メットに行く

久々にメトロポリタン美術館を訪れた。

f0328897_04004968.jpg

ニューヨーク在住あるいはニューヨーク、ニュージャージー、コネチカットの学生の場合、入場料は好きなだけ寄付する制度(大人の suggested 料金は25ドル)。堂々と無料で入ることもできたが、最後のヨレヨレの20ドル札を差し出した。

f0328897_04005819.jpg

美大生らしき若者があちこちにイーゼルを立てて模写をしているのは、おそらくこの良心的な制度のおかげ。何日かけて完成させるのだろう。

f0328897_04054240.jpg

週末は人でごった返しているメットは、平日に訪れると穏やかな空間。マティスの金魚シリーズのこの小ぶりな作品も、空っぽの部屋で、じっと近づき、急かされることなく楽しめた。

f0328897_04055355.jpg

メットは印象派のコレクションが有名とされているが(ドガのバレリーナが腐るほどいる)私はルネッサンス期やさらに昔のビザンチンのイコノグラフィーが気に入っている。絵画の歴史や宗教についてもっと知っていれば高度な楽しみ方ができるのだろうが、私は単に描かれた人物たちの平たい顔やカチッと見開いた目が奇妙で面白いナと感じる程度。

例えば上のクリヴェッリの作品。ルネッサンス期によく見るマドンナ像だが、よく見るとマドンナが胡瓜と一緒に描かれている。奇妙です。

落ち着いて説明を読むと、右上に描かれた林檎とイエスが睨みつけるようにしている蝿は罪と悪の象徴、また胡瓜とゴシキヒワ(イエスの手の中の小鳥)は罪の贖いの象徴とある。小鳥は何となく分かるような気がするけれど、どうして胡瓜が贖いを意味するようになったのだろうと好奇心が掻き立てられる。

f0328897_04062937.jpg

アフリカやラテンアメリカの展示室(色々な文化の装飾品や彫刻がごちゃ混ぜになっているエリア)も面白い。12世紀~19世紀後半に存在したベニン王国(現在のナイジェリア南部エド州にあった)の装飾品コレクションが見事なので、是非一度見てきたら良いと日本に住む家族友人に教わっていたので、閉館間際に一周してきた。

f0328897_04070010.jpg

確かに見事。16~17世紀にベニン王国の宮廷の壁を彩ったとされる浮き彫りの飾り板は、今にも動き出しそう。

f0328897_05145335.jpg

同じくアフリカ西海岸、植民地時代以前の作品。右に写っているのはポルトガル人を描写した象牙で出来た小さな像。当時はヨーロッパに輸出するため、ベニンやサピ(現在のシエラレオネ)のアーティザンたちがこのような「アフロ・ポルトガル」像を数多く作り出していた。西欧の装飾美学と、ベニンやサピの芸術品に見られる幾何学的なパターン使いの共存によって、独特な雰囲気を放っている。

f0328897_05342260.jpg

この指輪は19~20世紀マリの出土品。はめてみたい。

それにしても欧米にずっと昔からアフリカ諸国の芸術作品が流出しているわけですが、返却の要請はないのでしょうか。ちょっと気になる点ではある。

f0328897_05371548.jpg

美術館から出てきて、街角で売っているローストカシューナッツの香りに惹かれる。

ニューヨークは今日も雪がちらほら降りまだ寒いけれど、最近のセントラルパークは丸々としたカナダガンが騒がしくお喋りをしていて、おぼろげな春の予感がする。



にほんブログ村 海外生活ブログ 国際生活へ
[PR]
by majani | 2018-03-14 06:23 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(6)
トラックバックURL : https://llamainai.exblog.jp/tb/29650137
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by Lynn6 at 2018-03-14 11:11
こんにちは。メット 5年前に行きましたが、当時は入館料金が自己申請で驚きました。確か、ちょっと変わったんですよね、NY市民と学生以外は入館料を取ることになったと。それでも、あの規模と作品を維持するのは大変なことでしょうね。
ガイドのボランティアに日本人の方がいらっしゃって、日本語で説明をしていたのにも驚きました。
懐かしいです。
Commented by indigo-gal at 2018-03-14 12:31
メットは20年ぐらい前にいった記憶が。ギリシャの壺たくさんあった記憶があります。来月、NYにいきますが、たぶん、DUMBO・Vinegar Hills辺りとQueensだけで終わりそう。親戚がいると、観光よりも親戚周りで終わるんですよね。
Commented by majani at 2018-03-15 03:33
Lynn6さま
リンさん、こんにちは。
なるほど、日本人のボランティアガイドもいるんですね。
新しい入館料制度は今月から正式に導入されたようです。
その昔は二ドル(むしろ払った方が失礼みたいな金額)を出して
お面だけ見に行ったりしてました。
海外の観光客は値段が変わっても前と同じように来てくれますからねえ。
美術品のアップキープに貢献していると思えば25ドルも納得。
Commented by majani at 2018-03-15 03:35
indigo-galさま
確かに、ギリシャの壺がにょきにょきと沢山ありました。
もうすぐNYにいらっしゃるんですね。
DUMBO辺りは前からエッジ―なエリアという印象でしたが、
最近は特にウォーターフロントの開発が進んで
美味しいお店が沢山できてるとのこと。
みっちり観光も疲れますから、ご家族とゆっくりできていいですね。
Commented by あつあつ at 2018-03-19 17:14 x
アフリカの作品達、ヨーロッパの作品などと違って制作者の名前やクレジットが記されていないのでいつも少し見逃されがちな分野の様な感じもありますが、これらを作り出した名も無きアーティスト達に想いを馳せて見るとアフリカの哀しい歴史も少し、垣間見る事が出来る様に思いました。

今年の冬は北極圏の寒さの締め付けが温暖化で緩んで逆にその寒気が北極以外の南の地方に流れ出る、という驚きでしたが、本当に春が待ち遠しい〜です!!ポカポカの日向の中で春の陽気を顔いっぱいに浴びたいです!!!
Commented by majani at 2018-03-22 02:24
あつあつさま
お返事が遅れてしまいました。
アフリカの作品が集められているエリアですが、
能面に通ずる何かを感じたり、凄く面白く感じた一方
歴史的背景を知っているからこそ少し悲しくなる作品もありました。

今日のニューヨークは雪が横向きに吹雪いていて、
いきなり銀世界に逆戻り。
お互い、頑張りましょう!!もうちょっとの辛抱です!(多分!)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード


カリフォルニアで博士号取得後、ニューヨークにやってきた学者のブログ。海外生活、旅行、お出かけの記録。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


by majani

プロフィールを見る

カテゴリ

全体
言葉と物
旅に待ったなし
院生リンボー
食べる人々
動物王国
絵葉書もどき
ナンデモアリ
未分類

以前の記事

2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
more...

Like what you see?

ランキングに参加しています。
ハリネズミと蛙をクリックしてね。




ブログランキング・にほんブログ村へ


にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 国際生活へ

ライフログ

On my nightstand

The Purple Swamp Hen and Other Stories


旅のラゴス (新潮文庫)


The Genius of Birds

On my reading list

The Only Story

タグ

最新の記事

エクアドル訪問
at 2018-08-21 06:28
サンフランシスコの結婚式
at 2018-08-13 09:24
リキッドランチとインドネシア料理
at 2018-07-31 12:48
何もしない贅沢
at 2018-07-24 03:46
ソノマとナパへ
at 2018-07-14 08:37
7月のサンフランシスコ
at 2018-07-12 03:50
カールが留守の独立記念日
at 2018-07-10 03:42
服を寄付する
at 2018-07-04 03:21
チョウザメの王者が作るベーグル
at 2018-06-26 05:24
夏のヴィレッジ
at 2018-06-21 01:23

最新のコメント

エクアドルはコロンビアの..
by indigo-gal at 09:30
majaniさん、 お..
by otenbasenior at 09:15
Majaniさーーん!!..
by meek6768 at 07:27
> otenbaseni..
by majani at 16:12
majaniさん、今日は..
by otenbasenior at 09:39

記事ランキング

ブログジャンル

海外生活
旅行・お出かけ

ブログパーツ

検索