ブロードウェイで笑う

最近、「プレイビル」がリビングルームに散乱している。

f0328897_08222433.jpg

演劇好きなジュリエット(箱根チャーリーチャップリンのケーキを食べた友人)が日本から遊びに来ていたので、6日間でブロードウェイショーを7作品も観た。

劇やミュージカルを観に行くと渡されるのが、Playbill というこの黄色い縁のプログラム。キャストのプロフィールや広告の他、演劇界で注目されている監督や役者のインタビューなど、ちょっとした記事も載っている。その内容が凄いジャーナリズム!という訳ではないのだけれど、何となく手放せない。相変わらず「断捨離」とかけ離れたライフスタイルを貫いています。

さて、去年ニューヨークに(また)引っ越してきてから、初めて観るブロードウェイショー。一週間のうちに集中的に観てきた笑える作品、涙する作品、ワクワクする作品、そのいくつかの感想を記録しておきます。

f0328897_03552233.jpg

The Play That Goes Wrong

アガサ・クリスティー的な古典派殺人ミステリーの劇・・・のハズが、公演中にありとあらゆる問題が生じるドタバタコメディー。ウィットに富んだ小難しいユーモアではなく素直に笑えるスラップスティックが多く、今時、新鮮な感じがする作品。

開演前から、「劇の中の劇」の監督役を演じる役者が、客席を回って「監督のクリスです。どうぞ楽しんでくださいね」(イギリス英語で)と握手をしに来たり、裏方を演じる役者たちが「俺のデュラン・デュランのCD見かけてない?」「公演に使う犬が見つからねえ」と話しかけてきたりする。この伏線(?)の数々が劇の中で活きてくるのが面白い。プレイビルに載っている「監督からのご挨拶」が、またしても劇の中の劇の監督の言葉だったりする。徹底的にメタ!

…分かりづらい説明ですね。とにかくジュリエットと私はひいひい笑いっぱなしで、顔が痛くなりました。開演前やインターミッション中も、面白いハプニングが期待できるかも。一体どうなっているのだろうと感心する、トニー賞を受賞したセットデザインにも注目。

f0328897_04160525.jpg

Book of Mormon

ちょっぴりお下品アニメ『サウス・パーク』のクリエイターが手掛けた、political correctness の p の字も無い大人気ミュージカル。典型的な優等生モルモン教徒がお人好しなオタクと組まされ、ウガンダの奥地で貧困・病・戦争に苦しむ人々に対し布教活動を試みる。え、ここ笑っていいの?と一瞬ぎくりとさせる失礼なジョークが盛沢山。

『サウス・パーク』『ファミリー・ガイ』『ザ・シンプソンズ』などを観ていてもよく思うことだが、アメリカのポップカルチャーへの例えがよく出てくる。何度か観ていくうちに、新たなジョークに気が付きそうな予感がする。ミュージカルの基となった『サウス・パーク』のモルモン教に関するエピソードを知っていると殊更可笑しいけれど、観ていなくても充分笑えるコメディー。

このミュージカルはず~っと気になっていて(サンフランシスコにツアーで来ていた時はあいにく国外だった)、やっと本場で観ることができて嬉しかった。しかもオリジナルキャストのエルダー・プライス役のニック・ルーローが、同役で今ブロードウェイに戻ってきている。今更ですが、我が家では Book of Mormon の歌が大流行です。

f0328897_04480418.jpg

School of Rock

ミュージカルの神、アンドリュー・ロイド・ウェバーによる2015年の最新作。(原作は2003年のジャック・ブラック主演映画『スクール・オブ・ロック』。)貧乏ロックミュージシャンのデューイが、ひょんなことから超名門小学校の臨時教師になりすまし、受け持った5年生たちとロックバンドを構成して大会出場に向けて頑張るというハートウォーミングストーリー。厳格な教師や冷淡な親の下、良い成績を取り規律を守ることしか知らない優秀な子供たちが、デューイに励まされながらロック音楽に触れることによって、自己主張ができるように成長していく様子を描いている。

アンドリュー・ロイド・ウェバーは過去に『オペラ座の怪人』『キャッツ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』など数々の大ヒット作を生み出している。私は『ジーザス…』のロックオペラが特に好きで、期待が大きすぎたのか、『スクール・オブ・ロック』は少しあっけなく感じられた。子供の役者たちが、実際にベースやギターをじゃんじゃん弾いている姿は感心したが(大人のプロ顔負けの素晴らしい歌唱力を持つ子役もいる)、エリート学校に通う子供たちのキャラが成長していくにつれて、主人公ミュージシャンのキャラにも変化が見たかった。

また、後ろに座っていたキッズたちが、席を蹴ったり、大声でお喋りしたり、ばりばりお菓子を食べたりしていたせいでショーに集中できなかったというのもある。親と子供たちに何度も注意したが、申し訳なさそうな素振りが見事にゼロ。ステージ上の子役を見て「凄いなあ」と思うのと同時に、後ろでポテトチップスをかじる子供たちを忌々しく思う、複雑な気持ちで3時間を過ごしたのでした。


思いがけず長くなってしまったので、今回はコメディー編ということで、ミュージカルの話、次回に続きます。




ブログランキング・にほんブログ村へ

[PR]
# by majani | 2018-02-21 12:41 | 旅に待ったなし | Trackback | Comments(4)

劇場街にて

眩しくネオンが光るミッドタウンウェストの劇場街。演劇界で活躍中の友人二人と Theater District でブランチを食べることになった。

f0328897_05050628.jpg

少しごてごてしたヴィクトリア朝(?)スタイルのブランチスポット、Lillie's Victorian Establishment。観光客が多いエリアにしては割とお手頃な価格。そして天井がとても豪華。

友人ロキシーはミュージカル俳優のちょっと年上のカッコイイお姉さん。歌と演技はもちろん、彼女の強さはダンス、特にジャズやラテンボールルーム。もう一人のグリンダさんは、劇やミュージカルのマーケティング・教育関係を専門とする。(二人の仮名をちょいブロードウェイ風にしてみました。)

もちろん、私はもっぱら観劇側である。久々に会う二人に、バックステージやリハーサルのこと、役者たちは gig(仕事)が無い間どのような生活をしているのかなど、色々な話をうかがうことができた。

f0328897_05370651.jpg
夜は昼間のように明るく、混沌としているタイムズスクエア。ブロードウェイを中心に51st St. あたりまで劇場が散らばっている。

印象深かったのが、ロキシーがその昔、ロケッツの仕事をしていた時の話だ。(ロケッツのダンストループについてはラジオシティミュージックホールの記事参照。)

一つのショーで、なんと1200カロリーを軽く消費するという。8分半にも及ぶ速いタップダンスナンバーや、手袋や靴やジャケットなど23点もの衣類を76秒以内にステージ上で衣装チェンジする早業・・・。日頃の身体の訓練と共演者との協力が欠かせない大変なお仕事だなあと感服する。マチネーもあるため、一日に何時間も踊りっぱなし、ということもしばしば。ロケッツ時代は好きな物が何でも大量に食べることができたから良かったわとロキシーは笑う。

お小遣い稼ぎのために、ラジオシティミュージックホールのツアー中にある「ロケッツに会おう」という企画にもバイトで参加していたとロキシーは話す。好きな衣装に着替え、ツアーグループが回ってくると、しばらく観光客と談笑、質疑応答、というバイト内容だ。

面白い質問がありそうねと私が言うと、ロキシーは例を挙げ始める。「あなたの体重は?」「何歳ですか?」「ダイエットしていますか?」などといった質問が多いそうだ。伝説的なロケッツと話すことができて、もっと良い質問があるだろう!と驚いた。因みにこの類の質問を受けた場合は、「ロケッツのオーディションは18歳から受けられて、そのまま毎年オーディションを繰り返し、20年近くこの仕事をしている同僚もいますよ」「一日に何千カロリーも消費するので、みんな大食いなんですよ(笑)」などと、やんわり返答するらしい。大人の対応。

f0328897_05190205.jpg

最近はキャスティングで役者の人種を凄く意識するようになっている、という話も興味深い。

某ミュージカルのオーディションで、白人女性のロキシーは他二人(白人ではない)とヒロイン役の最終選考まで残ったが、「今のご時世、主役に白人をキャストしたら滅茶苦茶に叩かれるから、悪いけどロキシーは絶対にキャストできない」と、キャスティングディレクターから彼女のエージェントに電話が入ったとか。さらなるツイストは、ヒロインの基となっている実際の歴史上人物は白人だということ。う~ん、難しい。

そう言われてみれば、以前に比べアフリカンアメリカン、ラティーノ/ラティーナのブロードウェイ俳優をよく見るようになった。(アジア系の人はまだまだ少ない。)意図的なキャスティングデシジョンがその背景にあってのことなのか、人材のプール自体がまた違う理由によって多様化してきているのか、よくは分からないけれど。

ブロードウェイにも「多様性」の風が吹いている。




ブログランキング・にほんブログ村へ
[PR]
# by majani | 2018-02-18 03:49 | 食べる人々 | Trackback | Comments(4)

猫が欲しい

この子のせいで「猫欲しい病」が激しく再発している。

f0328897_05051764.jpg

スーパーボウル・サンデーの日にリルケの職場の先輩のお家にお招きいただいた。そちらの猫さん。黒猫が白いソックスをはいているのです。呼びかけるとにゃきゃきゃっと返事をするのです。

すぐ隣で、先輩の若いお嬢ちゃまお二人が、ピアノとバイオリンの二重奏を始めた時でさえ(このブルジョアな展開にも驚きましたが)猫はこ洒落たクッションの上でスヤスヤと寝続けた。

シェルターから来たそうです。このお家にもらわれて、なんて幸せなことでしょう。私もクラシック音楽を聴きながら昼寝をして毎日過ごしたい。



ブログランキング・にほんブログ村へ




ほっとフォトコンテスト





[PR]
# by majani | 2018-02-15 04:21 | 絵葉書もどき | Trackback | Comments(2)


カリフォルニアで博士号取得後、ニューヨークにやってきた学者のブログ。海外生活、旅行、お出かけの記録。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


by majani

プロフィールを見る

カテゴリ

全体
言葉と物
旅に待ったなし
院生リンボー
食べる人々
動物王国
絵葉書もどき
ナンデモアリ
未分類

以前の記事

2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
more...

Like what you see?

ランキングに参加しています。
ハリネズミと蛙をクリックしてね。




ブログランキング・にほんブログ村へ


にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(アメリカ・カナダ)へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 国際生活へ

ライフログ

On my nightstand



タグ

最新の記事

イスラエル料理
at 2018-04-02 03:47
MoMAとホステスギフト
at 2018-03-22 04:06
メットに行く
at 2018-03-14 06:23
バノフィー・パイ
at 2018-03-06 07:39
ブランチ万歳
at 2018-02-28 03:44
ブロードウェイで泣く(そして..
at 2018-02-24 03:25
ブロードウェイで笑う
at 2018-02-21 12:41
劇場街にて
at 2018-02-18 03:49
猫が欲しい
at 2018-02-15 04:21
京都の喫茶
at 2018-02-01 04:14

最新のコメント

fujimotosan1..
by majani at 03:11
いつも楽しく拝見させてい..
by fujimotosan1979 at 23:29
BBpinevallyさ..
by majani at 10:07
あつあつさま ひよこ豆..
by majani at 10:06
イスラエル料理というのは..
by BBpinevalley at 05:43

記事ランキング

ブログジャンル

海外生活
旅行・お出かけ

ブログパーツ

検索