カテゴリ:旅に待ったなし( 50 )

メットに行く

久々にメトロポリタン美術館を訪れた。

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ニューヨーク在住あるいはニューヨーク、ニュージャージー、コネチカットの学生の場合、入場料は好きなだけ寄付する制度(大人の suggested 料金は25ドル)。堂々と無料で入ることもできたが、最後のヨレヨレの20ドル札を差し出した。

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美大生らしき若者があちこちにイーゼルを立てて模写をしているのは、おそらくこの良心的な制度のおかげ。何日かけて完成させるのだろう。

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週末は人でごった返しているメットは、平日に訪れると穏やかな空間。マティスの金魚シリーズのこの小ぶりな作品も、空っぽの部屋で、じっと近づき、急かされることなく楽しめた。

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メットは印象派のコレクションが有名とされているが(ドガのバレリーナが腐るほどいる)私はルネッサンス期やさらに昔のビザンチンのイコノグラフィーが気に入っている。絵画の歴史や宗教についてもっと知っていれば高度な楽しみ方ができるのだろうが、私は単に描かれた人物たちの平たい顔やカチッと見開いた目が奇妙で面白いナと感じる程度。

例えば上のクリヴェッリの作品。ルネッサンス期によく見るマドンナ像だが、よく見るとマドンナが胡瓜と一緒に描かれている。奇妙です。

落ち着いて説明を読むと、右上に描かれた林檎とイエスが睨みつけるようにしている蝿は罪と悪の象徴、また胡瓜とゴシキヒワ(イエスの手の中の小鳥)は罪の贖いの象徴とある。小鳥は何となく分かるような気がするけれど、どうして胡瓜が贖いを意味するようになったのだろうと好奇心が掻き立てられる。

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アフリカやラテンアメリカの展示室(色々な文化の装飾品や彫刻がごちゃ混ぜになっているエリア)も面白い。12世紀~19世紀後半に存在したベニン王国(現在のナイジェリア南部エド州にあった)の装飾品コレクションが見事なので、是非一度見てきたら良いと日本に住む家族友人に教わっていたので、閉館間際に一周してきた。

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確かに見事。16~17世紀にベニン王国の宮廷の壁を彩ったとされる浮き彫りの飾り板は、今にも動き出しそう。

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同じくアフリカ西海岸、植民地時代以前の作品。右に写っているのはポルトガル人を描写した象牙で出来た小さな像。当時はヨーロッパに輸出するため、ベニンやサピ(現在のシエラレオネ)のアーティザンたちがこのような「アフロ・ポルトガル」像を数多く作り出していた。西欧の装飾美学と、ベニンやサピの芸術品に見られる幾何学的なパターン使いの共存によって、独特な雰囲気を放っている。

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この指輪は19~20世紀マリの出土品。はめてみたい。

それにしても欧米にずっと昔からアフリカ諸国の芸術作品が流出しているわけですが、返却の要請はないのでしょうか。ちょっと気になる点ではある。

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美術館から出てきて、街角で売っているローストカシューナッツの香りに惹かれる。

ニューヨークは今日も雪がちらほら降りまだ寒いけれど、最近のセントラルパークは丸々としたカナダガンが騒がしくお喋りをしていて、おぼろげな春の予感がする。



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by majani | 2018-03-14 06:23 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(6)

ブロードウェイで泣く(そしてパイを食べる)

引き続き ブロードウェイミュージカルの話。今回は感動する作品について。

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Hello, Dolly!

高校時代のジュリエットと私は、アンドリュー・ロイド・ウェバーに負けない大御所作曲家のスティーブン・ソンドハイムが手掛けた Into the Woods というミュージカルにハマっており(2014年にメリル・ストリープ、ジェームズ・コーデン主演の映画が出ている)そのビデオ鑑賞会をよく行っていた。(今思えば、擦れていない大真面目な高校生だった。)「赤ずきんちゃん」や「ジャックと豆の木」など有名な童話に登場するキャラクターたちが、何かを強く望むことによって招いてしまった思いがけないハプニングを追うストーリーだ。ブロードウェイの大女優であるバーナデット・ピーターズが、オリジナルキャストで迫力ある魔女を演じている。私たちはたちまちピーターズの大ファンになった。

そのバーナデット・ピーターズが主人公を演じるコメディー Hello, Dolly! が今回の大目玉。

設定は19世紀末のニューヨーク。世話好きな未亡人ドーリーは、老若男女を恋に導くマッチメーカーとして街で有名。しかしドーリー自身は独りの生活に苦しんでいて、郊外ヨンカーズの "half-a-millionaire" として知られる、怒りんぼなホラス・ヴァンダーゲルダーと再婚しようかと考える。困ったことに、以前ヴァンダーゲルダーにお見合い相手を見つけてあげてしまっているため、ドーリーは彼のハートを奪還するべく作戦を立てる。そんな中、ヴァンダーゲルダーが営む店の若い従業員コーネリアスとバーナービーは、恋愛と冒険を求め、秘密でニューヨークに乗り込む。帽子屋でアイリーンとミニーに出会うが、そこへ雇い主のヴァンダーゲルダーが現れトラブル発生。どんな奇想天外な展開でも上手くことを収められる賢いドーリーであるはずだが・・・?

初心な若者たちや恋に無作法なヴァンダーゲルダーなど、ドーリーを取り巻く様々な関係者が、ニューヨークの超高級レストランに集まるシーンがミュージカルのクライマックスだ。色鮮やかなドレスを着たニューヨーカーが行き交うさり気ない街のシーンから、ウェイターたちが踊り狂う爽快なレストランシーンまで、音楽、衣装、コリオグラフィー、全てに胸がときめく。古典派ミュージカルだからこそ何となく安心して観ていられる『ハロー・ドーリー』は、2017年にブロードウェイに戻ってきてベスト・リバイバル部門でトニー賞を受賞している。

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バーナデット・ピーターズがブロードウェイステージに立つのは20年ぶり。彼女が演じるドリーが最初に登場するシーンで、すでにスタンディングオベーションが起きる。ミュージカルのタイトルともなっている "Hello, Dolly!" というナンバーで、紛れもないルビー色のドレスを着たピーターズが "It's so nice to be back home where I belong" と歌うと、観客はいっそうに手を叩きならし、私はつい涙ぐんでしまう。ブロードウェイに、お帰りなさい!

因みにハロードーリーは、19世紀の戯曲をもとにしたソーントン・ワイルダーの劇 The Merchant of Yonkers がミュージカル化されたもので、元ネタがそ~と~古い。そのため、「女の取柄は家の掃除」的な古めかしい台詞が時々あるが、ピーターズ主演の現代版では(#MeToo後でもある)台詞の読み方(delivery)の工夫でコミカルな効果を狙うなどして、ストーリーが時代遅れだと感じさせないように努力している印象を受けた。

ピーターズのコメディーセンスはピカイチだし、アイリーン役のケート・ボールドウィンの歌声には聴き惚れてしまうし、バーナービー役のチャーリー・ステンプの可愛いことったら。またすぐにでも観たい作品です。

一目でいいからバーナデットを見たいと楽屋口で雨の中一時間半も待ったのですが、残念ながら会えず。(チャーリー・ステンプは一人でとことこ出てきて、待っていた高校生たちのプレイビルをサインしてあげたり、写真を撮ってあげたりしていた。可愛いうえに、凄くイイ人。)今でも若い子たちが、大昔の私たちのようにこうしてミュージカルに胸をときめかせているのを楽屋口で目撃し、とても嬉しく思った。

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Wicked

こちらは近年の王道ミュージカル。『魔法使いのオズ』に登場する Wicked Witch of the West (西の悪い魔女)がどうして悪い(wicked)魔女になってしまったのか、その経緯を辿る壮大ミュージカル。後に「悪い」魔女となるエルファバ、そして善良な魔女グリンダとして知られるようになるガリンダ(名前がどうして変わるのかはミュージカルでチェック)の間の、時には緊迫した友情の描写に感動する。

歌とそのリリシズムがとにかく良い。エルファバ役とガリンダ役の歌唱力に全てがかかっているとも言える。また、"Defying Gravity," "The Wizard and I," そしてフィナーレの "For Good" など数々の名曲がありますが、魔法使いのオズの話を知っている方が楽しめるかと思います。

このミュージカルでは第一幕の "The Wizard and I" で一度ぐっと涙をこらえ(アップビートな歌だけれど、後にどうなってしまうか分かっているだけに悲しい)、最後の "For Good" でうおおおおんとジュリエットと泣く。女の友情ものに弱い女二人です。

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Waitress

ガラリと変わって、現代のアメリカ南部の田舎町。小さなダイナーでウェイトレスとして働くジェナは、亡くなった母親から学んだパイ作りの名人。ダイナーで出している自家製パイは、どれもちょっと変わった名前が付いている。こうしてパイを焼いたり仕事仲間たちと他愛無いお喋りをする平凡な生活を送っていたが、ある日、妊娠が発覚。父親は、ろくに仕事もせずジェナから金を巻き上げるのが日課となっている夫のアール。愛がとっくに消えた結婚生活から逃げ出すべきか悩むジェナは、彼女を担当する産婦人科医のジム・ポマターに惹かれていくが・・・。

『ウェイトレス』は2015年にマサチューセッツ州でプレビューが始まり、2016年にブロードウェイで開幕したばかり。4部門でトニー賞にノミネートされている。私たちが観に行ったバレンタイン辺りの時は、作曲作詞をしたサラ・バラレスが自ら主人公を演じ、ポマター役はシンガーソングライターのジェイソン・ムラーズだった。ああもう、サラ・バラレスが泣かせる!演技が上手い!声が良い!(オリジナルキャストのジェシー・ミューラーも観客を唸らせる演技力と歌声の持ち主。)甘いマスクのジェイソン・ムラーズも、見ているこちらがモジモジしてしまうほど awkward ながらもチャーミングなポマター先生役を上手く演じきっている。

ジェナの夫アールのダメ男炸裂ぶりに観客の怒りが増していくのが手に取るようにわかる(アールはジェナに対し暴力を振るうまではいかないが、その危機感が常にモヤモヤとあり、ジェナの恐怖感が伝わってくる)。ジェナのソロナンバー、"She Used to Be Mine" が終わった時にはその怒りは悲しみに変化していて、周りから「ぐすん、ぐすん」と女性がすすり泣いたり鼻をかんだりする音が一斉に聞こえてきた。実は私もうおおおん状態で、ふと隣を見るとジュリエットも必死にティッシュで目を拭っている。

バレンタインデーに近かったのでカップルが多かったのですが(男性陣はデートのお相手が急に泣き出して困っている様子だった)このミュージカルは、一応「男に頼らず強く生きる女」みたいなのがテーマとしてあるので、良き女友達と観て、一緒にうおおおんとなりたい作品。

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また、非常にパイが食べたくなる作品でもあります。

パイ~、パイはどこだ~、と私たちは Little Pie Company (www.littlepiecompany.com)へ向かった。こちらのはマンハッタンで見つけたパイの中で頗る美味しいと感じている。事前に注文をしておかなくても良いというのがさらなる利点。

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パイを一切れ($4.50)その場で温めてもらって食べることができる(アラモードも可)。私はリンゴとクルミとサワークリームのパイ、ジュリエットは王道のベリーパイ。ブラックコーヒーと合います。

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パイをホールで買うのは少し大袈裟だなと考え、ミニサイズの梨とリンゴのクランブルパイ($8.50)を持ち帰った。後日オーブンで15分ほど温めて、ミュージカルのことを思い出しながらデザートを楽しんだ。

しかし一週間でいくつもショーを観ると、さすがに疲れる。そして一気に貧乏になったような・・・。しばらくはおとなしく家で夜を過ごしたいと思う。




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by majani | 2018-02-24 03:25 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

ブロードウェイで笑う

最近、「プレイビル」がリビングルームに散乱している。

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演劇好きなジュリエット(箱根チャーリーチャップリンのケーキを食べた友人)が日本から遊びに来ていたので、6日間でブロードウェイショーを7作品も観た。

劇やミュージカルを観に行くと渡されるのが、Playbill というこの黄色い縁のプログラム。キャストのプロフィールや広告の他、演劇界で注目されている監督や役者のインタビューなど、ちょっとした記事も載っている。その内容が凄いジャーナリズム!という訳ではないのだけれど、何となく手放せない。相変わらず「断捨離」とかけ離れたライフスタイルを貫いています。

さて、去年ニューヨークに(また)引っ越してきてから、初めて観るブロードウェイショー。一週間のうちに集中的に観てきた笑える作品、涙する作品、ワクワクする作品、そのいくつかの感想を記録しておきます。

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The Play That Goes Wrong

アガサ・クリスティー的な古典派殺人ミステリーの劇・・・のハズが、公演中にありとあらゆる問題が生じるドタバタコメディー。ウィットに富んだ小難しいユーモアではなく素直に笑えるスラップスティックが多く、今時、新鮮な感じがする作品。

開演前から、「劇の中の劇」の監督役を演じる役者が、客席を回って「監督のクリスです。どうぞ楽しんでくださいね」(イギリス英語で)と握手をしに来たり、裏方を演じる役者たちが「俺のデュラン・デュランのCD見かけてない?」「公演に使う犬が見つからねえ」と話しかけてきたりする。この伏線(?)の数々が劇の中で活きてくるのが面白い。プレイビルに載っている「監督からのご挨拶」が、またしても劇の中の劇の監督の言葉だったりする。徹底的にメタ!

…分かりづらい説明ですね。とにかくジュリエットと私はひいひい笑いっぱなしで、顔が痛くなりました。開演前やインターミッション中も、面白いハプニングが期待できるかも。一体どうなっているのだろうと感心する、トニー賞を受賞したセットデザインにも注目。

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Book of Mormon

ちょっぴりお下品アニメ『サウス・パーク』のクリエイターが手掛けた、political correctness の p の字も無い大人気ミュージカル。典型的な優等生モルモン教徒がお人好しなオタクと組まされ、ウガンダの奥地で貧困・病・戦争に苦しむ人々に対し布教活動を試みる。え、ここ笑っていいの?と一瞬ぎくりとさせる失礼なジョークが盛沢山。

『サウス・パーク』『ファミリー・ガイ』『ザ・シンプソンズ』などを観ていてもよく思うことだが、アメリカのポップカルチャーへの例えがよく出てくる。何度か観ていくうちに、新たなジョークに気が付きそうな予感がする。ミュージカルの基となった『サウス・パーク』のモルモン教に関するエピソードを知っていると殊更可笑しいけれど、観ていなくても充分笑えるコメディー。

このミュージカルはず~っと気になっていて(サンフランシスコにツアーで来ていた時はあいにく国外だった)、やっと本場で観ることができて嬉しかった。しかもオリジナルキャストのエルダー・プライス役のニック・ルーローが、同役で今ブロードウェイに戻ってきている。今更ですが、我が家では Book of Mormon の歌が大流行です。

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School of Rock

ミュージカルの神、アンドリュー・ロイド・ウェバーによる2015年の最新作。(原作は2003年のジャック・ブラック主演映画『スクール・オブ・ロック』。)貧乏ロックミュージシャンのデューイが、ひょんなことから超名門小学校の臨時教師になりすまし、受け持った5年生たちとロックバンドを構成して大会出場に向けて頑張るというハートウォーミングストーリー。厳格な教師や冷淡な親の下、良い成績を取り規律を守ることしか知らない優秀な子供たちが、デューイに励まされながらロック音楽に触れることによって、自己主張ができるように成長していく様子を描いている。

アンドリュー・ロイド・ウェバーは過去に『オペラ座の怪人』『キャッツ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』など数々の大ヒット作を生み出している。私は『ジーザス…』のロックオペラが特に好きで、期待が大きすぎたのか、『スクール・オブ・ロック』は少しあっけなく感じられた。子供の役者たちが、実際にベースやギターをじゃんじゃん弾いている姿は感心したが(大人のプロ顔負けの素晴らしい歌唱力を持つ子役もいる)、エリート学校に通う子供たちのキャラが成長していくにつれて、主人公ミュージシャンのキャラにも変化が見たかった。

また、後ろに座っていたキッズたちが、席を蹴ったり、大声でお喋りしたり、ばりばりお菓子を食べたりしていたせいでショーに集中できなかったというのもある。親と子供たちに何度も注意したが、申し訳なさそうな素振りが見事にゼロ。ステージ上の子役を見て「凄いなあ」と思うのと同時に、後ろでポテトチップスをかじる子供たちを忌々しく思う、複雑な気持ちで3時間を過ごしたのでした。


思いがけず長くなってしまったので、今回はコメディー編ということで、ミュージカルの話、次回に続きます。




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by majani | 2018-02-21 12:41 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(4)

トニーベネット

普段なら必死に避けるミッドタウンの観光スポット。派手なネオンサインの Radio City Music Hall にやってきた。

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何故ならば、トニー・ベネットがライブで来ていた。トニーのためなら、マンハッタンの人混みもへっちゃら。

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ああもう、この笑顔を見ると安心する。

以前、サンフランシスコでトニー(の銅像)を見てきたけれど、生のトニーが、ニューヨークに着いてすぐ聴きに行けるとは夢のよう。やはりセコイア国立公園の種ゲームでスゴイ幸運を呼び込んだのか!

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ほぼ10年ぶりにラジオシティ・ミュージックホールに足を踏み入れる。この金と深紅の入口、 grand foyer を始め、アールデコ調の歴史的な建築物だ。

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売店でポップコーン、プラスチック容器からヨーグルトのようにぺりっと蓋を剥がして飲むワイン、金色のゴブレットに注がれたシャンパンなどを売っている。悲しいことに、プログラムはない。ちゃんとしたグラスで飲みたいなあと思いながら赤ワインを啜り、前座の娘アントニア・ベネットの歌を聴く。彼女の歌はイマイチ盛り上がりに欠ける。

するとこんなアナウンスがかかった。「では、フランク・シナトラにトニー・ベネットをステージに迎えてもらいましょう!」観客が「え?」とざわめくと、トニーを褒めちぎるシナトラの昔の録音が、広大なホールに響き渡った。

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耳がおかしくなりそうな喝采の中、トニーがステージに出てきた。始まる前からスタンディングオベーションだ。トニーがパッと腕を広げると、観客はさらに手を叩きならして喜んだ。彼のトレードマークジェスチャーである。(サンフランシスコのフェアモントホテルにある銅像もこのポーズを取っている。)

ポケットスクエア替わりに、赤いバラを胸に挿しているトニー。 彼が "Watch What Happens" を歌い始めると私は感極まって涙がぽろぽろ出てきてしまい、隣に大人しく座っていた北欧の観光客がぎょっとしていた。

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割と良い席を取ったつもりでしたが、やはりケータイ写真だとトニーが豆サイズですね。オペラグラスを持って行って正解。

プログラムが無かったので、暗闇の中、セットリストをメモした。Boulevard of Broken Dreams などちょっと意外な選曲もある27曲だった。

トニーベネット・クォーテットのメンバーそれぞれの見せ場がある時、トニーが奏者の所までゆっくりと歩いていき、本当に楽しそうに聴き入る姿が、私は好きでしょうがない。

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ライブが終わった後、外でリルケが鋭い観察をする。「あれ、ト二―の車じゃないか?」MUSIC7 というライセンスプレートの車を発見したのである。

しばらくすると、側に立っていたTシャツとジーンズの若い男の子が、"There he is!" と叫んだ。トニーが楽屋口から出てきたのだ。わあああ!と喜ぶ観客に手を振ったが、彼は素早く車に乗り込んでしまった。(因みに、電話をしているのは彼の息子のダニーだと、父が後に教えてくれた。)

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MUSIC7の車は、マンハッタンの煌びやかな夜の中へと消えていった。ああ、良かった~といつまでも見送っていると、腰の辺りから急に声がした。ブクレのブレザーを着たとても小さなお婆さんが、それはまた小さな声で私に話しかけてきたのだ。「トニーは物凄く疲れたことでしょうね!」

上演中はすっかり忘れていたが、トニー・ベネットは91歳である。そうですねえと返事をすると、私もヘトヘト、でも本当に良かった、とお婆さんは微笑んだ。私は地下鉄一本で帰れるけれど、お婆さんは頑張っておめかしをして、とても遠くからやってきた感じがした。

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ラジオシティ・ミュージックホールと言えば、毎年クリスマスの季節にある「ロケッツ」たちのショーがまず思い浮かぶ。36人の若い踊り子たちが、揃って長~い足をかんかん踊りのように蹴り上げたりするので有名なロケッツの Christmas Spectacular 。1930年代からあまり変わることなく続いてきたラジオシティの伝統だ。

館内の広告を見て、子供の頃にお世話になったおねえさんが、後にロケッツになったことを思い出した。彼女は確かインディアナだかアイダホだったか、田舎の出身で、人魚姫のような美しい髪をしていた。彼女は頑張ってニューヨークに出ていき、ウェイトレスのバイトをしながらミュージカルのオーディションに通い続け、やがてロケッツのキャストメンバーになったのだった。大学生になった私は彼女の噂話を共通の知り合いから聞き、全く映画に出てくるような話だなあと、ひどく感心した。

ロケッツは宝塚みたいなもので、キャストが何年かごとに入れ替わるので、彼女はとっくに違う仕事に移っていることだろう。若いダンサーなんて、ニューヨークにごまんといるのでしょうね。

最近の我が家では、ロケッツのかんかん踊りではなく、トニー・ベネットのぱっ!と上に向かって腕を広げるジェスチャーが大流行している。




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by majani | 2017-10-23 02:44 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(8)

ミューアが愛した木

セコイア国立公園の最終日。

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ロッジを出発し、初日に遠目に見た Moro Rock へ。(モロベイにある何となく不気味なモロロックとは関係ないんですって。)

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途中経過の様子。頂上まで、1931年に造られた石段をひたすら上る。

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私たちは公園の中に泊まっていたため、混み始める前に到着できたが、下りは大勢の観光客とすれ違う。今に心臓麻痺を起こしそうな太ったおじさんたちが、ぜえぜえ言いながら頑張って階段を上っている。

そこで昨日のパラダイスバレーで「あと10分くらいだよ」と励ましてくれた男性を思い出し、如何にも死にそうになっている人に「あと少しで頂上ですよ」と声をかけた。「オー、サンクゴッド…」と泣き出しそうなおじさん。本当にあとちょっとですよ!

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こんな所にも、小鳥ちゃん。

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先日行きそびれたジャイアントフォレスト・ミュージアムに寄る。セコイアを始め様々な針葉樹に関する解りやすい展示がある案内所と土産品店。

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子供向けなのだろうけれど、「あなたがセコイアの種だったら」というゲームが面白かった。Wheel of Fortune みたいな巨大なルーレットを手動で回すと、「リスに食べられて、芽が出ない」「日当たりが悪い所に落ちて、芽が出ない」「他の若木に栄養を奪われて、育たない」「山火事で焼ける」など、ありとあらゆる悲しい運命が「当たる」のである。

リルケはリスに食べられてしまったが、私は奇跡的に「巨樹に育つ」が出ました。これで人生の運を使い切ったような気がする。

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次に、自然保護の父 John Muir に因んで名づけられた Muir Grove トレールを歩く。立派なセコイアが沢山生えているのに何故かいつも空いているとのことで、このトレールを選択した。

帰り道にすれ違ったパークレンジャー以外(二人組で時々トレールをパトロールしているようだ)まったく人を見なかったが、ちょろちょろ水が流れているこの一角で、ガラガラヘビに出くわした。

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森に響き渡る「トン、トトントン」という音はシロガシラキツツキたち。身体が黒いので、まるで白粉でおめかししたような白い頭が目印になる。

一方のドングリキツツキは集団で暮らし、一本の木に沢山の穴を開けてドングリを敷き詰めてゆく。びっしりとドングリが詰まったキツツキの高層マンションは、原因が分からず通りがかったならば、とても奇怪な木に見えることでしょうね。

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もちろん、この子も登場。

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ミューアが愛したセコイアの木が現れるのはトレールの最後。レンガ色の幹と、他の木が急にちっぽけに見えるその絶大なスケールで、一瞬にしてセコイアだ!と分かる。空まで届きそうなセコイアがいきなりズドーンと出てくると、実に感激的。

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トレールの終盤は、何本もの巨樹が円状に生える静かな grove になっている。その中心に転がっている丸太に二人で並んで座り、ぼーっと上を眺める。

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こんなに大きな木でも、マツボックリは手に2、3個納まるミニサイズ。

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そろそろ、出発の時間。名残惜しい。

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パトロール中のパークレンジャーに挨拶をし、来た道を戻っていくと、ガサガサガサっと何か大きな動物が茂みから私の目の前に飛び出してきた。

とうとう熊にやられるのかと思ったら、鹿だった。鹿の方も、人間が通り道にいて驚いた様子で佇んでいる。熊が出たら絶対に走って逃げるな、戦え!みたいな恐ろしい注意書きは何度も読んでいたけれど、一見優しそうな鹿の場合はどうすれば良いのでしょう。エルクを間近で見た時も思ったことだが、草食獣でも近くで見ると大きくて少しおっかない。

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連れがいて、しばらく鹿 vs 人間のにらめっこが続く。

私たちが危険でないことをようやく悟ってくれたようで、二頭は悠然と食事を始めた。こちらはトレールを通せんぼされてしまったので、彼らがランチをする間、距離を置いて待機するほかない。

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やっと退いてくれた。またねー。

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夕方のセコイア国立公園。あと数日ゆっくりしたいものです。

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国立公園付近の町 Exeter で East Meet West という、ダイナーと中華料理店を掛け合わせたような奇妙なレストランで食事をした。

赤いチェックのテーブルクロスの上でメニューを広げてみると、名前通り(?)フライドチキンやパスタなど「洋食」の「西」メニューと、タイ料理と中華の「東」メニューの二つに分かれている。あちらのブースにはフランス人の家族、こちらのブースにはイギリス人家族、奥にはイタリア人カップル。皆、「西」メニューのものをつついて、大量の赤ワインを飲んでいる。

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セコイアを見てきた後に餃子を食べるのも何だかねえとか言いながら、私たちは結局パッドタイを注文した。アジア系の料理をずっと食べていなくて身体が欲していたのだと思う。

チンタオを頼むと、ウェイトレスの中国系のおばちゃんが、凄く嬉しそうにしていた。



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トレール等の情報
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by majani | 2017-10-02 04:18 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(6)

キングスキャニオン

セコイア・キングスキャニオン旅行の続き。

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シマリスが次々と現れる。その可愛らしい姿はちっとも飽きない。

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シマリスよりずっと大きな熊が活発な時期なので、注意が必要。しかしこの看板、微笑ましい。

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今回は主にキングスキャニオンのハイキングトレールについて話したい。谷を下りて行ったり、山を登ったり、数時間~半日で歩ける day hike を色々と試みた。

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キングスキャニオンはゴツゴツした岩や崖がトレードマーク。ざざあああと嵐のような音を立てて、川が岩を切り開くようにして流れているのが印象的だった。雑念が一気にかき消されていく。

キングスキャニオン側に行くには、セコイアとキングスキャニオン国立公園(national park)の間に挟まっている国立森林(national forest)を抜けていく。国立公園の方が格が上で、規則などこちらの方が厳しい(もっとお金もある)。例えば national forest で拾ったマツボックリは持ち帰っても良いが、境界のすぐあちら側の national park に転がっているマツボックリは、全く同じ種類でも、そのままにしておかなければいけない。

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Zumwalt Meadow のトレールヘッドで、サファイア色の羽をぴんと立てた Steller's Jay が鳴いていた。

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穏やかな小川の畔を歩く序盤の後・・・

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・・岩壁を眺めながらの、足元がゴツゴツする中盤。この辺りは蛇やトカゲが多いようで、時々、しゅるしゅると何かが隙間に消えていく気配がある。

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そして最後は、森の中を歩いていたと思うと、ぽっかり野原が現れる。何だかスイスの風景みたい。

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Zumwalt Meadow は1.5マイルの易しいトレールだが、小川、森、岩壁、野原(春は野花が素晴らしいとのこと)、さらに谷床から山を見上げるこの風景あり、タパスのように色々な物が少しずつ味わえる。

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近くから、岩壁の上から滝が見下ろせるという Mist Falls / Paradise Valley トレールを歩き始める。トレールヘッドの案内所に、また熊に注意のサイン。

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最初の1、2マイルは砂道と単調な景色が続くが、川が出てくる辺りから面白くなっていく。

しかし、だ。衛星のように一定の距離でついてくるブヨには慣れたものの、今度は蚊が凄い。用意してきた蚊よけスプレーがまったく歯が立たず、リルケは顔が真っ赤に膨れ上がってしまった。蚊取り線香を頭に乗せて歩きたい。

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それは蚊のせいで士気が落ちてきた時だった。川の畔にそっと、鹿が現れた。優しい顔をした鹿は私たちに気が付いたが、すぐ忘れたかのように黙々と葉っぱをちぎり取り始めた。

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10分くらいは観察していただろうか。しばらくすると鹿は、反対側にも美味しいモノがあるぞと、おぼつかないジャンプを繰り返しながら川を渡って行った。

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やっと滝っぽくなってきた。「これ?これがゴールなの?ここがゴールということにしよう」と一応ぼやいてみるが、まだ先らしい。

戻ってくるダンディなおじさんに、「あと10分くらいだよ、頑張れ」と励まさせる。

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そして、やっと到着。10分頑張って良かった!

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岩壁の端まで歩いていくと滝つぼが見える。小心者の私はあまり近寄れず、これが精一杯。あと、山のスケールが大きすぎて、写真の撮り方にも困る!

ここが Mist Falls の終点だが、トレールは Paradise Valley へとどんどん続く。ミストフォールズでしばらく休憩して、もう少しだけ歩いてみることにした。ここまで登ってくると、蚊がもういないので、安心して歩ける。

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帰り道で出会った小鳥。岩の隙間に巣を作るえんじ色の canyon wren は、トランペットのファンファーレのような歓喜に満ちた歌声で存在をアピールする。

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ドングリを運ぶ途中に私たちが現れ、ビックリした様子の gray squirrel。他に、テンのような小動物に遭遇しながらの帰り道だった。

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15マイルほど歩き、くたくたになってトレールヘッドまで戻ってきた。セコイア国立公園まで帰る道路も、見応えのある風景が続く。

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パラダイスバレーまで歩いた日は、セコイア国立公園の中の Montecito Sequoia Lodge に泊まる。部屋は小さいが、先ほど見た Steller's Jay のような色をしたキルティングのスプレッドがベッドに敷いてあり、割と心地が良い。

食事はガヤガヤした mess hall のようなビュッフェで食べる形式だ。家族連れが多いロッジで、子供たちが走り回っている間、フリースのベストを着た大人たちはラウンジで赤ワインを啜り、夜遅くまで談義をしている。ここで食べたローストビーフ、とても美味しかった。

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早朝、ロッジの敷地内の池を一周し、もう一度セコイアを見に Muir Grove へ向かった。

ナンデモアリフォルニアにお別れをするロードトリップも幕を閉じようとしていると思うと、少し寂しい気持ちになる。



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by majani | 2017-10-01 03:44 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(2)

世界一大きな木

涼しい。なんて、涼しいのだ!

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気温が毎日45度以上あった巨大なオーブンのようなデスバレーを後にした私たちは、セコイア・キングスキャニオン国立公園に来ている。

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延々と続く山道の末、やっと公園の入り口が見えてきた。適当なデスバレーと違い、ここはちゃんとしたゲートがある。入園料を支払い、Generals Highway(将軍の高速)という名の道路を行く。

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1890年に3番目の国立公園として設立されたこの広大な公園には、世界一大きな木、もう少し丁寧に言うと、「体積が世界一」の木が聳える。

「ジャイアント・フォレスト」に生える、General Sherman (シャーマン将軍の木)がそうだ。

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人が映っていないと、規模が伝わらない。しかし人を入れると、木の上の部分が映らない…。

さらに背が高くなるのは、シャーマン将軍の木のようなジャイアントセコイア(Sequoiadendron giganteum)と時々ごっちゃにされてしまうレッドウッド(Sequoia sempervirens)の方である。一般的にセコイアは幹が太く、レッドウッドはもう少しスレンダー。

因みに、サンフランシスコから日帰りで行ける人気のミュアーウッズに生えているのはレッドウッド。

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ジャイアントフォレストはいくつか易しいトレールがある。シャーマン将軍の木を取り巻く観光客からちょっと離れてみよう。

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声を潜めると、沢山の小さな生き物たちの気配を感じる。

ビートリックス・ポッターの Squirrel Nutkin にそっくりな丸々としたリスや、ダークチョコレート色のシマリスが、マツボックリの上をカサカサと音を立てて駆けて行っては丸太の上でポーズを取る。これがとても可愛らしい姿で、すばしっこいシマリスを一匹連れて帰りたくなる。

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幹のベースに火傷を負ったような巨樹を数多く見る。何が起きたのだろう。

木の保護を始めた当時は山火事が起きるとすぐに消していたが、火事はセコイアのライフサイクルで重要な役目を果たしている。

セコイアはその長身とは裏腹に根がとても浅いため、樹下に下草がはびこると致命的。つまり山火事による定期的な大掃除が必要なのだ。また、セコイアの種子は火の熱が加わらないと落下しない。山火事で樹下の大掃除が済み、種子が発芽しやすい灰が整ったタイミングで、火でパキパキに乾いたマツボックリが地面に落下するというスマートな仕組みになっているのだ。セコイアは10年~30年ごとに山火事を体験する。

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まるでアートインスタレーションのように焼きただれた木。

巨樹は外側の皮が厚くなっていて、大抵の火事にびくともしないが、弱っている木や若い木はこうなってしまうことも。このプロセスによって、ちょうど良い数の健康な木が残る。

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数々の山火事を生き抜いてきた巨樹、25~50歳くらいの若い木、そして発芽して間もない苗、それぞれが同時に見られるセコイアの森は健康な状態にある。自然の山火事では被害が広がってしまうため、公園では planned fires といい、人為的に小規模の火事を実地しながら森の健康を促している。

火がセコイアの命を繋いでいるわけですね。アナグマが夜遅くまでパーティーをしていて火事を起こした、という私の希望的な仮説は成り立たなかった・・・

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・・・が、木の根元にある火事跡を覗いてみると、齧られた小さなマツボックリがかき集められている。アナグマのパーティーはなかったけれど、リスのパーティーはあったかもしれない。

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デスバレーからの移動に時間をかけてしまったので、この日は Hospital Rock を見がてら新しい宿へ引き上げる。

ホスピタル・ロックは、ネイティブアメリカンの Potwisha 族が14世紀から生活していた跡地。1860年にジャイアントフォレストで怪我を負った探検家が、ネイティブアメリカンに手当てをしてもらったことから、この名前が付いたとか。

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ポトウィーシャ族が使っていた「台所」。巨大な岩体をすり鉢替わりに、ここでドングリを粉末にしていた。ドングリ粉って、なんだか美味しそうな感じがする。

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岩をよじ登って少し歩くと、先ほどのジャイアントフォレストとは違う感じの森が見下ろせる眺めの良い場所に出た。

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道路沿いでよく見かけるこの看板。人が持ち込んでくる食べ物や、シャンプーや石鹸など美味しそうな匂い(熊にとって)がする物に惹かれてカリフォルニア・ブラック・ベアーがちょくちょく出現するらしい。

遭遇しませんように。

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夕方のセコイア国立公園。砂漠地獄から天国にやってきたようだ。

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翌日は、中心に写っているウサギの仲間、パイカが住処とする岩っぽいエリアでハイキングをする予定。この珍しい蛙も是非、見つけてみたい。

ワクワクしてしょうがなかったみたいで、この夜は、カエルとパイカと晩酌する夢を見た。今まで見てきた夢の中で、良い方だと思う。



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by majani | 2017-09-17 03:20 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(0)

砂漠の魚を探して

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世界一暑いデスバレー砂漠旅行の続き。な~んにも無い場所の写真が、しつこく続きますよ。

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パランプでゆで卵とオートミールの朝食を取り、再びデスバレー国立公園へ。昨日休憩をしたストーブパイプウェルズにたどり着くまで少なくとも1時間かかる。

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朝なのにもう46度まで気温が上昇している。今日も暑い。

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元気があるうちに歩いておこうと決めていた Salt Creek Trail に向かう。ハイキングと言える程の本格的なトレールではないが、ここに珍しい desert pupfish という魚の一種が住んでいるというので、探し当ててみたいと思った。

砂漠に魚が?古代の湖が干上がってしまった後に所々に残された小さな池で細々と生き延びてきた desert pupfish の先祖が、それぞれの池で進化し続けたことにより、現在は十種類ほどのパップフィッシュがデスバレーの砂漠に生息している。

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少し離れた場所にあるが歴とした公園の一部である Devil's Hole という池(私たちが泊まったパランプの方に近い)に住むパップフィッシュは世界一珍しい魚とされている。2013年春の時点でたったの35匹しかいなかったらしい。去年は100匹前後まで数が回復したが、この先が思いやられる。

「悪魔の穴」に住むパップフィッシュは2.5センチ程の小さな魚で、その形は家庭のペットにあるプラティに似ている。体をくねらせながらぴゅぴゅぴゅと泳ぐ姿が、まるで遊んでいる子犬(pup)のようなので「パップフィッシュ」という名前が付いたとか。

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パップフィッシュ見たい見たいとソルトクリークトレールをずっと歩いているが、全く水の気配がない。

たまに小鳥が、ちゅんっ!と鳴きながらボードウォークの下から飛び出てくるので、近くに水が残っているはずだが・・・

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いきなりボードウォークが終了。これ、遭難しそう・・・。

でもパップフィッシュ見たさに、緑が多い方に向かって歩いていく。ベイエリアの家の近くのマーシュでよく見かけるピックルウィードが、ここでもはびこっている。

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やはりどこも干上がっている。コヨーテ(?)の足跡が固くなって残っている。しばらく歩いていると、エビせんのようにカラカラに干からびて白くなったパップフィッシュの死骸がいくつも出てきた。ど、どうした、パップフィッシュー!

死骸でも十分に興味深いと思い写真を撮っていたが(ちょっと怖い写真になってしまったので載せませんね)、とにかく汗が止まらず、唇がヒリヒリし始めた。3マイルも歩いていないのに、体がとても重たく感じられる。

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ボードウォークが見えなくなるといっそう不安になり、ひとまず引き返すことにした。車に戻った私たちは真っ先に冷房を全開にし、数分間、ぼーっとするほか何もできなかった。

けっきょく死んでいるパップフィッシュしか見つけられなかったが、あっさり絶滅してないかとても心配になるトレールだった。このような過酷な環境に、小指よりちっぽけな魚のコロニーが住んでいるとは信じ難く、素晴らしいことだと、思わずにはいられなかった。

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次に向かったのは、人気スポットのBadwater Pool。この妖し気な色の塩辛い池にパップフィッシュはいないけれど、 Badwater Spring Snail という珍しいタニシが住んでいる。

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バッドウォーターは古代の湖の跡地。真っ白な塩の結晶が水平線まで広がるシュールな景色は、なんだか夢の中に出てきそうだ。

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誰もいなかったソルトクリークトレールとは大違いの賑わいよう。

遠くまで歩けば歩くほど、観光客に踏まれることなく形をとどめている塩の結晶が見られるのだろうが、私はちょっぴり行っただけで「もういいや」と思ってしまう。ちょうどお昼をまわって一番暑い時間だ。

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こちらは Devil's Golf Course 。流石は「死の谷」デスバレーで、見所のネーミングが、死の~とか、悪魔の~とか、地獄テーマ(?)が徹底している。

ぽっちゃりした中年男性が一人、ピクリとも動かずに「悪魔のゴルフ場」の端でつま先立ちしている。男性は、私たちが帽子だ日焼け止めだとガサガサしながら車から出てくると、「君たち、こちらに来てごらん」と囁いた。

「ほら、塩の音がする」

車のエンジンを切って耳を澄ますと、何秒かごとに、パキン・・・ポキ・・・と、小さな骨のような、何かもろくて繊細な物が壊れていくような音がする。塩の結晶が、日中の温度上昇により膨張して割れる音だ。

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私たちは男性に微笑み返した。パキ・・・ッ。

「わ~、まただ」

「僕はこのスポットが大好きなんだ」と男性。

しばらく三人でじっと立って塩の音を楽しんでいたのだが、この「ゴルフ場」、足元がゴツゴツしていて、私はちょっと心地悪いなと思った足を踏みかえようとした。すると膝が「ぽきん」という音を立てて、その衝動でお腹がきゅるるーと鳴ってしまった。

男性はひゃあと笑い、「わぁ、今のは凄い割れ方だね!大きな音だった」と喜んだ。凄く良い人そうなだけに、なんだか申し訳ない気持ちで一杯だったが、私は誤解を解かずに塩の結晶だと思わせておきたかった。男性は私の膝の音で満足した様子で、「君たちはゆっくり楽しんでいってくれ」と言い残し、立派なスポーツカーに乗って行ってしまった。

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デスバレーで一番人気のヴィスタポイント、Dante's View に到着。

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バッドウォーターを見下ろすこの眺め、いかがでしょう。呼吸するのを忘れてしまうほど、美しかった。愛国歌 "America, the Beautiful" に、"purple mountains majesty" というくだりがあるが、本当に山が紫に見えた。

ダンテとはご存知の通り、地獄、煉獄、天国を旅する叙事詩『神曲』を代表作とする、ルネッサンス文化に多大な影響を与えたイタリアの詩人である。偶然にも、「ダンテの眺め」は沢山のイタリア人観光客で賑わっていた。

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さて、次の目標地点に向かう途中、止まるつもりがなかったなんとかキャニヨンのトレールヘッドで、私はトイレに駆け込んだ。スッキリして出てくると、トレールを歩き終わった人たちがちょうど駐車場に戻ってくるところだった。

そこに鏡餅のような段々腹をした女性が、よれよれのブラジャーとパンツ一丁になって、岩に腰を下ろして休んでいるのを見たときは驚いた。一方、ブラ女性はブラ女性で、こちらの白い長袖、白い長ズボン、白い日よけスカーフ、帽子、サングラスという、ミイラのような完全防備姿にギョッとしていた。

どちらのルックが適正な砂漠の服装なのでしょうね。ブラジャーとミイラの間を取ったくらいか。

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最後に、Twenty Mule Canyon をドライブ。ここの砂利道はだんだん狭くなっていき、上下にも左右にもくねくねするローラーコースターのようなルートだったので、運転はリルケに任せる。

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19世紀後半は鉱山があちこちにあり、18頭のラバと2頭の馬で構成された「20ラバ隊」が引く大型ワゴンでホウ砂鉱石を運び出していた。Twenty Mule Canyon はそのラバ隊が使っていた険しい道の名残。

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ラバが運び出したホウ砂は洗浄剤やタルカムパウダーなどに使われていた。可愛らしいパッケージの 20 Mule Team ブランドの製品は、ヴィジター・センターで展示されていたもの。

それにしても立っていているだけでフラフラしてしまうほどの暑さ。150年前のラバをとても気の毒に思った。

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しばらく田舎町の外食が続いている。

揚げ物大量摂取と野菜不足で身体が一揆を起こしかけていたところ、デスバレーの南側にあるリッジクレストという町で、やっと何となくバランスが取れた食事にありつくことができた。地中海料理とアメリカンがごちゃ混ぜになっている不思議なメニューではあったが、ここで食べたチキン、イスラエルクスクス、新鮮なサラダは、デスバレー旅行中で一番美味しかったと思う。隣のテーブルで金髪の女の子が、大きなチョコレートバナナパイを幸せそうに食べていた。

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さらば、死の谷!ロードトリップ、続く。




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by majani | 2017-09-10 04:40 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(4)

砂漠道中

ネバダとの境界にある「死の谷」― デスバレー国立公園に向かう。砂漠地帯のデスバレーは西海岸に多々ある国立公園の中でも渋い方で、一番暑くなる夏がオフシーズン。

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シリコンバレーからデスバレーまで約8時間。家具がなくなりガランとした古いアパートメントを後にし、トランクにたっぷり水を積み込んで、まっすぐな高速を南に辿る。

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平坦な畑や果樹園が消えさると、夏虫色のごわごわした植物や、地学的な大きな力を感じさせる岩体が目立ち始め、白と赤茶が交互する地層は綺麗に割れなかった板チョコレートの平面を想起させる。

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私はずっと運転免許がないままナンデモアリフォルニアに住んでいて、「どうやって生活してるの」と大学の教授までが首をかしげていたのが、先月ついに仮免許を取得した。それがこのロードトリップで(ちょっぴり)活躍することになる。

聞いていた通りのカオスのDMVで(The Simpsons のパティーとセルマの世界だった)車デビューしたての高校生に混じってペーパーテストを受けた時や、自転車の人を轢かないように冷や汗を流しながら運転練習を繰り返した日々が、砂漠に来てみればアラ不思議、全て良い思い出になっている。やっと理解できるようになりましたよ、ドライブをする快感が。開放的な砂漠なら私でも安全に運転ができる!

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入口にゲートがあるわけでもなく、気が付けば公園に入っていた。このような殺風景な道路、アメリカの大陸らしくていいなあと思う。

早速、コヨーテが出現。この時間帯に道路付近をうろついているのはおかしいので、誰かが餌をやって人間に慣らせてしまったのだろう。車内からコヨーテを観察していたが、いかにも餌欲しそうにしているのでクラクションを鳴らしながらその場を去ることにする。人間は危ないのよ?轢かれないでね。

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ストーブパイプウェルズの休憩所でいったん車を停めて場所を確認する。今夜は公園の東側に渡り、ネバダ州側の小さな町に泊まる予定だ。

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ストーブパイプウェルズで初めて外に出てみると、乾いた熱風がわっと顔を襲う。デスバレー国立公園の公式ウェブサイトには午前10時以降は車から出ないように、と注意書きがある。脱水症状を起こさないためには、ハイキングをする場合、一時間ごとに一リットルの水を飲むのが基本。

休憩所にあった温度計を見て目を疑ってしまった。気温が45℃以上もあるのでこの日はおとなしくドライブだけにして、朝からトレールを歩くことにしよう・・・

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・・・と思っていたら、いわゆる砂漠らしい砂丘に行き当たったので、もう一度外に出てみることにした。遠目に見えるのが Mesquite Flat Sand Dunes 。皮膚が焼け爛れるような暑さでも、短パンで歩き回っているルール破りなフランス人がけっこういる。

近そうで遠い砂丘まで歩いていく元気は、私になかった。写真で伝わりにくいかもしれないが、オーブンの中にいるようで、すぐへたってしまう。

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日が落ちてしまう前に、Artist's Drive and Palette というエリアに急ぐ。それにしても車の数が少ない。途中でエンコを起こしてしまったら大変。

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先ほどの砂丘とは全く違う風景。

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メインの道路から一本離れた Artist's Drive の細道を行くと、薄紫や桃色が緑と赤茶と入り混じる水彩画のパレットのような色彩の岩体が楽しめる。時間帯と光の加減によって色の出方が少しずつ違うらしい。

私たちが訪れたのは黄昏時で薄暗くなり始めていたが、誰かが山の上に絵具をこぼしてしまったように見えた。

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岩ばかりに気を取られていたけれど、ふと足元を見ると不思議な植物が。

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日が落ちると街灯が一つもない砂漠はあっ!という間に真っ暗になる。

道路に飛び出してくるカンガルーラットを避けながら、ネバダ側のパランプという田舎町へ。町の名前が何となく似ているせいか、トランプ支持者が住んでいそうな町だなあとリルケで話し合いながら食事ができる店を探す。

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「ゴールデンハーベストカフェ」という店がまだ開いているようだ、よし行ってみよう、とダウンタウンに繰り出すと、なんとカジノの中にあるレストランだった。だから「黄金の収穫」なのね。アジア系の人が見事に人っ子一人いないのは、まあ予想できたが、いざとなるとなんとなく居心地が悪い。

ところで、パランプにアップル社の共同創立者ロナルド・ウェインが住んでいるらしい。ウェインが、初期に800ドルで売り払ってしまったアップルの株をまだ持っていたならば、現在は750億ドル以上に膨れ上がっていたとある。今はパランプで、ヴィンテージ切手やコインを売っているとか。彼もデスバレーに遊びに行ったりするのかしら。

明日は早起きをして、少しトレールを歩いてみよう。帽子、日焼け止め、水は必需品。



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by majani | 2017-09-08 02:55 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(4)

カーメルとモンテレーの海

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夏と言ったら、海。グレーの光に包まれた冬の海岸も悪くないけれど、ナンデモアリフォルニアのスカッとする青空の下ビーチを歩くと、極度の暑がりの私でさえ、夏って良いなあと思う。

たくさん道草を食いながら、カーメルとモンテレーに行ってきた。サンフランシスコから車で南へ。

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まずは 途中の Phil's Fish Market でランチを食べることにする。入口で、魚を抱えた木製の漁師のおじさんとカモメが出迎えてくれる。

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フィルズはトマトベースの海鮮スープ、チョッピーノと(奥に写っているのがそう)、ビールを使った豪勢なブラッディメアリーが有名。チョッピーノはブイヤベースのような感じで、トマトの酸味と蟹や海老などの海産物の甘みで上手くバランスが取れている。

いつ来ても、量がスゴイ。この無造作に積んであるフィッシュアンドチップスが一人分だとは思えない。

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モンテレーの Bixby Creek Bridge までやってきた。ここは風が強く、吹き飛ばされそうになりながらヨタヨタと歩き回った。

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アザラシの群れに遭遇。真ん中の小さな島にポツポツと見えるゼニガタアザラシたちは、日向ぼっこ中。

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あ、こんな所にも。幸せそう~。

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枝豆のような実を付けた木が生える Point Lobos State Natural Reserve で「バード・アイランド」という看板を見つけて、ちょっと歩いてみることに。

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遠くに鵜のような海鳥が集まっている。奥の方で円形になっているのは、何だろう。

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鳥のコロニーだった。みんな子育てに夢中。その雛や卵を狙っているカモメを見て、厭らしい奴だな!と皆に非難されている。カモメは、バード・アイランドで嫌われ者の損な役回り。

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なんていう花だろう。渦巻が良い感じ。

野生のラッコなども見られて、ポイントロボスを歩いて大正解だった。

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去年の大雨で起きた土砂により高速が一部閉鎖されていたため、残念ながらビッグ・サーまで南に行くことはできなかった。

高校生の頃、アメリカの小説家ヘンリー・ミラーの回顧録『ビッグ・サーとヒエロニムス・ボスのオレンジ』 (Big Sur and the Oranges of Hieronymous Bosch) を読み、これほどに自由で孤独な場所がカリフォルニアにあるのかあ、行ってみたいなあ、と夢見たものだったが、七年もベイエリアに住んでいて私は未だにビッグ・サーを訪れたことがない。次回のために取っておこう。

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ミラーが20年近く住んでいたビッグ・サーはともかく、なんとなく文学の香りがするルートを私たちは辿っていた。

何年か前、モンテレ―水族館に行った際に書き留めたが、昔イワシの缶詰工場が並んだキャナリー・ロウは、スタインベックが描写したことによって、ちょっとした文学的な観光スポットになっている。上は缶詰工場の名残。

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いったん、Carmel-by-the-Sea の方まで戻ってきて、Enzo というイタリアンレストランで食事。良い天気だったので、外のテーブル席に座る。

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地元の白ワインを試してみた。

ワインを楽しく飲んでいると、ずっと路上に立っていたピンクのセーターを肩にまとった男性が、いきなり私たちのテーブルに散乱している飲みかけのワインやらビールのグラスを調整し始めた。通りすがりの人が私たちのワインを盗もうとしている!?と混乱したが、ここのイタリア人オーナーらしい。

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炎をぼおぼお吹くブロートーチを持って、一人のウェイターが飛び出してきた。なんだなんだと構えていると、オッパァ!と叫びながら、チーズの皿を持った別のウェイターが走ってやってきた。酒をびしゃびしゃかけると、最初のウェイターが火を点けた。一瞬にしてぼおん!と皿が炎に包まれ、「オッパァ!オッパァ!」とひたすら叫びながら、オーナーとウェイターたちの三人がかりで、レモン汁をえいや、えいや、とぶっかけて火を消す・・・というパフォーマンスがあった。

そういえば、チーズのフランベというものを頼んでいました、私たち。あんなに大騒ぎした割には普通の味。とても面白かったけれど!

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海鮮リゾット、キノコのマリネ、メカジキのステーキ、サーモンのたたきなど、色々な物を少しずつ4人で分けあった。デザートは定番のティラミス。

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お勘定をお願いすると、お口直しにイタリアのキャンディーをくれた。

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愉快なフランベの後、ビーチリゾートへ。オーシャンフロントにいくつものバンガローのようなスイートが並ぶ。

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暗くなり始めた頃、ビーチで焚火を囲む。この夜は遅くまで飲んでいた。

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翌朝、リルケと海岸を散歩していると、沖の方でカモメが騒いでいるのに気が付いた。

クジラだろうか。何かとても大きな動物が潮を吹いている。何年か前の夏、あんなに苦労してクジラを見に行ったのは何だったんだろうと笑ってしまう。

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やっぱり、夏と言ったら、海。




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by majani | 2017-07-27 05:47 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(6)


カリフォルニアで博士号取得後、ニューヨークにやってきた学者のブログ。海外生活、旅行、お出かけの記録。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


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