アメリカ西部の旅の続き。
最後のストップは Zion National Park。
公園内のザイオン・ロッジに泊っている。岩山をバックに緑の屋根のバンガローが並ぶ。早朝と夕方はよく鹿がうろうろしている。
部屋には暖かみのある色合いのブランケットや家具。朝はかなり寒くなるので、暖炉が嬉しい。
デッキチェアが並ぶ気持ち良いメインロッジ。時間が止まったような静かなロビーに、チェスゲームが用意されていた。
滝にぐっと近づけるハイキングトレールがいくつもある。
こちらは Emerald Pools というトレールを歩いている。渇水して一部閉鎖されているが、行けるところまで行ってみようと四人で歩き始めた。トレールの序盤の部分しか歩かなかったけれど、それでも迫力満点。近づいてくると水しぶきが強くなり、傘をぱっとさす人たちも。
(上に写り込んでいる紺と白の傘のおじさんは、後に「写真を撮ってあげようか」と声をかけてくる。ザイオンのベテランハイカーのようで、今年は水が多いとか、水の色がああだこうだとか、張り切って教えてくれた。)
土が赤い。何だかお肌に良さそうな感じ。
私がエメラルドプールで期待していたのは、もちろん滝もそうだが、この珍しいザイオンスネールとの面会だ。マッチの頭くらいの超ミニサイズのカタツムリが人知れず岩に張り付いて地味に暮らしていると思うと嬉しい。
見つけた!・・・かな?なんだか小さすぎてよくワカラナイ。でもたぶん見つけた!滝に近づいていくと、黒くて丸いツブツブが岩のあちこちにしがみついている。
どおどおと音を立てて清々しく落ちていく滝をくぐり、ザイオンのマジェスティックな岩壁を眺めた。
川辺まで降りていくことができるトレールも沢山ある。親が飛び石をして遊び始めた。
歩いてお腹を空かせ、ロッジに戻ってきてレストランに入った。ちょっと珍しいバイソン・バーガーがあるので頼んでみた。これがとびきり美味しくて、翌日もまた同じものを食べた。
初日は曇りがちだったが、二日目は青空が広がり、滝のトレールと雰囲気が異なる、サボテンがにょきにょき生えているような乾いたトレールも歩いてみた。
こうして西部の旅行、幕を閉じる。私たちを見送ってくれるようにして、フレンドリーな丸っこい雲がゆらゆらと車の後を追ってくる。
ラスベガスで始まったが、一応「自然に近づく」がテーマとしてあった家族旅行。
グランドキャニオン、
ブライスキャニオン、ザイオンと三つの国立公園を回り(考えてみれば、ネバダ、ユタ、アリゾナと、一度に三つの州も)さんさんと日が降り注ぐ日もあれば、
吹雪に打ちのめされたり傘をさしたりする日もあり、同じ「アメリカ」と言えども大陸の様々な表情を見てきた。都会っ子の両親、沢山歩かせてしまったけれど、初めて訪れる国立公園に感動してくれたと思いたい。
旅の最後に、今度はムースを見に行きたい、と父が言っていた。よし、今度はムースを見に行きましょう。