パリ…ではなかった、ラスベガスに降り立った。
ポートランドの静かな森から、フィッシュネット姿のダンサーたちがお尻を振りながら声をかけてくる、ギャンブルと快楽の街にやってきた。
日本から来ている両親と空港で待ち合わせをしている。(私がポートランドにいる間、親はサンフランシスコで遊んでいた。)私がニット帽で現れると「ポートランドの人になってる」と母が笑った。ラスベガスは日差しが強く、暑い。早速、服のレイヤーを一枚、二枚と削ぎ落した。
久々にヤシの木を見る。
初めてのラスベガス。メジャーなホテルが並ぶ大通りを「ストリップ」という。
そのストリップ沿いをタクシーで行くと、Caesar's Palace や MGM Grand など、聞いたことがあるようなないような豪華なホテルが相次いで窓の外を煌びやかに過ぎていく。タクシー運転手がベガス周辺のハイキングトレールについて熱心にアドバイスしてくれた。
ラスベガスの宿は、カジノで設けているため、基本的に安い。しかしどうせならゴージャスに過ごそうぢゃないかと思い、ホテル・べラジオに泊ることにした。ハーレクイン的な模様の壁紙が何だかベガスらしい。
部屋の窓からべラジオの有名な噴水が見える。(ホテルに泊まらなくても見に行ける。)噴水のパターンは、部屋のテレビを付けると最初に出てくるホテルチャンネルで流れている曲に合わせてあり、下のカジノで high roller が大儲けすると突如エルビスの Viva Las Vegas がかかるらしい。
しばらくしてコーヒーを求めて母とホテル内のスターバックスへ向かった。
広い施設なのでスタバに行くだけでちょっとした散歩コースだった。延々と続くカジノを抜け、ティファニーやボッテガヴェネタなどラグジュアリー店が並ぶエスプラナードを通り、さらにてくてく歩く。辿り着くだけで喉が渇いてしまったので、水を買おうとしたら、なんと小さなペットボトルが一本10ドルするという。じゅッ?!空港で買ったって高々5ドルなのに、ここスタバなのに、ノルウェイの奥地から運んできた素晴らしい天然水とかいうわけでもないのに、このゴージャスな値段はどういうことなのか。
けっきょく買わなかったが、今思い出しただけで、また腹が立ってしまった。
そうこうしているうちに、リルケもホテルに到着。皆揃ったところで、カジノへ。
リルケは、ベガスに向けてブラックジャックの研究(?)をしていたが、けっきょくスキルが問われないスロットマシンに専念する家族。スロットマシンといえば、がちょん!とレバーを引くイメージが強い。実際はほとんどのレバーがお飾りで、タッチスクリーンかボタンを押す機械が多い。
「あー!」とか「うわ~」とか喜んだり悔しがったりしながら派手にお金を使っている親チーム。その一方、1ドル、2ドルずつ、とちまちまギャンブルする小心者の私とリルケ。10ドルの水をケチらず買っていたら、もっと良いことあったかな。
その夜、シルクドソレイユの "O" を観に行った。半信半疑で行ったのだが、これがけっこう面白い。ストーリーはともかく、パフォーマーの体力とあっと驚くアクロバットに観客から喝采が沸き起こる。
この後しばらく、シルクドソレイユのパフォーマーの真似をしながら日常的なことをする(例:エレベーターまで駆けて行く、お茶を注ぐ、相手に何かを渡す)という「シルクドソレイユごっこ」が我が家で大流行する。
日が落ちると、ベガスはネオンライトの街に変身する。ショーの後もカジノでちょっぴり儲けたりちょっぴり損したりして、早めにお開きにする。
一泊限りのラスベガス、4ドル儲けて後にした。
翌日、レンタカーを借りて近くのフーバーダムに寄った。何か怪しいことがあったら警察に言いましょう、というサインの絵がどこか漫画っぽくて可愛い。
しつこいけれど、日差しが強い!寒くて暗い冬をボストンで過ごしただけに、顔がヒリヒリする。
アメリカ西部の家族旅行、続く。