若者が集うごみごみしたイーストヴィレッジにティムナという店がある。イスラエル料理にひとひねり加えた美しいプレーティング、そして紳士的なサービスが充実している小さなレストラン。ある金曜の夜、小腹を空かせて友人ルポとふらりと入った。
地中海風のセビーチェ…といっても、セビーチェに見えない。ミントの葉が散らしてあるぱりんぱりんのヒヨコ豆クラッカーの下に隠れているのは、マグロのセビーチェ、イスラエル風サラダ(トマトと胡瓜がメイン)、スパイス、そしてクレムフレッシュのような濃厚ヨーグルト。
そしてこちらが、クバネ(kubaneh)のパン。植木鉢に入ったふわふわのクバネを指で引き裂き、ハラペニョのサルサや、新鮮なトマトとオリーブ油に漬けて食べる。食感はクロワッサンに似ている。奥に写っているピスタチオ色のものは、中東料理の定番である茄子のババガヌーシュ。
クバネは沢山のバターを使って焼いているのか、薄いフィロ生地をぐるぐる巻きにしたジャフヌン(jachnun)に通ずるものがある。こちらも少しピリ辛のトマトディップと食べる。ジャフヌンとクバネは両方ともイエメン系のイスラエル料理だと友人に教わった。
そういえば何年もジャフヌンを食べていない。ブルックリンとグリニッチヴィレッジの二カ所にある 12 Chairs Cafe の週末ブランチメニューに載っているが、中東食材の店などで生地を売っているらしいので、家で作ることも可能。
ただ、相当の時間がかかる作業だ。古いパンを鍋の底に敷き、その上にバターをたっぷり塗りながらきつく巻いたジャフヌンの生地、そして一番上に生卵をぽこぽこ乗せて蓋をし、なんと10時間~14時間かけてオーブンでじっくり焼くとのこと。
ターキーより面倒くさい!
国民に愛される朝ごはんなのに、誰も家で作ろうと思わないことに深く納得。
Timnatimna.nyc
109 St. Marks Place (between 1st Ave. & Ave. A)
今回入ったイーストヴィレッジのイスラエル料理店。
基本はテイスティングメニューだが、ウェイトスタッフに頼めばアラカルトで注文できる。
12 Chairs Cafe
12chairscafe.com
Locations in Williamsburg and Greenwich Village
ウィリアムスバーグに本店を構える本格派イスラエル料理の店。
イスラエル産のワインが豊富。
そしてジャフヌンがお手頃な値段で食べられる。ブランチにおススメ。