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ブロードウェイで笑う

最近、「プレイビル」がリビングルームに散乱している。

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演劇好きなジュリエット(箱根チャーリーチャップリンのケーキを食べた友人)が日本から遊びに来ていたので、6日間でブロードウェイショーを7作品も観た。

劇やミュージカルを観に行くと渡されるのが、Playbill というこの黄色い縁のプログラム。キャストのプロフィールや広告の他、演劇界で注目されている監督や役者のインタビューなど、ちょっとした記事も載っている。その内容が凄いジャーナリズム!という訳ではないのだけれど、何となく手放せない。相変わらず「断捨離」とかけ離れたライフスタイルを貫いています。

さて、去年ニューヨークに(また)引っ越してきてから、初めて観るブロードウェイショー。一週間のうちに集中的に観てきた笑える作品、涙する作品、ワクワクする作品、そのいくつかの感想を記録しておきます。

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The Play That Goes Wrong

アガサ・クリスティー的な古典派殺人ミステリーの劇・・・のハズが、公演中にありとあらゆる問題が生じるドタバタコメディー。ウィットに富んだ小難しいユーモアではなく素直に笑えるスラップスティックが多く、今時、新鮮な感じがする作品。

開演前から、「劇の中の劇」の監督役を演じる役者が、客席を回って「監督のクリスです。どうぞ楽しんでくださいね」(イギリス英語で)と握手をしに来たり、裏方を演じる役者たちが「俺のデュラン・デュランのCD見かけてない?」「公演に使う犬が見つからねえ」と話しかけてきたりする。この伏線(?)の数々が劇の中で活きてくるのが面白い。プレイビルに載っている「監督からのご挨拶」が、またしても劇の中の劇の監督の言葉だったりする。徹底的にメタ!

…分かりづらい説明ですね。とにかくジュリエットと私はひいひい笑いっぱなしで、顔が痛くなりました。開演前やインターミッション中も、面白いハプニングが期待できるかも。一体どうなっているのだろうと感心する、トニー賞を受賞したセットデザインにも注目。

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Book of Mormon

ちょっぴりお下品アニメ『サウス・パーク』のクリエイターが手掛けた、political correctness の p の字も無い大人気ミュージカル。典型的な優等生モルモン教徒がお人好しなオタクと組まされ、ウガンダの奥地で貧困・病・戦争に苦しむ人々に対し布教活動を試みる。え、ここ笑っていいの?と一瞬ぎくりとさせる失礼なジョークが盛沢山。

『サウス・パーク』『ファミリー・ガイ』『ザ・シンプソンズ』などを観ていてもよく思うことだが、アメリカのポップカルチャーへの例えがよく出てくる。何度か観ていくうちに、新たなジョークに気が付きそうな予感がする。ミュージカルの基となった『サウス・パーク』のモルモン教に関するエピソードを知っていると殊更可笑しいけれど、観ていなくても充分笑えるコメディー。

このミュージカルはず~っと気になっていて(サンフランシスコにツアーで来ていた時はあいにく国外だった)、やっと本場で観ることができて嬉しかった。しかもオリジナルキャストのエルダー・プライス役のニック・ルーローが、同役で今ブロードウェイに戻ってきている。今更ですが、我が家では Book of Mormon の歌が大流行です。

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School of Rock

ミュージカルの神、アンドリュー・ロイド・ウェバーによる2015年の最新作。(原作は2003年のジャック・ブラック主演映画『スクール・オブ・ロック』。)貧乏ロックミュージシャンのデューイが、ひょんなことから超名門小学校の臨時教師になりすまし、受け持った5年生たちとロックバンドを構成して大会出場に向けて頑張るというハートウォーミングストーリー。厳格な教師や冷淡な親の下、良い成績を取り規律を守ることしか知らない優秀な子供たちが、デューイに励まされながらロック音楽に触れることによって、自己主張ができるように成長していく様子を描いている。

アンドリュー・ロイド・ウェバーは過去に『オペラ座の怪人』『キャッツ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』など数々の大ヒット作を生み出している。私は『ジーザス…』のロックオペラが特に好きで、期待が大きすぎたのか、『スクール・オブ・ロック』は少しあっけなく感じられた。子供の役者たちが、実際にベースやギターをじゃんじゃん弾いている姿は感心したが(大人のプロ顔負けの素晴らしい歌唱力を持つ子役もいる)、エリート学校に通う子供たちのキャラが成長していくにつれて、主人公ミュージシャンのキャラにも変化が見たかった。

また、後ろに座っていたキッズたちが、席を蹴ったり、大声でお喋りしたり、ばりばりお菓子を食べたりしていたせいでショーに集中できなかったというのもある。親と子供たちに何度も注意したが、申し訳なさそうな素振りが見事にゼロ。ステージ上の子役を見て「凄いなあ」と思うのと同時に、後ろでポテトチップスをかじる子供たちを忌々しく思う、複雑な気持ちで3時間を過ごしたのでした。


思いがけず長くなってしまったので、今回はコメディー編ということで、ミュージカルの話、次回に続きます。




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by majani | 2018-02-21 12:41 | 旅に待ったなし

カリフォルニア、ニューヨークを経て、ボストンにやってきた学者のブログ。海外生活、旅行、日常の記録。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


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