いている。注文する価値あり。

f0328897_16341470.jpg

ミントと松の実、そして中東の料理でよく使われるブルグアをまぶしたラムのたたき kibbeh niyyeh や、タンポポの若葉和えのタコなど、アペタイザー類が美味しかった。

他にサクランボとピスタチオ入りのミートボールなど、普段は思いつかないコンビネーションが活かされている。

ルポのご主人が一人だけ騙されてモロッコ産の不思議なワインを飲んでいたが、けっきょくはカリフォルニアのピノが一番相性良いんじゃないかという結論に至る。ワイワイやっているうちに終電の時間になってしまった。

親しい友人とシェアしたい、レバノン料理。次回はもう少し大きいグループで、メニューで目にして気になってしょうがなかった140ドルのラムを、堂々と頼んでみたいものです。


Or me.

にほんブログ村 海外生活ブログ 国際生活へ
にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ
にほんブログ村 海外生活ブログへ
[PR]
by majani | 2017-02-15 14:51 | 食べる人々 | Trackback | Comments(0)

リガのセントラルマーケット

ラトビア紀行の続き。

首都とはいえ、リガは小さくて歩きやすい街。しかしここにヨーロッパ最大のマーケットがあると聞き、旧市街を出てすぐのセントラルマーケット(Centrāltirgus)へ食べ歩きの散歩に出かけた。ちょうどお腹が空いてきたところだ。

f0328897_10031580.jpg

マーケットはこの少し寂しげなバス停を超え、川を渡った所にぼんやりと見える。

f0328897_10155843.jpg

1930年に創立されたセントラルマーケット。元々は飛行機の格納庫として使われていた5つのパヴィリオンと、屋外のファーマーズマーケットに分かれている。「海鮮パヴィリオン」や「乳製品パヴィリオン」、またパンや焼き菓子を売っている「ガストロノミーパヴィリオン」など、食材のカテゴリー別に業者が集まっている。1日に8万人もの買い物客や観光客が訪れるらしい。

早速パヴィリオンに入っていくと、大勢の毛皮の帽子を被ったおばさんたちが鋭い目をして、のしのし歩きまわっている。広大な格納庫と、あちこちから押し寄せてくる(そして平然と体当たりしてくる)大きなおばさんたちに圧倒されながら、よぼよぼと食べ歩きを開始。

f0328897_10162051.jpg

ヤツメウナギのから揚げや、サジーのシロップなど、ちょっと珍しいものが並ぶ。ベンダーは一見、むすっとしていて不愛想な感じだけれど、少しでも買う素振りを見せれば試食をさせてくれる。上はお惣菜売り場。

ライ麦パン、またこれを香ばしいガーリックトーストにしたもの、ザウアークラウト、キノコのマリネ、スパイス、ハチミツ、花粉入りチョコレート(これはクリスマスマーケットでも試食した)、チーズにキャビア…。リストアップしていくとキリがないけれど、見ているだけでも楽しいマーケット。食材の他に、手芸品や琥珀のアクセサリーも売っている。

f0328897_10063958.jpg

美味しいよ、安くするよ、買ってって、とフレンドリーなお肉屋さんに声を掛けられる。

ワイルドな感じのソーセージやハムが並ぶショーケースの前で立ち止まり、さて何を薦めてくれるのかなと思ったら、ラードの巨大な塊だった。

f0328897_10164155.jpg

そして、もちろん、ピクルス。定番の胡瓜、真っ赤なビーツ、人参、ニンニク、玉ねぎのピクルス、またトマトを丸々マリネにしたものなどが豪快に山積みになっている。すでに瓶詰されているものも売っているが、基本は量り売り。

塩分がスゴイのでしょうが、旅に待ったなしのマントラで、ラトビアでは毎日ピクルスを食べていました。

f0328897_10163028.jpg

イクラの量にびっくり!ところで、ikraと書いてあるのを発見して目からウロコだったのですが、「イクラ」の語源はロシア語なんですね。(ラトビアの人口の三分の一はロシア語を母国語としているため、ロシア語の言葉をローマ文字で表記している店が多々ある。)ロシア語だと高級キャビアのことも「イクラー」と呼ぶ。イクラ屋さんと力強く値切っている客も。

魚の干物が、まるでバゲットのようににょきにょきと容器に刺してあるのが、実に愉快だった。




人気ブログランキングへ

にほんブログ村 海外生活ブログ 国際生活へ
にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ
にほんブログ村 海外生活ブログへ
[PR]
by majani | 2017-01-21 10:40 | 食べる人々 | Trackback | Comments(0)

霧のラトビア

不安になるほど小さなバルト航空の飛行機に乗りこんだ。ベルリンで引き留められて半日以上つぶれてしまったが、いよいよラトビアへ。

f0328897_19394731.jpg

石畳の街、リガ。旧市街の Radi un Draugi ホテル(ラトビア語で友達と家族という意味)に泊まっている。

向かい側のフレンチビストロは深夜を過ぎてもシャンソンを引き続き流している。ビストロの名前がまた良い。ボンヴィヴァン、つまり、楽しく生きる人だ。

f0328897_19445326.jpg

最後に見たのがベルリンのゲシュタポ資料館だったためか、二人とも相当気分が沈んでいる。せめてボンヴィヴァンで何か食べないかとリルケを誘ってみるものの、彼はベッドを乗っ取ると一向に動こうとしない。私は一人で夜のリガの街を散策する…ほどの元気は流石になかったけれど、近くに Narvesen というコンビニを発見し、そこで調達した飲み物やチーズサンドイッチをホテルに持ち帰った。

サンドにはレリッシュみたいなピクルスが沢山入っている。ここはピクルスが盛んな国なのかしら。良い旅になりそう―そんな予感をさせる、コンビニで買ったとは思えないほど美味しいサンドだった。

f0328897_19411730.jpg

翌日、ホテルのレストランで朝食を取る。ミニマリストなデコールは一見、北欧デザインを思わせるが、色彩の使い方や飾ってある絵の感じは、やはり何となく東欧の香りがする。

といっても、私はバルト三国は今回のラトビア訪問が初めてで、「東欧ぽい」漠然とした印象や、慌てて調べたラトビア語(とロシア語)の欠片しかない、未知の世界だ。言葉が通じない国で生活をするのはまるで霧の中を歩いているようだと、母が昔言ったことがあるが、コミュニケーションが取れない異文化の霧の中で、「これは東欧ぽい」とふと感じさせるのは、何だろう。霧の中を歩くこの感覚は、ラトビアにいる間ずっと続く。

朝ごはんを食べに降りてきて、ホテルスタッフに速いラトビア語で何か話しかけられた時、私は記憶の底からとっさに引っ張り出した「おはようございます」としか返答できなかった。(敬語の仕組みが分からないから、「おはようさん」みたいな変な言い方だったかもしれない。)う~ん、霧はまだまだ深い。

f0328897_19404745.jpg

ビュッフェに並ぶものは全て英語で記されているので分かりやすい。例えば、酢漬けのニシン三種類、ローストポテト、クレープ、手製ヨーグルト。半熟卵は「3分」「5分」と、茹でてある時間別に記されたバスケットの中に寄り添うように詰まっている。「ラトビアのハム」とか「ラトビアのチーズ」とか丁寧に書いてあるけれど、ラトビアのハムって何だろう。

ニシン美味しい!ここはやっぱりピクルス天国なのね!とわあわあ騒ぎながら、おかわりをする。

ピクルスといえば、後日、また Narvesen のサンドイッチが無性に食べたくなり調べてみたところ、ノルウェーのコンビニ系列だと知る。ラトビアに騙された(?)気分だが、そういえばノルウェーの料理もニシンを酢漬けにしたり、ピクルス系のものが多いような。寒くて海に面している場所に住む人々はなんでもピクルスにしちゃうのかしら。これももちろん、霧の中の勝手な解釈ですが・・・。

f0328897_19414773.jpg

ところで、このホテルの部屋のバスルームをどう思われますか。オレンジ色のチェック柄に最初はびっくりしたが、変に愛着が湧いてきてしまう。



人気ブログランキングへ

にほんブログ村 海外生活ブログ 国際生活へ
にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ
にほんブログ村 海外生活ブログへ
[PR]
by majani | 2017-01-17 07:31 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

シンガポールスリング

シンガポール旅行記の続き。午後、近場のラッフルズホテルのアーケードを散歩する。

f0328897_13372127.jpg

日中はサラリーマンだらけのビジネス街。しかしラッフルズホテルに一歩踏み入ると、急に白人のおじさんがパナマハットの鍔に指をあてて、「お嬢さん、ご機嫌いかが」と声をかけてくるような世界である。なんだかコロニアル時代にタイムスリップしてしまったような気分だ。

f0328897_13355467.jpg

「ご機嫌いかが」なんて今時聞かないので、思わず「ご機嫌よいです」と変な返事をしっかりしてから、中庭で一休み。

f0328897_14295176.jpg

ラッフルズホテルのギフトショップに立ち寄った。20年前も同じデザインだった、Where else should one partake of the Singapore Sling but at Raffles Hotel ? のタグラインが印象的なヴィンテージ風のポスターは、今もギフトショップの定番アイテム。

f0328897_14223759.jpg

せっかくなので、例のシンガポールスリングをパーテイクしよう!ということになり、両親とピーターパンさんと二階のロングバー(Long Bar)に向かった。

f0328897_13381174.jpg

重厚感たっぷりのらせん階段や、昔ながらの文字通り「長いバー」は、ラッフルズホテルらしい古風なロマンがある。おつまみの落花生の殻は、そのまま床に捨てる。

f0328897_14005644.jpg

シンガポールスリングは色も味もフルーツポンチみたいで、じゅっと一気に飲んでしまいそう。普段だったら頼まないと思うけど、常夏に合う甘いドリンク。

f0328897_13374838.jpg

レシピがカクテルメニューに堂々と載っている。別に秘密でもないようだ。しかし、集めるのがちょっと面倒くさい材料ばかり。家で作るとしたら、使いまわしがきくのはジンとライムジュースくらいか。

f0328897_13373064.jpg
しつこいですが、シンガポールスリングはラッフルズホテルのものですよ。

ラッフルズホテルの有名なハイティーは行かず。と言うと何らかの決意があったようだが、実はふらりと立ち寄ったら、父とピーターパンさんが短パンだったので入れてくれなかったのである。女性は何を着てても良いが(ゴム草履は駄目かも)男性は長ズボンとドレスコードが決まっている。私はよくふらりと、計画せずにどこかへ行くと良いことがあると主張していますが、今回は計画しておくべきでした。

そういえば、幼少の頃、母と叔父と三人でハイティーをしにラッフルズに来たことがあった。

もう20年も前の話なのでメニューは変わっていると思うが、ハイティーのブッフェには(ラッフルズに限らず)当たり外れがある。私は子供なりにティールームの厳かな雰囲気を肌で感じ取っていたのか、あまり一つの品だけを沢山取らないようにしていた。まず少しずつ美味しそうなものを試食し、その中からアタリだった物だけをおかわりしようと考えた。そしてその日、大当たりはズバリこれだ!と思ったのは、とても小さなミートパイだった。

ミートパイといえば、イギリスの庶民的なパブフードで、あまり美味しくないとされているが、20年前のハイティーで食べたそれは泣きたくなるほど美味しかったのだ。マカロンのサイズで、黄金色のペーストリーをフォークでさくっと割ると、中からジューシーなお肉がこぼれ出てきて、外生地のバターの優しい甘味とお肉の塩辛さがふわっと口の中に広がり、天国に行った気分になる。そんなミートパイだったのだ。

あまり美味しくなかったものも律儀に食べきった子供の私は、ミートパイをもう一切れ食べに行こうと席を立った。ワクワクしながらブッフェに行くと、そこに叔父の姿が。そういえばさっきからずっとテーブルに帰ってこなかった叔父であるが、上品な小皿の上にミートパイで巨大なピラミッドを築いているのを私は目撃した。私はあんなに(意味なく)遠慮していたのに、叔父はミートパイをこっそり全部食べようとしている!大人なのになんてズルいんだ!私は叔父を怒った。

最近、ハイティーでミートパイを盗られた悔しい思い出話を叔父にしたら、当時のシンガポールは良かったなあ、贅沢だったなあなどと健全な感想だけで、本人は全く記憶にないらしい。すると、ニューヨークで夕飯を食べに行ったときは、君は僕のデザートまで食べてしまったぢゃないか、と今度は私が記憶にない思い出話をされる。はて、そんな失礼なことを私がするかしら。記憶は頼りない。果たしてミートパイなんかハイティーに本当にあったのだろうか。

f0328897_14344835.jpg

幻のミートパイはさておき、シンガポールの思い出の食べ物と言えば、カヤジャムである。卵とパンダンの葉のエキスから作られたうぐいす色のカヤジャムと、厚く切ったバターを挟んだトースト、とろとろの半熟卵、そしてコピ(甘くしたコーヒー)。シンガポールの朝食といったらこれだ。

f0328897_14325012.jpg

ラッフルズホテルのギフトショップでカヤジャムを一瓶買った。ラッフルズというブランド名にお金を払っているようなもので、普通のスーパーではうんと安く買えるカヤジャム。

f0328897_14345656.jpg

米国に戻ってきてやっと探し当てた。分かりやすいラベル!何種類かあり、もう少し茶色がかった種類もあったが、緑が強い方が何となく美味しいような気がする。

これでシンガポール旅行記も終りだが、最近はカヤジャム(ジェネリックな方)とバターを挟んだトーストで、シンガポール式に朝が始まる。


 Or me.

にほんブログ村 海外生活ブログ 国際生活へ
にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ
にほんブログ村 海外生活ブログへ
[PR]
by majani | 2015-06-30 15:43 | 食べる人々 | Trackback | Comments(2)


カリフォルニアで博士号取得後、ニューヨークにやってきた学者のブログ。海外生活、旅行、お出かけの記録。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


by majani

プロフィールを見る

カテゴリ

全体
言葉と物
旅に待ったなし
院生リンボー
食べる人々
動物王国
絵葉書もどき
ナンデモアリ
未分類

以前の記事

2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
more...

Like what you see?

ランキングに参加しています。
ハリネズミと蛙をクリックしてね。




ブログランキング・にほんブログ村へ


にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 国際生活へ

ライフログ









タグ

最新の記事

感謝祭がやってくる
at 2017-11-18 09:45
チキンスープとクリングル
at 2017-11-07 03:27
ビートジュース
at 2017-11-04 06:17
テイクアウトのメッカ
at 2017-10-26 05:06
トニーベネット
at 2017-10-23 02:44
ベーグルの街
at 2017-10-14 02:55
ゾウアザラシとダイナー
at 2017-10-09 04:38
ミューアが愛した木
at 2017-10-02 04:18
キングスキャニオン
at 2017-10-01 03:44
世界一大きな木
at 2017-09-17 03:20

最新のコメント

Majaniさん、カリフ..
by otenbasenior at 14:58
二人で仲良く風邪とは、困..
by BBpinevalley at 13:36
miemat21さま ..
by majani at 09:15
もう風邪は大丈夫ですか?..
by miemat21 at 18:28
lanovaさま No..
by majani at 05:45

記事ランキング

ブログジャンル

海外生活
旅行・お出かけ

ブログパーツ

検索