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サンフランシスコの結婚式

ベイエリア旅日記のおわり。

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ベイエリア訪問中の目玉イベントはリルケの大学時代の友人の結婚式だった。新郎新婦は、私とリルケよりずっと長い間交際をしているベテランカップルで、ベイエリアに住んでいた時は4人でナパバレーへ出かけていたりした。私はシングルの女友達が割と多いけれども、カップル同士の付き合いも良いものだなあと気づかせてくれた友人たちだ。

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式はサンフランシスコ、ノブヒルの Grace Cathedral で行われる。ちょくちょく通り過ぎてはいたグレースカテドラルに足を踏み入れるのは初めて。グレーの石の重厚感ある外見だが、中のステンドガラスや暖かい色の装飾はうっとりさせる。

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本格的なセレモニーのため、参列者も立ち上がったり歌ったりと活発に参加する。神父さまがこう問いかけたら私たちは大きな声でこう答えるべし、と指示がプログラムに細かく記してある。普段から教会に通っている方たちはそれはタイミングがこなれたもので、一方のリルケと私はあたふた追う感じ。頑張りました。

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そうそう、披露宴会場へ移動中、フェアモントホテルの前を通り、思いがけずこのお方を拝むことができた。「お~い、ここじゃないぞ、何やってんだ」と他のゲストたちに声をかけられる度、「ちょっとトニーに挨拶してるから先に行ってて!」と追い払うとトニーベネットを知らない子たちは「・・・誰?」と不思議そうな顔をしていた。

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披露宴は教会から2ブロックほど離れた、University Club of San Francisco にて。ハーバードを始め由緒ある大学のアラムナイによって1890年に創立された協会のクラブハウスだそうだ。東京でいうところの学士会館みたいなものか。

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バルコニーに出ると、変わりつつあるサンフランシスコのタウンスケープにそろそろと霧が流れ込んでくるのが眺められる。

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食事はビュッフェスタイルで、今までのウェディングの中で一番美味しかったかもしれない。

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それにしても、ずっしりした革のアームチェアに壁一杯の分厚い本、ビリヤードに昔のボート部を描いたペン画など、昔ながらのアメリカの大学(殊にアイビーリーグ)の雰囲気どっぷり。ちょっと油断すると、どうしても仕事を思い出してしまう!

そんなアンニュイを払いのけ、モスコミュールならぬ「ケンブリッジミュール」など、色々な大学に因んだカクテルをごくごく。

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新郎新婦はアジアンアメリカンの二世で、また二人とも明るい姉弟がいる。新郎のハンサムで少しぶっきらぼうな弟さんが、お兄ちゃんはおちゃらけキャラだけれど、とても小さな時から、英語が喋れない親の通訳を務め、家族の幸せを支えてきた大黒柱なんだという内容のスピーチをした。次いで新婦に似てしっかり者の妹さんが、家族のピンチの時に新婦が東海岸のキャリアを犠牲にしてカリフォルニアに飛んできたことなど、米国の生活に慣れない親のために努力をしてきた数々のエピソードを力強く語った。自分が敢えて選んだことでもないのに、幼いながらも二つの文化、二つの言葉のアンバサダーを勤めざるを得なかったこと、そしてそれから生じる孤独感を乗り越えて成功を収めたことが、大きなテーマとしてあった。

リルケも私もアメリカでの生活がとても長いが、若い二世のアジア系アメリカ人が直面する独特な苦労は知らず、知りえない。今まで深く考えたことのなかったアジアンアメリカンの家族の在り方というものが垣間見えたような気がし、心打たれるスピーチに私は思わず涙した。

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二人とも末永くお幸せに。この美しいケーキも抜群に美味しかったけれど、私がバケツ一杯持って帰りたくなったのは、中華街のパン屋でよく見かけるサクサクの生地のエッグカスタードパイ。

また近いうちにサンフランシスコで再会できることを願いながら、暑~い東海岸に戻って来た。



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by majani | 2018-08-13 09:24 | 旅に待ったなし

カリフォルニア、ニューヨークを経て、ボストンにやってきた学者のブログ。海外生活、旅行、日常の記録。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


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